【北アルプス黒部五郎・鷲羽・水晶縦走4日間 Day1】新穂高温泉から黒部五郎小舎へ

黒部五郎小舎
北アルプス

今回は黒部五郎岳・鷲羽岳・水晶岳・野口五郎岳を一気に登る4日間の北アルプス縦走の山旅です。
直前で台風がやってきたため、日程1日ずらし、高瀬ダムから入る予定を急遽逆回りに変更、新穂高温泉に夜行バスで入ることにしました。初日は黒部五郎小舎に宿泊予定、一気に新穂高温泉からの距離18キロ、総高低差2000mの道のりを歩くことになりました。

【行程】※この投稿は1日目の行程になります。
往路:東京→夜行バスにて新穂高温泉
1日目:新穂高温泉ロープウェイ(6:50)→わさび平小屋(7:40)→秩父沢(8:40)→鏡平山荘(10:25/10:50)→弓折乗越(11:30)→双六小屋(12:35/13:00)→丸山(14:20)→三俣蓮華岳分岐(14:45)→黒部五郎小舎(15:50)
※行動時間9時間(休憩込み

2日目:黒部五郎小舎→黒部五郎岳→黒部五郎小舎→三俣山荘
3日目:三俣山荘→鷲羽岳→ワリモ岳→水晶小屋→水晶岳→水晶小屋→東沢乗越→真砂岳→野口五郎岳分岐→野口五郎小屋
4日目:野口五郎小屋→烏帽子小屋→高瀬ダム登山口→高瀬ダム
復路:高瀬ダム→(タクシー)→信濃大町→(JR大糸線)→松本→(JR・あずさ)→都内

【黒部五郎小舎】
黒部五郎岳のカール側の麓にある山小屋。双六山荘グループで、施設も整っていて、ご飯も美味しいです。
1泊2食で14000円(2023年)。テント場は30張、1張2000円(トイレ料金別途)。
>>ホームページはこちら

YAMAPの行程
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新穂高温泉から鏡平、双六小屋へ

台風で大雨予報だし、直前でも予約できたあるぺんの夜行バス。もしかしたら空いているかもしれない!と思っていましたが、乗ったら満席…。さすが9月の金曜日、北アルプスへの登山者は、台風が関東を通過したぐらいでは、山行をキャンセルしないw
というわけで、4列シート(足元が狭い)で一晩、寝たり起きたりを繰り返し、朝5時過ぎに「新穂高温泉ロープウェイ」に到着しました。

新穂高温泉夜行バス
毎日あるぺん号で竹橋から夜行バス


霧に包まれた不穏な天気、ちょっとだけ雨もぱらついています。
この天気は想定内、今日は全日曇で、ギリギリ雨がふらないかも…という天気予報でした。明日は午後から雨予報だったので、今日一気に黒部五郎小舎へいって、明日の午前中に黒部五郎岳に登ろうという作戦です。

6時過ぎに、友人が乗ったバスが到着。身支度を整えて6時50分に、新穂高ロープウェイから出発しました。
コースタイムで行くと17時過ぎに小屋につくことになる行程。暗くなる前には小屋に着きたかったので、わさび平小屋、小池新道の入り口まではかなり速いペースで歩きます。

新穂高温泉〜鏡平
新穂高温泉に着いたときは雨がぱらついていた

新穂高温泉〜鏡平
わさび平小屋、早朝から登山客が立ち寄る


わさび平小屋で軽く休憩して、小池新道を登っていきます。
毎回夏野小池新道が暑くてしんどいのですが、9月も同様。時折雲の間から照らす太陽と、樹木から立ち上る湿気の暑さにやられながら登っていきます。以前、熱中症ぎみになったので、こまめに水分をとって行きます。

秩父沢まで登ってきてびっくりしたのが、水が全くなかったこと。今年北アルプスは渇水ぎみと聞いていましたが、ここに水がないのは初めて見たかもしれません。
爽やかな水辺を楽しめないまま、さらに登山と続けます。

新穂高温泉〜鏡平
秩父沢に水がない?!


鏡池に到着したのは10時25分頃。今日は雲が多くて、槍穂の山並みは雲に覆われて何も見えませんでした。
とりあえず、山荘まで行って休憩をとります。暑かったので何か冷たいものを買いにいったら、見つけてしまいました…クリームソーダ♡
昨年はコーヒーフロートを頂いたのですが、今年はこんな昭和レトロの飲み物が。思わず800円のクリームソーダを注文していまいました。
でも、氷たっぷりのメロンソーダに麗しいバニラアイスクリーム。ここまでの暑さを一気に吹き飛ばしてくれる冷たさと甘さ…ものの数分で完食してしまいました。
800円の価値は十分にあります。

鏡平山荘
クリームソーダが売っている!!

鏡平山荘
ああ、至極のクリームソーダ♡


鏡平山荘のスィーツですっかり癒やされて、再び登山をスタート。次は双六山荘を目指します。
山荘の前の池も水が少なくて、干上がっています。今年は雨が少ないのものあるけど、雪解け水が減っているんじゃないかな…と思うと、地球温暖化恐るべしです。

鏡平山荘
鏡平山荘前の池も干上がっている…


鏡平山荘から弓折乗越まで登っていきます。ここも急登で暑い…。
リズムを崩さないようにペースよく登って、なんとか40分で乗越に到着しました。
いつもはキレイに見える槍穂も今日は雲の中。残念ながら槍ヶ岳は全く見えません。

鏡平〜双六小屋
弓折乗越までの急登

鏡平〜双六小屋
やっと半分まで来ました

鏡平〜双六小屋
登坂がきつくて、いつも萎えるポイント。

鏡平〜双六小屋
乗越まであとちょっとです…。

鏡平〜双六小屋
雲で槍ヶ岳も穂高も望めず…


ここで、少しお腹が減っているような気がして、おにぎりを半分食べました。暑すぎて、お腹が減っている感覚がないのですが、時刻は12時近く。ランチタイムです。
少しだけエネルギーを補給して、双六岳への稜線を1時間程度歩いていきます。
雲多いものの、鷲羽岳方面は見通しがよく、山間に双六小屋と鷲羽岳が見えたときは感動しました。やっぱり何度見てもいい景色です。
ゆるやかに山を下って谷間に入り、草原の中の道を双六池とテント場を左手に見ながら進み、12時35分に双六小屋に到着しました。

鏡平〜双六小屋
ナナカマドの赤い実…そろそろ秋の気配

鏡平〜双六小屋
雲の中に鷲羽岳が見えました!

鏡平〜双六小屋
双六小屋にやってきました
双六小屋
小屋の前の机と椅子が倒されている。台風対策かな?



双六小屋の前からは鷲羽岳、水晶岳、野口五郎岳が見えました。明後日登る予定の山々です。
この景色にテンションがあがって、よし登るぞ!という気分にはなりましたが、今日はまだまだ先が長い。
ここから黒部五郎小舎まで、残り3時間程度歩かなくてはなりません。

ここまで歩いていて、力が出ないなぁと思ったので、おにぎりの残りとパンを食べて、さらにエネルギー補給。少し元気が出てきたので、目的地に向けて再度出発します!

鷲羽岳
双六小屋の前から眺める鷲羽岳、奥に水晶と野口五郎岳も見えます…明後日には登る予定!


※今回は天気が悪かったのと、ものすごい勢いで歩いたので、双六小屋までの記録ははしょってます…w
ここまでの道のりの詳細は昨年の以下の投稿をを参考にしてください。

双六小屋から中道を通って、黒部五郎小屋へ

元気が出たといえども、ここまですでに6時間歩いていたので、足はだいぶ疲れています。
双六山荘からの登り坂を見るとちょっと気分が萎えました。

双六小屋〜三俣蓮華岳
双六岳へと登る道

双六小屋から20分ぐらい歩くと、分岐に出ます。
今回は黒部五郎小屋への一番の近道であろう「中道」を選択。過去「巻道」ばかり歩いていたので、「中道」は初めて。そして、ここから先がまだ歩いたことのない道になるので、楽しみにしていました。

双六小屋〜三俣蓮華岳
巻道・中道・双六岳への分岐点。方向指示の標識がいっぱいw

双六小屋〜三俣蓮華岳
今回は中道を通ります。


中道の最初は、ゆるやかで歩きやすく、天気だったら鷲羽岳がキレイに見えただろうな〜という道です。
黄色くなって枯れぎみのコバイケイソウと、チングルマの綿毛が、北アルプスにも秋がきていることを教えてくれます。左手は双六方面の山の稜線になって、山肌は岩だらけです。
白い岩と緑と黄色が織りなす風景が美しい。

双六小屋〜三俣蓮華岳
コバイケイソウが黄色くなって枯れているのも秋らしい

双六小屋〜三俣蓮華岳
あたまに雲がかぶっているけど、鷲羽岳が見えてます

双六小屋〜三俣蓮華岳
山肌は岩だらけ。荒涼とした雰囲気。

双六小屋〜三俣蓮華岳
チングルマの綿毛が風に揺れています

双六小屋〜三俣蓮華岳
岩と綿毛と…
双六小屋〜三俣蓮華岳
霧で展望が悪いけど、中道は歩きやすい。


霧に包まれた道を歩いていたら、「おーい」「おーい」と声がしてきました。なんだろう?と思って歩いていたら、
男の人達が3人座っていて、遠くにいる誰かに呼びかけているのが見えました。彼らを追い越したのち、遠くのほうでも「おーい」と声がしていたので、彼らの仲間で遅れている人がいて、そのうち姿が見えるだろうと思っていたのですが、声はすれども一向に姿は見えず…。霧で視界が悪いせいもあって、狐に化かされてどこか違う世界に行っちゃうんじゃないか…と妙な妄想が浮かんでしまいました。

しばらく歩いていると声はしなくなり、道はやや登り坂に。双六岳への稜線と中道の分岐点に出ました。
ここの標識のところに男性が2人いて、「3人組の男性見かけませんでしたか?」と声をかけられました。どうやら、「おーい」「おーい」と呼び合っていたのはこの人たちのようで、彼らは三俣山荘まで先に進んでいて、後からくる3人に越えをかけていたようです。進行方向が一緒だったから、声はしても姿がなかなか見えなかったんですね。
ほんと、化かされたかと思ったw
彼らは三俣山荘にテント泊する予定だとのこと、大荷物を背負っていました。…さすが男性、力あるなぁ…。

双六小屋〜三俣蓮華岳
双六岳との分岐点

私達はここで彼らを追い抜き、先に進みます。雨がふらないうちに黒部五郎小屋に着きたい一心です。
この分岐点から丸山までは20分程度、その先には三俣蓮華岳へ登らなくてはなりません。

双六小屋〜三俣蓮華岳
このあとは丸山・三俣蓮華岳へ登っていく


丸山までやってきたら、頭上に少しだけ晴れ間が広がりました。
どこが丸山の山頂かは標識が見当たらなかったのでよくわかりませんでしたが、穏やかな丘のような山でした。

双六小屋〜三俣蓮華岳
丸山山頂付近。山頂がどこだったかはわからずw

双六小屋〜三俣蓮華岳
雲の中の青空にひこうき雲が見えた

丸山からは、ちょっとだけ下ります。
下り途中、雲の中から見えてきたのは、おそらく今日のラスボス「三俣蓮華岳」。
目の前に壁のようにそそり立っている…そして稜線にそって登山道がずっと続いているのがわかる…。

ここまでですっかり疲れ切った私達は、山の手前で足を止めてしまいました。うわ〜まだあんなに登るのか。
水分とって、少し甘いものを食べて、無理やり元気を奮い立たせ、最後の大物を登っていきます。

雲の下に鷲羽岳が顔を出して、ほらほら頑張れといっているかのよう。
うんうん、頑張るよ、明後日は鷲羽君にも登るんだから…。

三俣蓮華岳〜黒部五郎小舎
三俣蓮華岳が雲の中に見えました…うわ〜あんなに登るのか…

三俣蓮華岳〜黒部五郎小舎
鷲羽岳が、顔をのぞかせて応援してくれている


三俣蓮華岳の山頂らしき標識が右手頭上に見えたところで、道が二股に分かれていました。
「五郎」って書いてある道を迷わず選びます。ということで、三俣蓮華岳の山頂は登らずにそのまま黒部五郎小舎へ。もう、山頂に立ち寄る力はございません・・・。

三俣蓮華岳〜黒部五郎小舎
まっすぐ五郎を目指すことに…

分岐から、黒部五郎小舎へは1時間ぐらいで着くはずです。三俣蓮華岳と鷲羽岳を背後に、黒部五郎方面へ進んでいきます。見通しは悪くないものの、空には厚い雲が覆っていて、「黒部五郎岳」の姿は全く見えず…相変わらず、なかなか姿をみせてくれない、いけずな五郎です。

三俣蓮華岳〜黒部五郎小舎
三俣蓮華岳から1時間ちょっと。尾根沿いを進みます。

三俣蓮華岳〜黒部五郎小舎
標識を頼りに小屋を目指す


晴れていたら見晴らしがよいであろう稜線を歩き、下り坂に入ったところで、眼下に赤い屋根が見えました。
今日の目的地、黒部五郎小舎です!やっと見えた…ホッとする…。

でも、小屋が見えてからが長かった。最後の下り坂がかなりの急で、疲れ切った足にさらにダメージを与えます。
一歩一歩、急な段差を下りるたびに、足が膝が痛い…急坂を下りながら、まだ着かない、まだ着かない…何度思ったことか。

黒部五郎小舎
山の下の方に、黒部五郎小屋が見えた!

そして16時手前。ようやく山を下りきって、目の間に赤い屋根のかわいい黒部五郎小舎が現れました。
やっと着いた…。

黒部五郎小舎
やっと、黒部五郎小屋に到着…長かった〜

黒部五郎小屋にやっと到着…

黒部五郎小舎について靴を脱ごうと座った瞬間、どっと疲れ出て、しばし立てず…。
受付で小屋の説明をしてくれている声が遠くに…もう鳥のさえずりのようにしか聞こえない…ってくらい、疲れていましたw
暗くなる前に着きたい一心で、そこそこのスピートであんまり休憩もせず長距離を歩いたせいでしょうか。縦走初日とは思えない疲れっぷりです。

黒部五郎小舎につきました

黒部五郎小舎
黒部五郎小舎の受付。


靴を脱ぎ終わって二階まで登って、部屋に入ります。部屋は8人ぐらいが泊まれる様になっていて、布団と布団の間には仕切りがありました。今日はそんなに混んでおらず、部屋は全部で5人。スペースが結構あったので、荷物を広げることもできました。布団の上には棚もあり、そこに荷物を置くこともできます。
綺麗な小屋で、お布団もカラッとしていて気持ちよく、さすが双六グループです。

黒部五郎小舎

何しろ感動したのが、乾燥室。かなりの熱風が吹いていて、乾燥度かなり高い。
今回は縦走で荷物を減らしたので、Tシャツやアームカバーやタイツなどを干したのですが、すぐにカラッと乾いたのが本当にありがたかったです。
また、双六山荘もそうでしたが、洗面所が本当にきれい。

黒部五郎小舎
乾燥室は朝夕、ストーブをつけてくれるみたいです

黒部五郎小舎
洗面所。石鹸つきでとってもキレイ。


汗を拭いて着替えて、さっぱりしたら、「オレンジーナ」を購入して、シュワシュワ感と酸っぱさを味わいます。
なんだか、山で柑橘類のジュースを飲むと元気になりますね。

黒部五郎小舎
オレンジーナ売ってます

お待ちかねの夕ご飯は17時。
メニューはとんかつと、煮物とポテトサラダ、そしてスモークサーモン、お蕎麦にお味噌汁とご飯。
スモークサーモンが山小屋で出たの初めてかも。さっぱりしていてすごく美味しかったです。
今日は長旅だったのと、ご飯もあまり食べれていなかったので、めちゃくちゃお腹が減っていて、夕ご飯は、ご飯も含めて完食しました。

黒部五郎小舎
黒部五郎小舎の夕ご飯

黒部五郎小舎
とんかつ、サクッとしていて美味しい〜。量もちょうどよかった!

黒部五郎小舎
お蕎麦はつるっと頂けて、食べやすい。

黒部五郎小舎のお弁当
炊き込みご飯、鮭、からあげ…お弁当も美味しそう。


夕ご飯の後、日の入りが見えないかと外に出たのですが、重たい雲が立ち込めていて、何も見えず…。
もちろん、黒部五郎岳もどこにいるのか全くわかりません…
明日はちゃんと、五郎に会えるのだろうか…ちょっと不安になります。

黒部五郎小舎


部屋に戻ると消灯前に電気が消されていて、部屋の人はお休みモード。
私も長旅で疲れていたので、さっさと布団に潜り込んで、早々に眠りました。
明日は4時起きで、黒部五郎岳を目指します!