3日目は鷲羽岳、水晶岳、野口五郎岳をめぐる裏銀座ルートを歩きます。雲は多かったのですが、見晴らしはよく、裏銀座から山々を眺めながら登山を楽しみました。
【行程】※この投稿は3日目の行程になります。
往路:東京→夜行バスにて新穂高温泉
1日目:新穂高温泉ロープウェイ→わさび平小屋→秩父沢→鏡平山荘→弓折乗越→双六小屋→丸山→三俣蓮華岳分岐→黒部五郎小舎
2日目:黒部五郎小舎→黒部五郎岳→黒部五郎小舎→三俣山荘
3日目:三俣山荘(5:30)→鷲羽岳(6:20/6:30)→ワリモ岳(6:50/7:00)→水晶小屋(7:40/8:07)→水晶岳(8:35/9:00)→水晶小屋(9:25)→東沢乗越(10:20)→真砂岳(11:20)→野口五郎岳分岐(11:50)→野口五郎小屋(12:05)
※行動時間5時間半
4日目:野口五郎小屋→烏帽子小屋→高瀬ダム登山口→高瀬ダム
復路:高瀬ダム→(タクシー)→信濃大町→(JR大糸線)→松本→(JR・あずさ)→都内
【鷲羽岳】
標高2924m。長野県、富山県。百名山。
三俣蓮華岳から眺めると、その名の通り鷲が翼を広げたような雄大な山容を見ることができます。
東南に火山でできた湖「鷲羽池」があり、その向こうに槍ヶ岳が見えて、美しい景観を楽しめます。
登山レベル:★★★★☆(中上級)
※難しいところはないのですが、北アルプスの深遠部にあり、鷲羽岳に登るには体力が必要です。
【水晶岳】
標高2986m。富山県。百名山。
山の花崗岩に水晶の結晶が含まれていたことから「水晶岳」と名付けられましたが、山頂が岩山で黒に見えることから「黒岳」とも呼ばれます。水晶小屋から往復1時間程度。
体力レベル:★★★★☆(中上級)
※少し岩場があるのと、2泊は必要な道のりで体力が必要です。
【野口五郎岳】
標高2924m。富山県、長野県。
裏銀座ルートの縦走コース上にあり、大きな白っぽい岩がゴロゴロしているゴーロな山。高瀬ダムや湯俣から登っていくことができます。直下に黒部五郎小屋があります。朝日がとても綺麗だったので、ご来光を見るのがおすすめです。
登山レベル:★★★★☆(中上級)
※少し岩場があるのと、1泊2日以上の行程となるため、体力が必要です。
【野口五郎小屋】
野口五郎岳の直下にある定員50名の小さな小屋です。このあたりは風が強く、昔は遭難していた人も多かったため、ここに小屋を建てたとのこと。アットホームな暖かい小屋です。カレーも美味しい♡
1泊2食で12000円(2023年時)、テント場はありません。
>>野口五郎小屋ホームページ
三俣山荘から鷲羽岳山頂へ登る。鷲羽池の絶景!
5時半に三俣山荘を出発しました。昨日の朝とは違って雲の多い朝です。
それでも雲と地上の間から登ってきた太陽が顔を出し、山と雲を赤く染めて、美しい朝焼けを見ることできました。
縦走3日目の最初は鷲羽岳の急登を1時間半かけて登っていきます。
まだ寝ている体を起こしながら、ゆっくり歩きました。
まだ体が慣れていない、山歩きの最初に鷲羽岳の急登はきつかった!
呼吸のリズムを整えながら、ゆっくり一歩一歩登っていくと、どんどん標高があがって眼下に三俣山荘、目の前に三俣蓮華岳…そして昨日登った黒部五郎岳と、山々が見渡せる用になってきます。
そして、極めつけの絶景が、雲間に浮かぶ鷲羽池と槍ヶ岳の幻想的な風景でした。
前回来たときは雨で真っ白で見れなかっただけに、この景色が見れたのは本当に嬉しい〜。
テンション上がる!頑張って登れる!
そして6時20分に鷲羽岳山頂に到着しました!
雲が多いものの、山も太陽も見えていて、風も穏やか…。
昨年登ったときよりもコンディションはよく、この後の縦走も問題なさそうです。
ワリモ岳を登って水晶小屋へ
鷲羽岳の山頂を楽しんだ後は、水晶岳に向けて歩きはじめます。
行く手は雲に覆われて何も見えず・・・ちょっと不安になりますが、出発。
鷲羽岳山頂を少し下りて、岩山の峰を越えて行きます。
鷲羽岳から数分歩くと、辺りが真っ白に霞んで何も見えなくなりましたが、ワリモ岳の手前で雲が晴れて、山の稜線がよく見えるようになりました!
左手に黒部五郎岳や薬師岳、後ろに鷲羽岳…北アルプスの山々を見ながら歩く稜線は気持ちいい〜。
ワリモ岳には鷲羽岳から20分程度歩いて到着しました。山頂手前は岩だらけの急登です。
山頂は山に突き出すような大きな岩でできているので、少し下のほうに「ワリモ岳山頂」の標識があります。
さらに岩の道を歩いて、ワリモ岳の北分岐に到着。
この時点で再び登山道を雲が覆ってきて、周囲が真っ白になってしまいました。
ここから水晶小屋までの30分は、何も見えず、ただ黙々と登山道を歩きます。
水晶岳へピストン
7時40分に水晶小屋に到着しました。水晶小屋は山の上に立つ小さな小屋です。山の上にあるので風が強く、上着を着込んで、ここで少し休憩しました。
水晶岳は、縦走路から外れるため、この水晶小屋に荷物をデポして、ピストンで行って帰ってきます。
風に雲が飛ばされるとうっすらと水晶岳が見えたり、また雲に隠れたり…を繰り返していました。
「水晶岳に行っても何も見えないかもしれませんね〜」…と、通りがかりの登山客とお話をしていましたが、
雲が晴れて青空が広がり、その下に水晶岳が見えました!
これは、登山チャンス!
水晶小屋から水晶岳へ向けて稜線を歩いていると、どんどん雲がなくなってきて、山の全容が見えてきました。
どうやら裏銀座ルートの稜線には雲が多かったのですが、少し外れると天気が良くなるようです。
ちょっと違う方角に進んだだけで、こんなに天気が違うとは。
水晶岳の直前までは、なだらかな気持ちいい稜線が続きます。
ここから、再び黒部五郎岳や雲ノ平がよく見えました。
そして目の前にそびえ立つのは北アルプスの奥に位置する「水晶岳」。やっとここまで来ることができた!感動です。
水晶岳に近づくと山の様相が変わり、一気に岩場の山となります。
岩を乗り越えたり梯子を登ったりと、岩場歩きを楽しみつつ、標高をあげて水晶岳の山頂へと進んでいきます。
方角が変わると山の陰から薬師岳が見えたりして、景色もいい道です。
8時40分に水晶岳の山頂に到着しました。
山頂はそんなに広くはなく、何人かの登山客で順番を譲り合いながら、写真を取ります。
水晶岳から見える赤牛岳に続く稜線がとても綺麗で、登山心をくすぐります。
さらにその奥に黒部湖が見えて、次は読売新道を歩いてみたいという気になりました。
同じタイミングで山頂にいたのが、昨日伊藤新道ですれ違ったお兄さんで、彼も同様に「読売新道いきたいですね〜」と仰ってました。見るからにタフなお兄さんが「なかなかハードな道みたいですよ〜」と言っていたので、心してかからないといけなさそう。
水晶小屋から野口五郎小屋へ
水晶岳から水晶小屋に戻ると、9時半。
ここでデポしていた荷物をピックアップして、今日の宿である「野口五郎小屋」に向かいます。
赤茶けた土がむき出しになった道を下りていきます。
少し風が強くなってきたので、稜線歩きということもあって、1枚ウィンドブレーカーを羽織りました。
はるか前方に野口五郎岳が見えます。山頂が岩で覆われているので白く見える山。
水晶小屋から2時間程度ということですが、かなり遠くに感じました。
水晶小屋から30分程度で、東沢乗越にやってきました。
ここから真砂岳まで、岩の多い登山道に変わります。緑のハイマツと白い岩の景色が圧巻の縦走路です。
振り返ると水晶岳もよく見えましたし、左手には赤牛岳の姿もあります。
真砂岳の直下までにやってきて見上げると結構な高さ…
でも、幸いなことに少し登ると、湯俣の分岐に出て、登山道は右側に大きく迂回します。真砂岳を巻いて野口五郎岳に直接向かっていくのです。道はゆるやかな上りでザレ場で、歩きにくい箇所はありません。
歩いていると、頭上に雲が広がってきました。
霧が出ていないので、視界は悪くないのですが、雨がパラパラとふり始めました。
野口五郎岳に近づくと、辺りは岩や石が多くなり、遠くから見ていたように真っ白な登山道となりました。
雨が少し強くなってきたのでレインウエアを来ます。
野口五郎小屋はもうすぐなはずなので、少し急ぎ足で先に進みます。雨がふっているので、野口五郎岳の山頂には行かず、小屋に直接進む道を選択しました。
登山道が雲に覆われてきて、辺りが真っ白になってきました。
そろそろ見えてもおかしくない小屋が一向に見えない。どこだろう〜。
野口五郎岳から下り、ちょっと歩くと、ようやく眼下に青い屋根の小屋が見えてきました。
雨と風で、少し寒さも感じていたので、小屋が見えてほっと一安心。
12時5分に、野口五郎小屋に到着。昨日に続いて、ちょっと早めの到着です。
近くを歩いていた男性の登山客の人は、烏帽子小屋まで進むことにしたようですが、私たちはこのままここに、チェックインしました。今日の最初の宿泊客でしたw
小屋に1泊2食の12000円を払って、部屋に入ります。
部屋は小部屋がいくつかあって、そのうちの1つに入りました。雨と風で寒かったので、ダウンを着て体を温めます。
乾燥室もあって、しっかりストーブがついていたので、レインウエアを乾かしながら、自分の体も温めました。
昨日の暑さと打って変わって寒い日です。
食堂兼談話室で、三俣山荘のお弁当を食べたり、お菓子を食べたりしてエネルギー補給。
天気が改善したら野口五郎岳山頂にアタックしようと思っていたのですが、曇ったり晴れたり、雨がぱらついたり…と、目まぐるしく天気が変わるため、出発するタイミングを逃してしまいました。
結局夕ご飯まで、ダラダラと小屋で過ごす羽目に…。
夕ご飯はカレーでした。カレーの香ばしい香りが食欲をそそります。
昨日、三俣山荘の食堂でもカレーいい匂いがしていたので「カレー食べたいなー」と思っていたので嬉しい♡
しかも目玉焼きハート型だし、手作りのお漬物もあっていい感じ。
お母さんやお父さんがカレーとお味噌汁と運んできてくれるので、どこかのお家の食卓にお邪魔したような雰囲気でした。
お客様も20人程度で、テーブル2つがいっぱいになる程度。なんだかこじんまりとした家族的な山小屋です。
食堂で北アルプスの地図を見て「餓鬼岳」に行きたいという話をしていたら、同じテーブルに座っていたご夫婦が、「いい山ですし、餓鬼岳の小屋もいいですよ」と勧めてくださいました。ご夫婦は北アルプスのあらゆるルートを歩ききったのですが、唯一鷲羽池のほとりを歩いていない…ということで、今回は鷲羽池を目指して登山をしているということでした。
やっぱりこの裏銀座ルート、なかなかすごい人が多いなあ…。
噂に違わず、野口五郎小屋は風が強く、夜通し風の音がしていました。特にトイレに行くと、下から風が吹いてきてヒヤっとします…本当にこんなところに小屋を建ててすごい。
暖かい布団に潜り込んで、ちょっと幸せを感じつつ眠りました。