以前一度、雪山登山で「前掛山」を目指したのですが、強風で、あとちょっとのところで撤退した浅間山。
ここ数年は噴火警戒レベルが上がって、前掛山は立ち入り禁止になっています。そのため今回は「黒斑山」と外輪山を周遊することにしました。
木も生えていない不毛な火山の印象の浅間山ですが、外輪山は森あり、尾根あり、急坂の登り下り、笹畑やお花も楽しめる実に変化に富んだ楽しい山でした。
【行程】
往路:東京→[新幹線]→佐久平駅→[車]→高峰高原ビジターセンター
ビジターセンター(9:40)→[表コース]→車坂山(10:00)→槍ヶ鞘(14:50)→トーミの頭(11:05/11:20)→黒斑山(11:30/12:00)→蛇骨岳(12:30)→仙人岳(12:45)→鋸岳(13:15)→賽の河原(14:00)→火山館(14:20/14:40)→トーミの頭(15:15)→槍ヶ鞘(15:35)→[中コース]→ビジターセンター(16:20) ※総行動時間6時間40分
復路:高峰高原ビジターセンター→佐久平駅
【浅間山】
群馬県・長野県、百名山、標高は前掛山が2524m、黒斑山が2404m。
活火山で浅間山は立入禁止、前掛山も噴火警戒レベルの応じて立入禁止になります。
外輪山の尾根を歩けば、浅間山の秀麗な山容を楽しめ、賽の河原へと下りれば、噴火の跡も感じられる変化に富んだ登山です。
江戸時代に大きな噴火があり、それ以降も中小規模の噴火を繰り返しています。登山をするときは噴火警戒レベルをご確認ください。(※2024年時点では噴火警戒レベル2のため、前掛山は立入禁止です)
登山レベル:★★★☆☆(中級)黒斑山までのピストンならば行程も短いため初級者でも登頂可。
今回の行程は外輪山からJバンドを降りて、草すべりを登るという1周ルート。この場合は時間が長いのとJバンドの岩場を下りることもあり中級ぐらいのレベルです。
【山バッチ】
高峰ビジターセンター、火山館で購入できます。


ビジターセンターからトーミの頭へ
6月の土曜日、雨も心配しましたが、この日は奇跡的に晴れました。
東京から新幹線で佐久平へ行き、駅からは車で高峰高原ビジターセンターへ。ビジターセンター前の駐車場は無料。
9時過ぎの遅い到着にもかかわらず、車を止めるスペースはまだ残っていました。
こちらで身支度を整えて、浅間山外輪周遊登山へと出発します。


山バッチはここで購入しました。
ビジターセンターの横に小さな神社があり、その横が登山口になっています。
私達は「表コース」からの登ることにしました。
東京は30℃近くの夏日でしたが、浅間山の麓は涼しく、湿気もなく、ちょうと良い温度です。
木々の下、まさに高原の道を歩くと、段々と坂道になっていきます。



坂道は段々急坂になっていきますが、シャクナゲやイワカガミなどお花も咲いていました。
火山の山と思っていたけど、お花も緑もあるんだな〜。



途中で見晴らしの良い場所にでました。青空に向かいの山の緑がきれいに映えています。
眼下にいくつか建物があります。ビジターセンターとホテルのようです。


さらに登っていくと、横倒しになった大きなドラム缶みたいな建物が。
中を覗くと何にもない空間で、1つだけ消火栓?なにかの機械の箱のようなものがおいてありました。
うーん、多分シェルターなんだろうなぁ。


シェルターから登ってすぐのところが槍ヶ鞘。本来はここから浅間山がでんっと見える予定でしたが、この日は下から雲があがってきて、視界を遮っています。うーん…残念。

とりあえず、トーミの頭まで行こうと尾根沿いに進みます。
眼の前にはやたら急な坂があって、あそこを登るのかぁ…と、少し気持ちが億劫になります。

その坂の手前まで歩いていると、風向きが変わったのか雲が薄くなってきて…
浅間山のきれいな円錐形がはっきりと見えてきました。
おお〜、キレイ!これはテンション上がる!


トーミの頭までは急坂を登ります。とはいえ、それほど長くないので5〜10分で登り切ることできます。
坂を登ればトーミの頭に到着です。

トーミの頭に着いたときは雲は消え、浅間山の全景がくっきり見えました。
青空に、緑の衣を羽織った山。麓の緑が山頂にいくにつれ、茶色になるグラデーションも美しい。

黒斑山と浅間山外輪の山々
トーミの頭から黒斑山へはほんの10分程度です。少し背の高い木の下の道を歩いていくと、右手に浅間山の雄大な姿が見え隠れします。


11時半に黒斑山に到着しました。前掛山に登れないので、今回はここがピークです。
ビジターセンターから2時間程度で到着できるので、黒斑山まではそれほど難しくはありません。
ここで時間をとってランチタイムにしました。
コンビニで買ってきたおにぎりと山がいい感じでおんなじ形♪



ランチを食べ終わったら、外輪山を周遊します。
歩いていくと、木がなくなって、吹きさらしの尾根道になります。
見晴らしがよく、右手前方にどんと佇む浅間山の姿を見ながら歩くことになります。
とても気持ちいい道です。





黒斑山から30分弱で「蛇骨岳」に到着。ここからの見晴らしもいい〜。
外輪山の反対側に広がるのは嬬恋村の畑の緑です。名産のキャベツ畑だろうか…今年はやたらキャベツの値段が高かったから、産地ならやすいかも?と、眼下を眺めながら思いました。




蛇骨岳から5〜10分で仙人岳に到着します。外輪の山々は多少アップダウンはありますが、それほどの距離はなく、尾根を気持ちよく散歩してたら次の山についたって感じです。
景色もいいし、なかなか贅沢な散歩道ですねw


火口から2kmという看板が目に入りました。
だいぶ浅間山に近づきましたが、遮るものがなにもないから、ここで噴火したら怖いな、と思いました。

鋸岳へ行くにはさらに浅間山へと近づいていきます。山肌に登っていく登山道が見えました。
一昨年の冬に雪山で浅間山に登ったとき、前掛山へ登る登山道を歩いたのですが、あまりの強風で歩いているとき何度も耐風姿勢で耐えて、寒さで手がかじかんだのを思い出します。




外輪山の端っこ、「鋸岳」に到着しました。火山の成分でしょうか、地面が赤くなっています。
赤い土の向こうに、やたら大きい浅間山の山肌が見えました。なんだか不思議な景色です。

Jバンドを下り、火山館へ
鋸岳まで行ったら、少し戻って、今度はJバンドを下って賽の河原へとおりていきます。
このJバンド、なかなか急な坂道で、登山道は岩が多い。
この坂道を韓国人らしき男の子たちが「コワイです〜」「アブナイです〜」と言いながら登ってきていました。
彼らの足元を見ると普通のスニーカーだったので、それは滑るし、安定感ないしコワイだろうな〜。
浅間山を舐めてはいけませんw



Jバンドを下りきると、なだらかな平坦な原っぱに出ます。
おそらく噴火のためか高い木は生えておらず、一面低木なので、浅間山の雄大な姿が一望できます。
直下から見上げる前掛山はのしかかるように大きい…。
そして、ところどころに、どんっと鎮座する大きな岩…こちらも噴火で飛んできた岩の塊なのでしょう。
かなり大きくて、噴火のエネルギーの凄まじさがわかります。



左手に浅間山を眺めながら低木の原っぱを歩いていくと、段々と木が高くなり、林の中に入っていきます。
途中、前掛山へと連なる道がありましたが、「立入禁止」になっています。
このあたりで、大きな鹿が木の芽を食べている姿を見ました。立入禁止で人が入らないから、鹿ものんびりと生活しているようです。

このあとは草すべりを登って、トーミの頭へ戻る予定ですが、お手洗いに行きたいので、「火山館」へと足を伸ばしました。
分岐から5分ほど下っていくと火山館に到着します。
ここでお手洗いをお借りして、火山館の中に入ると、浅間山の噴火の資料が色々おいてあって、管理人さんもいらっしゃいました。中はストーブをたいていて暖かい〜。山バッチも売ってました。


草すべりを登って、ビジターセンターへ戻る
火山館で少し休憩したら、本の分岐へと戻り、今度は草すべりへと進んでいきます。
樹林帯を抜けると、一面笹畑の山肌に出ます。緑の壁が立ちはだかっているような笹山を登っていきます。ここが草すべりの急登で、なかなかの斜度でした。




グラデーションがきれい

目線を横にやると、先程まで歩いていた外輪山の尾根が連なっています。
元の場所に戻るには、草すべりの急登を一歩一歩進み、外輪山の高さまで登り返す必要があります。が…ここの急坂がなかなかハード。休みつつ上を目指します。



草すべりを2/3ほど登ったあたりで、花がたくさん咲いていました。
ミヤマキンボウゲ、ツガサクラ、ハクサンイチゲ。かなりお花が多くて、登坂にしんどいなあーと思っている心を励ましてくれます。
浅間山ってもっと火山だと思っていましたが、外輪山はこんなにお花が咲いているんですね。
景観も花も楽しめる山です。





草すべりを登ること約30分。やっと外輪山の尾根に登ってきて、目線の高さに浅間山が見えます。
トーミの頭についたときには、雲が広がってきてしまって、行きとは全く違う色に染まった浅間山が望めました。


お天気が急に崩れて小雨がぱらつき始めました。
下山は中コースを選択したので、ほとんどが樹林帯。小雨が降ってもレインウエアを着ないでも大丈夫なのが嬉しい。





出発が遅かったせいもあり、16時20分に駐車場に着いて、やっと下山終了となりました。
6月だったので日が長いので、多少遅くなっても大丈夫ですが、今日、浅間山最後の登山客だったのか、すでに人の姿は少なく、午前中は混んでいた駐車場も空きだらけ。
ちなみにビジターセンターはレストランと売店があり、登山の山バッチはここで購入しました。
レストランは16時前に閉まってしまうので注文できず…ソフトクリームが食べたかった…w

黒斑山を中心とした浅間山外輪山は、メインの浅間山の眺めもよく、地形や植物、噴火の歴史も勉強できる、変化ある良い山でした。前掛山がオープンになったら、ぜひまた来たい!
近くに軽井沢があるのでショッピングがてら登山もできます。また、四阿山や根子岳もあるので翌日も別の百名山に登れます。
色々な楽しみ方ができる山でした。