縦走の最終日は、野口五郎岳の日の出でスタート。裏銀座の稜線を歩いて烏帽子小屋へ行き、ブナ立て尾根をおりて高瀬ダムでゴールします。上空に雲が多かったのですが、見通しがよく、気持ちよく最後を締めくくることができました。
【行程】※この投稿は4日目の行程になります。
往路:東京→夜行バスにて新穂高温泉
1日目:新穂高温泉ロープウェイ→わさび平小屋→秩父沢→鏡平山荘→弓折乗越→双六小屋→丸山→三俣蓮華岳分岐→黒部五郎小舎
2日目:黒部五郎小舎→黒部五郎岳→黒部五郎小舎→三俣山荘
3日目:三俣山荘→鷲羽岳→ワリモ岳→水晶小屋→水晶岳→水晶小屋→東沢乗越→真砂岳→野口五郎岳分岐→野口五郎小屋
4日目:野口五郎小屋(6:05)→烏帽子小屋(7:50)→高瀬ダム登山口(10:10)→高瀬ダム(10:50) ※行動時間:4時間半
復路:高瀬ダム→(タクシー)→信濃大町→(JR大糸線)→松本→(JR・あずさ)→都内
野口五郎岳山頂の朝焼け
小屋の電気がついたので起きたら朝の5時でした。かなり爆睡していたみたいですw
ぼんやりとした頭で着替えて、荷物を整えて、昨晩頂いた朝ごはんのおにぎりをぼーっとかじっていたら、外から「富士山が見える」という声がして、ハッとして外に飛び出ました。
太陽に辺りが赤く染まっていて、雲の向こうに小さく富士山が見える!おお、すごい〜朝焼けだ!
雲が多いもののとてもいい天気で、素敵な朝焼けです。そして昨夜強風だと思っていたのに、思いの外、風がない…。
俄に、昨日登れなかった野口五郎岳に行く気になり、食べかけのおにぎりを片付けて、水だけもって野口五郎岳の山頂へと小走りで向かいました。
雲が多いため、太陽の光を反射して、空全体がうっすらとピンク色。
小屋の手前の坂を登りきって、さらに上に行くと、小屋と反対側の山並み…赤牛岳に連なる山脈、そして昨日歩いてきた鷲羽岳からの稜線も見通せる場所に出ます。
山々が朝日を浴びて黄金色に輝いていて、本当に眩しいくらい素敵な景色でした。
息を切らせてたどり着いた野口五郎岳の山頂。
赤とピンクと黄金色と…なんだかこの世のものとは思えない色にそまった景色。
しかも、遠くに見える鷲羽岳の肩のあたりに、虹がきらめいていました。
すごーい、異世界みたいだぁ…
こんな景色が見えると思っていなかったので、大感動。黒部五郎に続いて、野口五郎も大好きな山になりました。
野口五郎小屋から烏帽子小屋へ
太陽が昇って、世界が元の色に戻ってきたので、私達も小屋に帰りました。
食べ残しのおにぎりを食べて、身支度を整えて出発します。
今日は縦走の最終日。野口五郎小屋から高瀬ダムへと下りる4時間半の行程です。今までで一番短い道のりで、基本的に下りがメインなので気も楽。ただ4日目でだいぶ足が疲れています。
最初の2時間は昨日と同じように裏銀座の稜線歩きです。
緩やかな稜線を、登山道に沿って歩いていきます。岩場登りの時々ありますが、それほど危ない箇所はないです。
左手に赤牛岳からのびる山を眺めつつ歩いていくと、右手の下のほうに高瀬ダムが見えてきます。
高瀬ダムが見えてきたところで、道は右側に折れ、山から下りていくことになります。
楽しかった稜線歩きもこれで終わり。黒部五郎、鷲羽、水晶、赤牛、薬師、雲ノ平…4日間見てきた山々を目に焼き付けて下山をします。
前方からテントを担いだ人が何人も登ってきました。裏銀座、ブナ立尾根を登って、昨日は烏帽子小屋のキャンプ場に泊まった人たちでしょうか。今度はテント泊でぜひ歩きたいルートなのですが、重たい荷物を持って裏銀座のアップダウンは、なかなかハードそうですね。
下りていくと、高瀬ダムが近づいてきます。
ダムを右手に見ながら稜線を少し歩くと森の中に入ります。ここから烏帽子小屋まではやや急な登り坂になります。
樹林帯の中を登っていくと、烏帽子小屋のテント場に出ます。さらに登っていくと、烏帽子小屋にやっと到着…。
ブナ立て尾根を下って高瀬ダムへ
7時50分に烏帽子小屋に到着しました。烏帽子小屋もこじんまりした雰囲気のよい小屋。
昨日、野口五郎小屋手前で会った人がこの小屋に泊まっていて、ちょうど出立するところでした。烏帽子岳登ってきたけどよかったよ〜と仰っていたので、烏帽子岳に行くか悩みましたが、今回はこのままは下山することに。次に裏銀座を歩くときのために、登る山を残しておくw
下山の準備を整えて、いざ、縦走最後の「ブナ立尾根」へ挑みます。
下りるぞ!と思っていたら、烏帽子小屋からしばらく登り。登ったあとは、展望のよい眺めをちょっとだけ楽しめました。これが山を眺める最後の場所になります。
すぐに樹林帯に入り、展望がない樹林帯の道をおりていくことになります。最初は緩やかで道も整っていて、歩きやすいじゃないかと思ったのですが、段々坂が急になってきて、木の根っこや滑りやすい泥土に足を取られそうになります。足も疲れていたので2回転んで、足を軽く負傷してしまいましたw
日本三大急登のブナ立尾根には番号がついていて、登山口が10で稜線に出ると1になるそうです。
今回は下りだったのですが、ここを登ったら確かにしんどいだろうなぁ…という急坂でした。
10時10分に高瀬ダムの登山口に到着しました。急坂をおりるのに2時間程度。下りとはいえ、やっぱりハードな尾根でした。
ここからはダム沿いに歩き、不動沢橋を越え、不動沢トンネルとくぐって、高瀬ダムの入口まで30分ほどかかります。
長い不動沢の吊橋を渡ると目の前には深い黒々としたトンネルが・・・。
約400mはある不動沢トンネルです。結構長いし、薄暗いし、水が滴り落ちているし…一人出歩いたら怖そうなトンネルですが、歩道と車道がわかれていて、時々ダムの作業トラックが通ります。
このトンネルをぬけると高瀬ダムの入り口で、タクシーに乗るのはここになります。
ダムに着いたらタクシーを呼ぼうと思っていたのですが、すでにタクシーが待っていて、運転手が素早く案内してくれて、あれよあれよと言う間に、別の登山客と相乗りで七倉まで連れっていかれましたw
七倉からは信濃大町まで別のタクシーに乗り換えて、「七倉荘」という立ち寄り湯のある旅館へ。
お風呂で4日間!の汗を流して、旅の疲れを癒やします。
信濃大町からはローカル線に揺られて松本に着いたら、駅近のお蕎麦屋さんで締めの蕎麦!
つるっとさっぱりで、美味しかった〜!
4日間に渡る黒部五郎、鷲羽、水晶の縦走の旅は無事終了しました。
予定していた初日に台風がきて、急遽日程をずらし、ルートも逆回りに変更しましたが、結果的に悪くないルートでした。雨もそれほどふられず、大半は天候も見晴らしも良かったので満足行く山旅となりました。なによりも百名山を3つ行けたのは嬉しかった!
それでも、裏銀座の稜線は何度歩いてもいい道なのでまた行きたい、と思っています。