3日目は百名山の中でも長い時間がかかると有名なトムラウシ登山です。朝3時に眠たい目をこすりながら、山支度を整え、トムラウシ温泉を出発します。まだ暗い中、トムラウシ短縮コース登山口へ、悪路の林道を車を走らせること30分。駐車場に到着しました。
【トムラウシ山】
北海道、標高2142m、百名山。
日帰りでいけるのは今回のトムラウシ温泉からの短縮登山口ピストンコース。それでもコースタイムが12時間なので、早めの出発がおすすめ。途中に避難小屋もトイレもないので携帯トイレを持参すること。天気の急変にそなえて雨や風の防寒対策も必須。
登山レベル:★★★★☆(中上級)難しいところはないですが、長いので体力が必要です。
【トムラウシ登山行程】
トムラウシ温泉(3:00)→[車]→トムラウシ短縮登山口(3:30)
登山口(4:00)→カムイ天上(5:00)→コマドリ沢(6:30)→前トム平(7:30)→トムラウシ公園→トムラウシ山頂(9:30)→[休憩30分]→トムラウシ公園→前トム平→コマドリ沢→カムイ天井→登山口(15:00)
【北海道の山旅日程】
1日目:羽田から旭川空港。旭岳登山(ピストン)
2日目:美瑛、富良野を通ってトムラウシ温泉へ移動
3日目:トムラウシ登山(ピストン)
4日目:富良野へ移動
5日目:十勝岳登山(ピストン)。新千歳空港から羽田へ
トムラウシ登山口からコマドリ沢
朝3:00。眠たい目をこすりながら、山支度を整え、トムラウシ温泉を出発します。
外はまだ暗闇の中、トムラウシ短縮コース登山口へ、悪路の林道を車を走らせること30分。駐車場に着いた時は3:30だったのに、うっすら明るくなっていました。周囲はトムラウシ登山をする人がたくさん。虫がブンブン飛ぶ中、支度を整えて、4:00前に登山口から登りはじめます。
朝は天気があまり良くなく、霧雨のような雨が時折降ってきます。足元は少しぬかるんでいました。木々の中を20分ほど歩くと、温泉宿からの登山道との分岐点にでます。
分岐を過ぎて登りが始まりました。雨上がりの樹林帯は虫が結構いますので要注意。
朝5:00。1時間程度歩いて「カムイ天上」という場所にでます。笹と木々に覆われたなんてことはない場所のなのですが、この先少し登っていくと、山の上に出て少し見晴らしが良くなります。
登りきると青空が見え始めました!
遠くの山も望めます。北海道らしい広大な空間に、平坦な山がずーと続いているのが見えました。
少し平坦になった道を大きく迂回すると、ようやくトムラウシが見えるポイントまできました。残念ながら雲がかかっていて、トムラウシの姿はまだ見えません。…トムラウシが見えるところまで来るのに2時間・・・長い道のりです。
登山道は、少し急な下りに転じます。その下り坂…濡れた岩場を慎重に下りていくと沢に出ます。
川沿いに歩いて10分ぐらいすると、雪渓が見えてきて、その上に「こまどり沢」の道標が雪渓の上に立っていました。
コマドリ沢の横…崖の上に雪渓があり、登山客はその雪渓上を歩いて行きます。
雪渓を登って前トム平へ
コマドリ沢で一休みした後、私たちも雪渓の上を歩いて登り始めました。
軽アイゼンは使わずに、雪を踏み抜かないように気を付けてそのまま進みました。少し滑りそうになるので、億劫でなければ軽アイゼンを付けた方が良さそうです。登って振り返ると雪渓はこんな具合。傾斜があるので、足元は慎重に。
雪渓の途中まで歩くと、ピンクテープが脇の木にぶる下がっています。
ここから土と木の間の道を通ってトムラウシへ向かいます。
見逃して雪渓の上までまっすぐ行ってしまった人もいたので、横に入っていくこのピンクのテープを見逃さないように進みます。
木の間をぬけて道なりに進むと、大きな岩がゴロゴロしている岩稜帯に出ます。
ここを登っていきます。
。
岩ゾーンを超えると緑の低木に覆われた山道を進みます。ここでは晴れ間が覗いていたので周囲の景色を楽しむことができました。山の稜線がキレイです。足元には花も咲いていました。
この斜面を登りきると、前トム平にでます(7:30着)
ここは少し曇ってきてしまったのですが、ここでご飯休憩にしました。
トムラウシ公園を経てトムラウシ山頂へ
この小高い山を越え・・・トムラウシを目指します。
途中でお花畑を発見。細いピンクと黄色の花がキレイです
ここで初めてトムラウシが一瞬だけ見えました!
「二本の角」ぽい山頂がちょっとだけ・・・ここまで来るのに本当にながったけどトムラウシ登山としてはこれからの様子です。
大きな岩がゴロゴロ転がっているところを越えていきます。この岩場を少しよじ登れば終わり
岩山をよじ登って、トムラウシの全景が見える・・・はずのポイントに来ました。残念ながらトムラウシは雲の中。眼下には雪渓が広がっていました。
ここから一旦下におります。トムラウシは本当に秘境にあるだなぁと思わせる道のりです。
降りきると「トムラウシ公園」の道標。
山の中にひっそりとある自然の公園は、池があって水が流れていて、少しばかり日本庭園的な趣がありました。
花びらに花が重なったキレイな花。
岩の間に可憐な白い花がたくさん咲いています。
花を3つつけた鮮やかなピンク色の花。
公園をぬけて、雪渓を越えて、トムラウシに向けて最後の登りに入ります。
登山を始めて5時間ぐらいだった9時手前です。
曇り空のためか、岩が多いためか、荒涼とした世界が広がっているように見えました。
霧の中にテントが見えてきました。南沼キャンプ場。
縦走する人はここに泊まるようです。
十勝岳まで行く道の分岐点。
ここから30分程度でトムラウシの山頂に着く予定。
道のりは霧の中。岩場に記された矢印を頼りに進みます。
そしてようやく、トムラウシの山頂に着きました!
残念ながら展望はそれほど良くありません・・・
それでも、雲間から時折、周囲の景色が望めました。
雪渓の残る山間。
山頂は岩がゴロゴロした厳しい、不毛な地。
その岩場の向こうに垣間見える山々・・・。大雪山、旭岳の方へ繋がっている山のようです。
今通ってきた方向。どこまでも山が続いていて、北海道のスケールの大きさが伝わってきます。
トムラウシ山頂から、ひたすらピストン下山
山頂で30分ぐらい休憩をしているとあっという間に体が冷えてきました。
長い道のりにたどり着いた喜びもつかの間、下山を開始します。
来た道をピストンで戻ります。
途中で見つけた・・・天然のバスケットに入った花束
雪渓を渡ろうとしたら、登ってきた人が「さっき、そこの雪渓をヒグマが歩いていたんですよ」
と、やや興奮気味に教えてくれました。
彼女は雪渓の向こうの小高い丘でヒグマの姿を発見したそう。雪渓を渡る道には普通に人が歩いて、ヒグマ気にせず堂々と雪の上を歩いて行ったとのこと。
「ニアミスですね・・・」
うーん。やっぱり、北海道にはヒグマが、結構人の近くにいるものですね。
私たちは無事にヒグマに遭遇する事なく雪渓を渡り、そのまま下山を続けました。
先ほど通ったトムラウシ公園に再び到着。
ここから少し登って、トムラウシを望んだ小高い山を越えます。
大きな岩がゴロゴロしていた岩場を越え、前トム平へ。
前トム平のあたりになると、再び晴れてきました。
美しい緑と雪渓の織りなす山肌を見ながらひたすら下山。
意外と手強かったのが、コマドリ沢手前の雪渓。行きは上りだったからよかったけど、帰りは下り。少し柔らかくなっている雪渓を滑りおりるみたいに進むと妙にアドレナリンが出て、ガンガン行きたくなちゃうから不思議。
でも急だから、気をつけて進まなきゃいけません。
コマドリ沢まで戻ってきました。ここからはまた少し急な上りになります。
実はここからがすごく長い・・・。
上りの手前で「トムラウシは意外にたいしたことないねー」とタバコを吸っているオジさんが豪語していましたが、ここから3時間ぐらいの道のりが実に長いのです。
疲れてきた気力を振り絞って、頑張ってのぼります。
上りきって、木立の中を歩きます。
振り返ってみると、雲の中にトムラウシの姿がうっすらと・・・(多分)
最後の見納めです。
木立の中を歩いて歩いて、コマドリ沢から2時間ぐらいして、ようやく「カムイ天上」に到着。
行きはこんなに長く歩いた記憶がないのですが、やっぱり目的を達して戻る道は長く感じるものですね。
カムイ天上から1時間、かなり早めに歩いて、分岐点を通過。
車を置いた短縮コースの入り口に着いたの、出発してから11時間後の15時でした。
12時間ぐらいかかると言われたトムラウシの往復コース。
だいぶ頑張って歩いて1時間短縮しましたが…やっぱり長いなぁ。
トムラウシが見えるところまで行くのに4時間ぐらいかかるので、道のりの半分が麓までの道ですね…。
何はともあれ、無事にトムラウシの旅を終えて、トムラウシ温泉まで戻ります。
お風呂に入って疲れを癒し、お楽しみの本日の夕食。
馬刺しスモークハムサラダ、お刺身、ナスの田楽などなど・・・。
今回の旅の一番の山場「トムラウシ」を無事に制覇できて、ホッと一安心。
今日はゆっくりと眠ることができます。