【雪の安達太良山 Day2】晴天の山頂、ほんとの空

安達太良山山頂
北海道・東北

夜中まで風の音が響いていて、「これは明日はもう登れないんじゃないかなー」と夢うつつ、気づいたら朝になっていました。外を見ると雪はふっていないものの真っ白。でも空の一部が明るくなっていました。

【安達太良山】
標高:1700m 福島県 百名山
ロープウェイで山頂近くまで登ることができるため、初級者でも登りやすい山です。
登山レベル:★★☆(中級)
※冬はアイゼン・ピッケルが必要ですので、ある程度雪山に慣れている必要があります。

【行程】
往路:東京→[東北新幹線]→郡山→[東北本線]→二本松→[タクシー]→あだたら高原スキー場
1日目行程:奥岳登山口(11:20)→勢至平分岐(13:00)→くろがね小屋(13:40) ※宿泊
2日目行程:くろがね小屋(7:30)→峰の辻(8:15)→安達太良山山頂(8:40)→薬師岳(9:50)→五葉松平(10:00)→あだたら高原スキー場(10:50)
復路:あだたら高原スキー場→[タクシー]→岳温泉→[タクシー]→二本松→[東北本線]→郡山→[東北進化線]→
東京

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くろがね小屋から辻の峰へ

朝6時半 朝ごはんをいただきます。ごはんに、卵焼きに、漬物・佃煮。オーソドックスな朝ごはんで力をつけます。先にご飯を食べ終わっていたツアー客の一団が登山の準備を始めていました。どうやら、安達太良山を目指すようです。
天気予報は「午前は曇りのち晴れ、午後は雨」ということ。風はあっても天気は回復するだろうといいます。
窓の外を見ると昨日よりは風は弱く、視界もちょっとずつ晴れてきている様子。
よし!行くぞ!と気合いを入れて、ご飯を食べ終わると同時に登山の支度をしました。

朝7時半。身支度を整えて、お世話になってくろがね小屋を出ました。風は時折強くふくものの、昨日に比べたら全然先に出発した人たちがアイゼンをつけていたので、途中でつけるのも手間だしと、アイゼンを装着して登り始めました。

ツアー客や、その他の登山客が登っていった後に出発したのでトレースはしっかりついていて、道に迷うことはなさそうです。

くろがね小屋の前の坂を登っていきます
くろがね小屋が眼下に見えます。その向こうの山も今日ははっきり見える
行く先に山が見える。灰色の空に霞む山…

登り始めるとすぐに暑くなります。風も思ったより強くなく、雪も降っていないので、昨日はコンディションは良いのですが、この先山頂付近に出たら風が強いはず…と思い、厚いフリースのまま登り続けました。

頭上は深い雲が覆っていて、どんよりした景色です。霞む山頂がいくつか見えるのですがどれが安達太良山なのかわからない…どれでもないのかもしれない…と、思いながら、アイゼンを履いて重たい足で雪をかきわけ、坂を必死に登り続けました。やっぱり雪山は脚力が必要だ…。

少しだけガスが晴れて遠くまで見通せるように
トレースがしっかりしていて、道はわかりやすい
雪がついていない地面。地面が岩でできている
まだまだ、ずっと先まで登り続ける。

登り始めて30分もしないうちに、空を覆っていた雲が切れ太陽の光が差し込みました。
その瞬間、グレーだった世界が白く輝きます。

太陽の光で景色が一気にクリアになります
下界の景色が見えてきました!晴れてきた!
峰の辻までの登り坂です。圧倒的な雪の斜面。
この登り、結構足にきます・・・
雪面を照らす太陽。なんてきれいで眩しい冬の世界

辻の峰から安達太良山頂へ

8時15分。峰の辻に到着しました。くろがね小屋からだいたい40分ぐらいです。
辻から見渡す安達太良山の裾野は広くて、その上に広がった青空が雪を白く輝かせていました。
見上げると、ぴょこんと立っている岩山がトレードマークの安達太良山の山頂が見えました。

峰の辻から一度下ります。その後山頂まで一気に登ります。
時折強風で体がもっていかれそうになるのを耐えれば、心配していたほど風は強くありません。
おまけにこの青空!一気にテンションアップで、山頂を目指します。

峰の辻に到着!
峰の辻から一度谷を下りて、そこから左側の山頂に向かって登っていきます
晴れたので麓までよく見えます
谷までおりきりました。山頂を見上げるとのしかかるような雪の斜面が
山頂に向けて最後の登り。あとちょっとがんばります!

そして、8時40分。峰の辻から20分、最後の急坂を登って、ようやく安達太良山の山頂にたどり着きました!
夏に一度来たことがありますが、冬の白い世界に感動もひとしおです。

安達太良山の山頂です!晴れた!いい天気!
風で雪が飛ばされてしまったのか、雪は薄く積もっている程度

ザックをおろし、ストックをピッケルに持ちかえて、本当の山頂、岩山の上まで行くことにしました。
雪の斜面は急だし岩場だし、アイゼンで登れるか心配しましたが、登る距離も短くすぐに山頂に到着。

この岩山の上に登ります

岩の向こうは青空と、雪をかぶった東北の山並みの絶景が広がっていました。雪をかぶって白くなった祠が青空に映えて、本当に綺麗。
ただ、この山々を渡ってくる風は非常に強く、岩陰に隠れて山頂の景色を楽しみました。

岩山の上に小さな祠があります。ここが本当の山頂
向こうに見えるのは磐梯山?雪をかぶった立派な山が遠くに見えます

あだたら高原スキー場へ下山

少し足元が凍っていたので、気をつけて岩山の山頂から下ります。
ザックのところに戻って山頂を見渡すと、すでに人の姿はありません。みんな下山をしてしまったようです。
私達も少しの休憩の後下山を開始します。

下山は薬師岳を経由してロープウェイ駅の方面へおりていきます。
トレースに沿って、雪深い山肌をおりていきます。山の斜面に風が作り出した美しい雪紋が見えます。

雪紋の中、トレースに沿って下りていく
うすく氷をつけた木が青空に白く
低木の中を進んでいきます
振り返って見た安達太良山の山頂。だいぶおりてきました。

薬師岳までやってきました。「この上の空がほんとの空です」という碑が立っています。
この碑の言葉の由来は高村光太郎の『智恵子抄』。その一節に「阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に 毎日出ている青い空が 智恵子のほんとうの空だといふ」とあり、高村光太郎の愛妻智恵子が言う「ほんとの空」がこの空と言われています。

この日、白い安達太良山の上に広がる空は深く青く晴れやかで、確かに「ほんとの空」だったかもしれません。

有名な碑がある場所は、安達太良山と空がきれいに見えました
安達太良山の上に広がる青い空

碑のところから少し歩くと「薬師岳」です。
下山途中だと、ピークを感じるわけではなく、下山道の一部…みたいな感じでした。
ここからロープウェイ駅にはいかず、「五葉松平」を経由して、あだたら高原スキー場の横をおりていきます。

薬師岳山頂

下山してきて標高も低くなり、風も吹かず太陽が照らす中の下山はかなり暑くなり、途中でフリースを脱ぎました。
また、雪も途中でなくなって泥だらけの山道になり、アイゼンに泥ががっつり入り込み、慌ててアイゼンをとりました。泥と雪のぐちゃぐちゃになったゲレンデを下りていきます。薬師岳から1時間弱の下山で、ようやく昨日の出発地点、あだたら高原スキー場に戻ってきました。

くろがね小屋を出発してから約3時間半の道のりでした。

あだたら高原スキー場のゲレンデ。今日はいい天気!

ご褒美下界メシは成駒のソースカツ丼!

あただた高原スキー場からはタクシーで「岳温泉」へ行きます。
スキー場のレストハウスで着替えをして、タクシーが来るのを待っていたのですが、なんと電話してから1時間も来ない…近辺にタクシー会社は人手不足のようです。
午後になると麓も風が強くなり、やっぱり早い時間に行動したほうがいいと思いました。

タクシーに乗って岳温泉の「成駒屋」へ。ソースカツ丼で有名なお店で、前回来た時に食べて、そのボリュームと美味しさで、今のところ自分の中で1番のソースカツ丼がこのお店です。

少し待ってから席につくことできました。モンベルのカードを提示すると温泉卵がつきます。また、登山客にはキーホルダーをくれるとのことでお土産までありました。

そして、すごーく楽しみにしていた、私史上No1ソースカツ丼が目の前に!
ロースとヒレがあるのですが、私はいつもヒレ。衣がサクッとしていて、肉厚でほんと美味しいです。
ご飯の量も多いので全部食べきれませんでしたが、大変お腹いっぱい。大満足!

ヒレのソースカツ丼 1350円
分厚いカツ。見よ、この絵力!

ご飯のあとは、タクシーで二本松駅へ行き、東北本線で郡山へ。そして東京へと帰りました。

今回の安達太良山登山は、くろがね小屋で美味しいカレーと温泉を楽しみ、晴天の山頂も堪能、最後の締めにソースカツ丼をいただくという、大変満足な冬の雪山登山でした。
雪山の行程としても長くはないので、私のような雪山初級者でも登ることができる山だと思います。

絶景の雪山を体験すると、雪山にハマる人の気持ちがわかるようになります。
この山旅で「雪山」が好きになった気がしました。