【鳥海山1泊2日 Day1】花畑と雪渓を越えて湯ノ台コースで鳥海山へ

鳥海山
北海道・東北


数年前に一度途中まで登ったのに強風で撤退した山…鳥海山。今年、再チャレンジして、ようやく登頂できました。晴天ですごく暑かったけど、お花や景色を楽しみながら、雄大な鳥海山を歩きました。

【鳥海山】
標高2236m、山形県・秋田県。百名山・花の百名山。またの名を「出羽富士」「庄内富士」とも言うそう。
火山のため、火山口のまわりに「伏拝岳」「行者岳」「七高山」「新山」の峰々をもち、一番高いのが「新山」のため鳥海山の山頂は「新山」になります。山頂付近には万年雪の雪渓や、火山湖だった鳥海湖もあり、変化に富んた景観。7月〜8月の登山では、固有種の「チョウカイアザミ」「チョウカイフスマ」などの花も見ることができます。山頂には「鳥海山大物忌神社」があり、御朱印がもらえます。

【登山レベル】
中級:★★★☆☆
雪渓があるので軽アイゼンを履いて雪上を歩く技術は必要。また山頂付近は岩場のため岩歩きにも慣れて置くと良いと思います。日帰りもできますが、のんびり行きたい人は1泊がオススメです。


【行程】
往路:東京(渋谷)→[夜行バス]→酒田駅→[タクシー]→湯ノ台登山口
1日目:湯ノ台登山口(9:15)→滝ノ小屋(9:35)→河原宿跡(11:05/11:30)→伏拝岳(14:30)→行者岳→七高山(15:25)→御室小屋(16:00/16:30)→新山(17:00)→御室小屋(17:20) ※宿泊

2日目:御室小屋→扇子森→御浜小屋→大平登山口
復路:滝の台登山口→[タクシー]→酒田駅→[JR特急いなほ]→新潟駅→[新幹線]→東京駅

【山小屋情報】
御室小屋:鳥海山の山頂直下にある、定員100名程度の山小屋。「鳥海山大物忌神社」があり、御朱印がもらえます。飲料水がないのでペットボトルの水を500円で購入しました。寝具の貸出もありませんのでシュラフを持って上がります。1泊2食で11000円(2023年時)

【登山装備】
夏山装備にプラスして、宿泊する御室小屋には寝具の貸出がないのでシュラフ、マットを持参。
また、雪渓があるので軽アイゼンを持っていきました。チェーンスパイクでも大丈夫そう。ストックがあるとなお安心です。

YAMAPの行程(1日目)

湯ノ台登山口から滝ノ小屋へ

夜行バスで東京から酒田駅にやってきました。朝7時に到着。連日猛暑が続いているので、酒田の町は早朝から暑くて、日差しも強い…。今日の登山はいい天気が望めそうですが、熱中症に注意が必要になります。


朝の8時に酒田駅に集合して、タクシーに乗り込みます。タクシーで1時間ぐらいで「湯ノ台登山口」に到着します。途中、車窓から鳥海山の雄大な姿が見えました。大きな独立峰。庄内富士とも呼ばれるのも納得です。

酒田駅をタクシーで出発

車窓からみえる鳥海山

湯ノ台の駐車場。すでに車がいっぱい。

湯ノ台の駐車場につくと、すでに車がいっぱいでした。ツアーらしき人々が登山口から上っていくのも見えました。土曜日の晴天、鳥海山は登山する人でいっぱい。

身支度を整えて、登山を開始。最初は木々の中を歩くため、風が通らず蒸し暑さを感じました。
10分ほど歩くと、沢に出ます。水の上を渡る風が涼しく、麓まで見通せる景観も清々しい。
沢沿いに進むと「滝の小屋」が見えてきます。

最初は木の中を歩く
足元の草の中に黄色の花が咲いていた

沢から遠くまで山並みが見える

紫陽花とはちょっと違う?可愛い花


滝の小屋は、鳥海山の緑の山肌を背景にたつこじんまりとした山小屋。縁が赤に塗られていて可愛い。小屋の近くには川があるので水は豊富にありそうです。
今回は御室小屋に泊まるので、ここはスルーして先を進みます。

滝の小屋に到着。山肌がよく見えるきれいな場所です。

縁の赤が可愛い山小屋

小屋の前の鳥海山の外輪山が見えます

滝の小屋から河原宿小屋跡

滝の小屋から低木の中を登っていきます。草木で埋もれたような登山道を藪こぎのように進む場所もありました。足元には大きな岩があるのですが、草で見えなかったりもするので、慎重に進みます。また、ここも木に囲まれているので蒸し暑い…水を結構飲みました。

しばらく低木の樹林帯を歩いていくと、視界が開けます。滝の小屋が下に見えて、周りの山並みも見通せます。時々涼しい風が吹くので、その一瞬だけは気持ちいい。でも強い日差しが頭上が降り注ぐので、相変わらず熱中症になりそうな暑さです。そして、かなりの急坂が続く「八丁坂」、暑さと急登に歩くスピードもなかなか上がりません…。

茂みの中を登って、滝ノ小屋が小さく見えるところまで来ました。

晴天の中、八丁坂を登っていく。

足元は岩場

樹林帯をぬけて、草原地帯になってくると、花がたくさん見れます。白や黄色、紫の、いろんな種類の花が咲いていて、写真を撮るのに夢中になって、なかなか前に進みません。
7月の鳥海山はお花の宝庫。どこを見ても一面の花畑!テンションUPです。

ハクサンジャジン(紫)とハクサンボウフウ(白)
マルバタケブキ
ハクサンフウロ
登山道には小さな祠がいくつもありました


八丁坂を登りきると、ようやく鳥海山の外輪山が見えて、その全容を窺い知ることができる場所に出ます。
緑の山肌には雪渓がいくつか残っているのが見えます。青い青い空の中に、雄大な鳥海山がずんと立ち聳えている。なんとも大きな山だなーと思いました。

鳥海山はあの向こう。まだまだ登ります

河原宿小屋跡が見えてきました


河原宿小屋跡が見えてきます。まだ小屋は建っているのですが、今にも崩れそうな危険な状態。
小屋は崩壊寸前ですが、お手洗いはバイオトイレで、トイレットペーパーもきちんとあってキレイです。


小屋跡の前には川が流れています。この川の上にいると風が吹いてきて、ちょっと涼しい。
川の水を水筒にくんでいる人がいたので、水の量が心配だったので、私もナルゲンボトルに足すことにしました。…衛生的には微妙ですが、雪解け水だからまあ大丈夫かな。
でもここの水を足して置いて大正解。結局山頂まで2リットル近い水を飲むことになり、この水で命をつなぎました。暑い夏は水は多めに持っていったほうがいいですね。

小屋の前に流れる川。灼熱の登山で、清涼感を与えてくれる

今にも崩れそうな小屋の跡

雪渓と急登を乗り越えて伏拝岳へ

河原宿小屋跡は、行程の1/4ぐらいなので、少し休憩した後は、まだまだ遠い山頂を目指して歩いていきます。
まずは目の前にみえてくる雪の坂、雪渓の横を登っていきます。
今年の夏は暑いため、7月にしては雪渓が小さいそうです。雪渓の下を覗くと雪解け水が流れているのがわかりました。雪を渡って風が吹いてくると天然クーラーのように涼しい!

河原宿小屋跡から登り始めてちょっとすると雪渓ゾーンに入る

雪渓の下に雪解け水が流れる

眼下に小さく、河原宿小屋跡が。遠くに高い山が見えました。

雪渓に沿って登っていきます。


雪渓の上にロープが張ってある場所があり、どうやらそこが雪渓の上を歩く目印になっているようです。
雪の上は斜面がきついわけではないので、ストックがあれば、登山靴だけでも渡れたかもしれません。とはいえ、昨年飯豊山で滑り落ちそうになったことがあるので、持ってきた軽アイゼンを装着して安全を期して、いざ雪渓渡ります。私はどうも雪渓渡りがあんまり上手じゃないみたいで、軽アイゼンをつけていながらも何回か滑りそうになりましたが、無事に渡ることができました。

軽アイゼンを装着しました

雪渓を渡ります。2回ほど軽アイゼンをつけて渡りました。

雪渓を越えたらアイゼンを外して、登山靴で歩きます。
その後もう1回、軽アイゼンを使う雪渓があったので、結局軽アイゼンを装着したのは計2回でした。重いけどアイゼンを持ってきてよかった。

雪渓が終わると、これから稜線までは急登が続きます。真っ昼間の炎天下に登ったこの坂が思った以上にきつく、歩くペースはさらにゆっくりになりました。

急登を進む。暑い…。
稜線まで長い登り
鳥海山の広い裾野


ただ、この厳しい急な坂道沿いにも花がたくさん咲いていて、目と心を潤してくれました。一緒に行った友人が、花に詳しい人だったので、花の名前を教えてもらったので、メモメモ。でも、忘れちゃうし、似たような花があるから、間違えるんですよね…w


30分に1回ほど休憩を入れつつ、ゆっくり登ったので、14時半近くになってようやく、鳥海山外輪の稜線にたどり着きました。火山口をはさんで向かい側にゴツゴツとした新山の山頂と、御室小屋の姿が見えました。
あとは外輪に沿ってぐるりと歩いていくことになります。(って、まだ先は長い…)

やっと稜線までやってきました。新山と御室小屋が見えます。

行者岳、七高山を巡って、御室小屋へ

今までの緑の登山道と異なり、ここからは火山らしい地形の道を歩いていきます。溶岩が固まったような岩、噴火で飛んできたような石の重なり、そんな荒々しさを感じる登山道を、火山口に沿って、ぐるりと反対側へと歩いていきます。

稜線に出たところで座っている人が「今日は泊まりですか?」と聞いてきました。「御室小屋に宿泊です」と答えると「いいなーとれなかったんですよ」と仰ってました。確かに御室小屋定員が少なくて取りにくいですし、この暑さだと体もしんどいので、1泊できてよかったな、と思いました。

半分切れちゃったような山
行者岳へ登っていく

行者岳から新山を御室小屋を眺める

七高山へは小屋へ下りる分岐点からちょっと先に進みます。荷物をデポして七高山まで登りに行きました。
分岐から七高山までは10分程度です。
七高山からは向かいの新山がよく見えます。ゴツゴツとした岩山の全景が見渡せました。

七高山と小屋への分岐

七高山山頂に到着

七高山から見る荒々しい新山の山頂


七高山から戻って、荷物を背負って、小屋へと進みます。最初は、崩れたような土と石の急な坂をおりますので、落石しないように注意して下りていきます。下りていく雪渓の下に出ます。
目の前に大きな雪の壁があって圧倒されます。雪渓のところからもう一度登ると、小屋に到着です。

小屋までは降りますが、かなり急な坂です。

このザレた道を下りてきました

雪の壁がそそり立つ。万年の雪渓。

小屋までまた登ります

鳥海山の固有種。チョウカイフスマ

御室小屋に到着。神社の鳥居があります

御室小屋から新山へ。鳥海山ラスト登山!

御室小屋に先にチェックインして荷物をおき、水だけもって鳥海山最後の山「新山」へ登っていきます。

新山は大きな岩が重なってできているような山で、登山道も岩を乗り越えていくような道です。
岩場好きにはたまりせんが、ずっと登ってきて足が疲れているので、なかなかハイステップに足が上がらない!

しかもちょっと道を間違えて矢印を見失ってしまい、登山道を外れてしまったのか、なかなか難易度の高い岩登りに。

御室小屋からはこの岩山を登っていきます

足元に注意しながら、岩をよじ登っていく

大きな岩が行く手を阻む

岩に矢印を見つけた


矢印を見つけて登山ルートに戻ってほっと一息。岩山を乗り越えた後は、岩壁の隙間を下っていきます。
なんだかインディ・ジョーンズのアドベンチャーみたいな世界感でワクワクしました。探検みたい。

岩の隙間を下っていく

岩壁の間を通り抜け、右手に曲がって矢印にそって、岩場を登っていくと、新山の山頂に出ます。
2236m、鳥海山の山頂に到着です!
8年前に一度来て風で撤退し、数年前にも山行を計画するも台風で断念…と、なかなか登れなかった山なので、登頂できて感慨ひとしおでした。

山頂から見る周囲の景色が本当に青くて素敵。空の青、海の青、青みがかった大地。
そこに外輪山の崖や、噴火で積み上がった岩山が浮かびあがる…絶景の山頂でした。

山頂到着しました!2336m!

山頂の向かいにも大きな岩山があります

外輪山の稜線。頭上には月が浮かんでいる

傾きかけた太陽が海に光を落とし、オレンジ色に染まっている


山頂に着いたのが17時だったので、のんびりする間もなく下山します。小屋までは15分程度ですが、夕暮れで暗くなってきた岩場は転びそうになるので、慎重に歩きました。下山の途中も体内めぐりという狭い岩の隙間を通る道があって面白い。新山の往復は色々楽しめます。

今日宿泊する御室小屋へと帰ります。

鳥海山大物忌神社と、御室小屋の夜

小屋に着いたら17時半近くで、夕ご飯まであと30分程度。御室小屋を散策します。
まずは、神社にお参りです。鳥海山大物忌神社の創祀は1400年前と言われている古い神社。鳥海山は活火山なので、噴火あるたびに神社で鎮祭が行われたそうです。
山旅の安全を祈って、御室小屋の売店で御朱印を購入しました。

鳥海山大物忌神社の本殿

御室小屋の売店で御朱印をいただけます。

小屋の前に出て麓を見ると、まだ太陽は高く、海に太陽の光が映っています。
真っ昼間よりはだいぶ涼しくなり、風も通って、ちょうどよいぐらいの涼しさになってきました。

小屋の前からの絶景

御室小屋は宿舎2棟ほどあり、私達が泊まったのは一番高くて3階構造になっている大部屋。
はしごで登って移動します。おおきな2階建て別途みたいな感じで、1つのフロアに4人ほど寝ることができます。寝具は持参したシュラフを使います。マットも持っていったのですが、1人分の寝るスペースが狭いのもあって敷かずにそのまま寝ました。床は緩衝材にゴザが敷いてあるので寝袋だけでも十分寝れました。

小屋の内部。2階、3階構造で、1つの段に4人ほどで寝ます。


18時になったので夕ご飯。食堂へ向かいます。今日はほぼ満室ということで、ご飯は30分おきに3回転します。食堂もゴザ敷に座卓が3列ぐらい並んでいて、みんな一列に並んで頂きます。
前情報どおり、ご飯はシンプルで、おかずはサバの味噌煮、梅こんにゃく、メンマ、山菜、ごぼうサラダ。お味噌汁とお米のみです。ごはんはおかわりできませんでしたw 水源がないのでお水の提供もないですが、食後一杯だけ温かいお茶をいただけます。
お皿はプラスチックで全部廃棄するスタイル。無駄と手間を省いた効率的な感じです。
ちょっと熱中症ぎみで体調がよくなくて、ご飯完食できず…。申し訳ないですが少し残しました。

食堂の様子。横一列になって並んで頂きます。

御室小屋の夕ご飯。お米が主役のシンプルタイプ。


今日は麓の町で花火大会があるとのこと、うまくすれば小屋の前から見れる…ということで、夕食後は外でスタンバイ。温かいお茶を飲みながら、夜の景色を楽しみます。すっかり日が沈んで水平線と空の間が赤く染まっていました。

すっかり日が暮れて、海の向こうが赤く染まっている

山小屋にも明かりが灯る


風が強くなって寒さを感じたので、ダウンを着込んで花火を待ちます。
夜の7時15分ぐらいに、なにやら海沿いの麓でキラキラ光るものが…おや、あれが花火かな?と目を凝らしていると、ぽんっという微かな音と共に、小さな丸が浮かび上がって消えました。
…山頂からの花火、めちゃくちゃ小さい…w

花火は15分ぐらいキラキラして、最後に1発、山頂からみてもはっきり模様が見えるくらい大きな花火を打ち上げて終了しました。
山の上から花火が見ることが初めてだったので、面白かった。上からみても花火は丸い。。。

麓の花火大会が山の上から見える。小さい花火…

外輪山の上に月が輝く

外輪山の上には太陽に代わって月が輝いていました。明日もいい天気になりそうです。
小屋は夜8時に消灯…。かなり疲れていたようで、あっという間に眠りにつきました。