【雪の安達太良山 Day1】吹雪の中、くろがね小屋へ

くろがね小屋
北海道・東北

温泉付きのくろがね小屋に泊っていく雪の安達太良山の登山記録です。その日、天気予報では強風なものの天気はよい…はずでしたが、郡山に着いたところで雲が広がって雨がふり始め不穏な天気になってきました。

【くろがね小屋】
安達太良山の中にある「くろがね小屋」は温泉つきの小屋。夕食に出るカレーは美味しいと評判です。また、岳温泉の源流に近いこの小屋の温泉は「美肌の湯」でも有名なので、女性におすすめです。
おすすめ度:★★★ (カレーも美味しくて、温泉付きもGOOD!)

【安達太良山】
標高:1700m 福島県 百名山
ロープウェイで山頂近くまで登ることができるため、初級者でも登りやすい山です。
登山レベル:★★☆(中級)
※冬はアイゼン・ピッケルが必要ですので、ある程度雪山に慣れている必要があります。

【行程】
往路:東京→[東北新幹線]→郡山→[東北本線]→二本松→[タクシー]→あだたら高原スキー場
1日目行程:奥岳登山口(11:20)→勢至平分岐(13:00)→くろがね小屋(13:40) ※宿泊

2日目行程:くろがね小屋(7:30)→峰の辻(8:15)→安達太良山山頂(8:40)→薬師岳(9:50)→五葉松平(10:00)→あだたら高原スキー場(10:50)
復路:あだたら高原スキー場→[タクシー]→岳温泉→[タクシー]→二本松→[東北本線]→郡山→[東北進化線]→東京

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強風で新幹線が止まる!スキー場でも強風…

朝7:00の新幹線に乗り込み、これで無事に福島まで行ける…と思っていたら、宇都宮の手前で突然新幹線が止まりました。東北全域が強風で新幹線が走行できないとのこと。確かに朝から風が強く、安達太良山の天気を見ても風速30mと予報が出ていたのですが、まさか新幹線が止まるとは…。
しばらくして、「行けるところまで行きます」というアナウンス共に新幹線が動き出し、なんとか郡山に到着。郡山についたのは予定より30分遅れでした。

その後、東北本線に乗り換えて「二本松」まで行きます。この電車も「強風のため徐行運転します」ということで、のんびりとのどかな風景の中を走っていきます。と、雨粒が窓ガラスを濡らし始め、強風もあいまって、あっというまに窓が雨でびしょぬれに。しばらくすると再び晴れてきましたが、どうやら天気も不安定な日のようです。

二本松に着き、本当はバスで岳温泉まで行く予定でしたが、強風による電車遅延で乗ろうと思っていたバスは乗れず、タクシーで「あだたら高原スキー場」へ行くことになりました。

タクシーでスキー場に到着しました。曇っている・・・

あだたら高原スキー場についたのは11時頃。すぐに登山の準備をします。今年新調したオーバーパンツとスパッツを身に着け準備万端、出発します。

しかし…風が強い!
スキー場はすでに営業終了していましたが、ゲレンデを白い雪煙を上げながら風が吹き抜けていきます。今日はくろがね小屋まで樹林帯と沢沿いを歩く予定なので、そこまで風にさらされない筈なのですが、この先歩いていけるか少し心配になりました。

雪が舞い、強い風がふきぬけるゲレンデ

くろがね小屋まで悪天候の登山

強風のゲレンデ横を歩いて、すぐに岳温泉の登山口に到着します。樹林帯の中を登っていく道は、一転して風がなく穏やかでした。これなら歩いていけそうと安心します。
雪もふかふかですし、地面もみえていたので、アイゼンをつけずに歩き始めました。

岳温泉登山口

歩き始めるとすぐ暑くなりました。強風にそなえて厚いフリースを着ていたのですが、この風なら大丈夫かと薄いフリースに着替えました。
凍っている箇所もなく、雪のつもり具合もよかったので、アイゼンはつけずにつぼ足で歩き続けます。

歩いていくと途中に橋がありました。

樹林帯の中を登っているうちに雪がふりはじめました。
あれよあれよ言う間に、雪の量が増え、まさかの大雪に。
春の水分を含んだ雪は重く、着ていたレインウエアに染み込んできました…わざわざ撥水加工してもらったのに、あんまり効き目がなかった…。
雪山でレインウエアが浸水するというのは大変よろしくないのですが、腕の一部だけだったので、とりあえず先を急ぎます。

雪がふりはじめました。だんだん強くなる
この矢印に沿って進みます
雪がふっているのものの、樹林帯の中のため風は強くありません。

なんだか、だいぶ悪天候だな…と不安に思いながら歩くこと1時間半、勢至平分岐までやってきました。
かなり雪が強くて、「早く山小屋に着きたい…」と思っていたのですが、ここから小屋までは30分程度です。
小屋に近づいてきたのが嬉しくて、よしさっさと行こうとあるきはじめました…が。

この分岐過ぎてからは右手側沢の斜面で、谷になっているせいか風が急に強くなってきました。
レインウエアのフードをかぶり、ネックウォーマーを鼻の上までひきあげて防寒します。ネックウォーマーのせいかサングラスがやたら曇り、何度も何度も拭くことに。雪のためと曇ったサングラスのため、視界が全く見えず、ただただ、必死に歩き続けます。

しかも、この吹雪で、沢沿いの斜めになった登山道に雪が積もっていて歩きにくいこと!何度も沢に落ちるんじゃないかと思いました。また、積もった雪を踏み抜いて、雪の穴に足がはまることもしばしば。
…なんとも過酷な道のりです。

斜めの斜面をトラバースを頼りに必死に歩いていきます。
雪と風で視界も悪いです
雪と風はなかなかのもの。
くろがね小屋を目指す他のパーティがいたので道はあっている筈だ…
ようやくくろがね小屋が見えました。
ほっとした…

途中何度も強風に煽られ、耐風姿勢で耐えること数回。
立ち止まると吹雪で一気に体が冷え、かつ雪を踏み抜いて、穴に体をとられて抜けれなくなったりして…。
なかなかのサバイバルな悪天候でした。
とはいえ、2時間半の短い行程だったので、なんとか悪天候でも無事にくろがね小屋に到着することができました!

くろがね小屋到着です

くろがね小屋でカレーと温泉を楽しむ

くろがね小屋に入って雪を落として、装備を外していたら、後からやってきたパーティの人が「誰かアイゼン落としませんでしか?」と、アイゼンを掲げました。

…あれ?なんか見たことあるなぁ…というか、私のだ。

「私のです!ありがとうございます」
と、声をあげて、アイゼンを受け取り、小屋の玄関あたりで落としたのかと思って
「どこにありました?」
と聞いてみたら、
「来る途中、雪の中に落ちてたよ。もうちょっと時間がたってたら、雪に埋もれて見つからなかったかも」

…あああ、なんと。

たぶん、雪にハマった時にリュックの外側ポケットにいれたままだったアイゼンが落ちてしまったようです。
本当に見つけてくださってありがとうございます!
今度はしっかり紐をリュックに結び付けなくては…と思いました。

こんなハプニングがありつつも、とりあえず小屋にチェックイン。冷えた体をお湯を飲んで温め、石炭ストーブの近くでワインを飲んでつまみを食べていたら、すっかり元気をとりもどしました。

偶然、知り合いに会い、山の話をして、飲んでつまんであっという間に3時間ぐらいたっていました。

小屋の食堂。ここで夕ご飯までダラダラと過ごしました
100%ももジュースが美味しかった!

くろがね小屋は、大きく2階建ての構造で、1階が水回り・食堂、2階が小部屋がいくつかあります。小部屋も2階建て構造になっていて、8名ぐらい入れる畳敷きの部屋が10数部屋ありました。
部屋には敷布団と毛布。これで夜を過ごすのでちょっと寒いかも。靴は各部屋の板の間の板を持ち上げると中が空洞になっていて、そこに仕舞います。

くろがね小屋の2Fの様子
2Fはいくつかの部屋にわかれていて、部屋は2段構成
各部屋の中はこんな感じです。ここは8人部屋でした
暇つぶしの書庫もあります。「岳」を読みまくったw

本日は連休ということもありツアー客を含めて40人ほど宿泊していました。
私達は2回目の6時に夕食の時間となり、評判のカレーをいただきます!
ごく普通の家庭のカレーのような味なのですが、何が入っているのか、濃厚で本当に美味しかったです。
カレーはおかわり自由です。ご飯が多かったのでルーだけおかわりして完食しました。お腹いっぱいだー!

くろがね小屋のカレーです!

夕ご飯が終わってから、少し腹ごなしした後、お楽しみの温泉に入りました。
お風呂はきちんと男女別になっています。お風呂は一度に5,6人入れるぐらいの広さでしょうか。
白濁した濃厚な温泉です。はいったら肌がピリピリしたので酸性が強いのかな(?)
お風呂のお湯はかなり熱く、すぐにのぼせそうでした。しかし肌がきれいになるという美肌の湯です。
がんばって浸かって、登山でボロボロになる肌の回復を狙いました。

お風呂のあとは早くも布団に入って寝る準備。しかし、毛布が1枚、敷毛布が1枚だったので、女性には少し寒いかもしれません。私はダウンとか着れるものは全部着て、かつ夜中に予備の毛布を1枚いただいて暖をとりました。

その日は結局夜まで風が強く、雪も降り続けていました。予報によれば明日は晴れだけど強風ということ。
安達太良山頂に登れるか心配しながら眠りにつきました。