強風で山頂を諦めて一度下山した後、避難小屋へトラバースします。避難小屋で情報を得て、思い切って真狩ルートから羊蹄山山頂へ再アタック。無事に登頂できるか…?!
【羊蹄山】
北海道、百名山、標高1898m。「蝦夷富士」とも呼ばれる、富士山に似た円錐形の山で、山頂は大きな火口になっています。
【登山レベル】:★★★☆☆(中級)
日帰りで登ると行程は長いですが、危険箇所は少ない。
【山バッチ】
羊蹄山避難小屋で購入できます。
【行程】
アクセス:ニセコに宿泊、レンタカーで半月湖野営場の駐車場へ
行程(前半):半月湖野営場(4:50)→1合目(5:20)→4合目(6:40)→7合目(7:20)→北山(8:40)
行程(後半):羊蹄山避難小屋(9:10)→真狩ピーク→羊蹄山山頂(11:10)→真狩ピーク→羊蹄山避難小屋(12:40 ※休憩50min)→9合目分岐(13:45)→1合目→半月湖野営場(16:20) ※この記事ははこちらの行程です。
避難小屋から真狩ルートを経由して山頂へ
比羅夫ルートを横に逸れて、避難小屋へとトラバースします。周囲は霧が立ち込めていて、霧雨に降られている状態で、髪の毛もびしょびしょになってきました。
全く何も見えないので、どこに小屋があるかわからない状態で20分間歩いていると、避難小屋の看板が出てきました。
それでも見えないので、どこどこ?と思っていると、霧の中にどんっ!と小屋の姿が…。まさに視界10mぐらいしかない状態で歩いていたようです。
小屋に転がり込むと、管理人さんが「天気悪いね。寒かったでしょう」と迎えてくださりました。とりあえずここで、濡れたものを脱いで拭いて、ご飯を食べて一息つきます。
管理人さんと真狩ルートなら山頂にすすめるかどうかを相談します。真狩側から行くと道は岩場になるので風強いと厳しいかもしれないということ、視界が悪いので道迷いに気をつけて、岩に書いてある矢印をちゃんと見て進むように、とのことでした。
折しも、真狩ルートから避難小屋に戻ってきた人の話を聞くと、風に飛ばされないように岩陰側を進んで、なんとか山頂まで行ってきたとのこと。風は強いが登れないことはなさそうです。
風と雨でかなり気持ちは下がっていましたが、遠い北海道、羊蹄山をここまで登って、山頂に到達せずに断念したくない…とりあえず真狩ピークまでいって様子をみることにしました。幸いなことに気温がそれほど寒くないので、多少の風でも耐えられそうです。
レインウエアを着直して、意を決して外に出ます。避難小屋付近は風は強くなく、相変わらず視界は悪いまま。管理人さんに言われたように、まず雪解けで沢状態になっている道を下り、そこから真狩ピークへと登っていきます。
真狩ルートの九合目の看板をみたときに、今日は何回九合目を通過するんだろうと思いつつ、また山頂へ向かって登っていきます。
真狩ルートの尾根、お鉢のあたりまでやってきました。先程と同じ真っ白い霧と水蒸気のような細かい雨に包まれています。風は吹いていますが、比羅夫ルートのときほど強くありませんでした。風向きにもよるのでしょうが、このルートの方が風が穏やかに感じました。
視界がまったくなく、どこが真狩ピークかわからないままに、雨風に耐えつつ歩いていると、岩場に入りました。羊蹄山山頂手前が岩場と聞いていたので、きっと最後の登りなんではないかな、と思いました。
強風は時折吹くものの、さきほど撤退した時の風に比べればたいしことはないように感じます。これなら、山頂まで行けるかもしれない…と仄かな希望が…。
避難小屋を過ぎて1時間。霧の中に山頂の碑が見えてきました。後方羊蹄山山頂です。
なんとか、山頂まで来ることができました!
様々な困難を乗り越え、11時10分に、羊蹄山の山頂に到着しました。
天気も悪かったせいか、山頂は人が少なく感じました。ツアーの人々はみんな途中で引き換えしていることが多いようです。
あっという間に雲が消え、まさかの大展望!
真っ白な山頂で記念撮影をした後、下山を開始しました。山頂から10分ぐらい歩いたところで、あれ?空がうっすら青くなっていない?と思ったら、目の前に雲海が広がり、薄日がさしてきました。
青空だ!と、喜んでいたら、羊蹄山の山頂に立ち込めていた雲がすーっと引いていって、なんと、噴火口が一気に見えるように…
まるでカーテンを開けたかのように、一瞬にして、目の前に景色が広がる様子にテンションアップ!「これぞ、羊蹄山」の大パノラマがぐるりと見渡せます。
景色に感動して、写真を撮りまくっていると、すっかり時間を使ってしまったので、下山を続けます。先程とは違って、大展望の中を歩くので、気分は最高です!
真狩ピークまで戻ってきました。岩が積まれたケルンがあるので、ここがピーク?(山頂の標みたいものはありませんでした)
眼下に、避難小屋と麓の町が見えました。先程は10mまで近づかないと見えなかった小屋が、こんな遠くからはっきりと見えます。
真狩山から降りて、避難小屋への分岐にさしかかりました。このままお鉢を回って比羅夫ルートへ戻れそうでしたが、親切にしていただいた避難小屋の管理人さんに挨拶もしたいので、真狩ルートから戻ることにしました。
ぐるりと山頂のお鉢を見渡せるこの風景もこれが最後です。
12時40分に、羊蹄山避難小屋に戻ってきました。さきほどとは全く異なり青空の下に茶色の建物がたっているのがよく見えます。
晴れているので、外のテーブルで休憩。ランチタイムです。いっぱい歩いたので、お腹が減ってしまい、持ってきた行動食をほとんど食べてしまいました。
避難小屋から麓まで下山
外でご飯を食べていると、「晴れたね!予想してなかった」と言いながら、管理人さんがやってきました。私達はお礼と、山頂への感想をお伝えして、色々おしゃべり。
下山後に食べに行く予定のジンギスカンのお店を相談したら、「そこは、ちょっと高いけど、美味しいよ!」と、管理人さんはニコニコと笑顔に。もう、そこに食べに行くことにしようと決めて、私達は麓まで下山しようと、ようやく立ち上がります。気づいたら1時間近く避難小屋でのんびりしちゃいました。
これから、車を止めているので比羅夫ルートに戻り、登ってきた道を下山していきます。
比羅夫ルートの9合目に戻ってきました。ここから駐車場まで3時間で下山します。
下山はいつも消耗戦ですが、ひたすら樹林帯を折りていく帰り道は変化もなく、ひたすら忍耐。足に堪える下山でした。
1合目についたのは16時。登り始めて12時間後ぐらいだったので、かなり長い行程でした。一度下山して、山頂に再チャレンジしているから、時間は通常のコースタイムよりもかかりました。
1合目からは森の中と林道を20分ほど歩いて、駐車場へと戻ります。この林道もかなり長く感じました。
ジンギスカン!うに丼!ご褒美の下界飯は北海道の味覚たっぷり。
16時20分に駐車場に着きました。11時間の長い行程で、足と膝が痛い…なかなかタフな山でした。
登山口から来るまでホテルへ戻ります。ホテルの前から羊蹄山がきれいに見えました。山頂はまた雲が覆っていましたが…。
お風呂に入ってから、ご褒美の夕ご飯を食べにジンギスカン「LOFT倶楽部」へ行きます。避難小屋の管理人さんも、思いっきり笑顔になったあのお店です。
お肉は少し弾力があってボリュームたっぷり。羊肉の臭みはまったくなく、お腹も減っていたから、バクバク食べちゃいます。コスパのよい満足行くジンギスカンでした。
翌日は新千歳に戻るだけなので、ホテルの朝ごはんをゆっくりいただきます。
チェックアウト後は新千歳空港までドライブ。途中、観光をしようと洞爺湖に寄ることにしました。その道中、道の駅に寄りまくって野菜買ったり、ちょっと食べたりしながら北海道を満喫。
昼ごはんをどうしようか・・と調べていたら、「道の駅あぷた」というところでウニ丼が食べれるという情報をGET。洞爺湖から横道にそれて、有珠山の海側「噴火湾」の海沿いにある道の駅へ行ってみました。
ここでいただけるのが、ウニ丼。定食風にご飯とウニは別になっていて、自分の好きなようにウニをご飯にのせていただきます。みよ、このウニの量。これで1900円。安いと思う〜。
ウニのランチを楽しんだら、洞爺湖に戻って、湖沿いの立ち寄り湯でお風呂に入ることにしました。湖の向こうには「羊蹄山」が遠くに見えました。山頂は雲がとれているので、昨日と同じように昼を過ぎると一気に晴れるみたいです。
立ち寄り湯は「洞爺湖レイクサイドホテル」にしました。シャンプーやリンスを選べるサービスもありましたが、湖とつながっているようになインフィニティ感が素晴らしく、遠くに羊蹄山を見ながら露天風呂でのんびりしてしまいます。永遠に風呂に入ってられるわ〜。
洞爺湖から新千歳空港までは2時間ちょっと。レンタカーで新千歳空港に戻り、色々お土産を買ってから、飛行機で東京へ帰路につきました。
今回は強風に見舞われて、山頂ゲットできないかと思いましたが、コースを変えて無事登頂。
そして雲が一気に晴れて、景色が広がったあの感動は忘れない思い出となりました。
山に海に湖に、北海道グルメも満喫できた山旅。これで百名山85座目。無事終了です!
【youtube】羊蹄山の登山動画
\ゆるい動画を作ってみました。参考までにどうぞ/