北海道の山旅2つめの山は斜里岳。朝早く、斜里岳の清岳荘から山頂を目指します。途中は沢の渡渉あり、滝の横をよじ登る場所もあり、水と戯れつつもハードな斜里岳の山頂を目指します。
【斜里岳】
北海道、百名山、標高1547m。
登山レベル:★★★★☆(中上級)
アイヌ語で「オンネヌプリ」(大きい山)という名前を持つ斜里岳。ルートは「清岳荘」から入り沢沿いを進むルートが一般的。沢を渡ったり、いくつもの滝を越えたりと変化に富んで飽きることのない山ですが、体力が必要とされるタフな山です。
【北海道山旅全行程】 ※このブログは②の行程です
往路:羽田空港→女満別空港→[レンタカー]→木下小屋(知床)
行程:
①羅臼岳:木下小屋→オホーツク展望→弥三吉水→極楽平→仙人坂→銀冷水/携帯トイレブース→大沢雪渓→羅臼平→羅臼岳山頂→羅臼平→銀冷水→仙人坂→極楽平→弥三吉水→木下小屋 ※レンタカーにて清里町へ移動
②斜里岳:清岳荘(6:00)→下二股(7:00)→(旧道コース)→上二股(8:30)→馬の背(9:00)→斜里岳山頂(9:30)→馬の背→上二股→熊見峠(11:10)→下二股(12:00)→清岳荘 ※レンタカーにて阿寒湖温泉に移動
③雌阿寒岳:雌阿寒岳温泉登山口→二合目→五合目→八合目→雌阿寒岳山頂→八合目→五合目→二合目→雌阿寒岳温泉登山口
復路:雌阿寒岳温泉→[レンタカー]→女満別空港→羽田空港
清岳荘〜下二股。何度も沢を渡るスリリングな道。
朝5時、朝ごはんをお弁当にしてもらって、緑清荘から斜里岳に向けて出発します。
雲が多くてなんとなく薄暗い中、斜里岳清岳荘の登山口に着いたのは5時40分。
ここで身支度を整えます。歩きはじめて割とすぐに沢が始まるということで、駐車場でゲイターを装着しました。滑りやすい沢を安全に渡るためのストックと、今回もトイレブースのみの登山道なので、携帯トイレを持参して、斜里岳登山スタート。
清岳荘の裏にある登山口から歩き始めます。
気温は昨日と同じぐらいで蒸し暑く、天気は今にも雨がふりそうな曇空です。
登山道に入るまで、しばらく林道のような広い道を歩きます。
登山道に入ります。鬱蒼とした森の中を歩くと、すぐに水の流れる音がして沢が目に入ってきます。しばらく沢沿いを道を歩いていますが、すぐに川を渡ることになります。
川の上の石をつたって渡るのですが、川の石は動くし、滑りやすいしで、神経を使います。この川を渡る箇所は下二股まで10箇所以上あるかもしれません。途中からストックを使って川に落ちないように気をつけて歩きました。
歩き始めて1時間。渡渉で川の石と石の間をジャンプしたり、バランスを取ったり、思ったよりも神経も体力も使ったので、下二股のちょっと手前で休憩。息を整えます。
下二股〜上二股。滝横をよじ登る探検気分の登山。
下二股をこえると、今度は滝がたくさんある場所を登っていきます。
滝は細く勢いよく流れるもの、階段状になって流れ落ちるもの、裾広がりで落ちていくもの、様々な種類があり、見ているだけでも涼しくなります。
でも、滝の横の滑りやすい岩場を登っていくので、ここも神経を使って集中して登っていきます。
7時20分頃、羽衣の滝と思しき、大きめな滝に出ました。裾が広がって、レースのスカートみたいに見えるからこれが「羽衣の滝」だと思う…。滝の前を横切り、滝の横にある登山道を登っていきます。
羽衣の滝の上に出たら、また沢を横切り、大きな岩の横をよじ登ります。
その先には「万丈の滝」という長い滝に出て、ここも滝の横の岩場を登っていきます。
8時前には「見晴の滝」という滝に出ました。ここも滝のすぐ脇をよじ登ります。その後はば「七重の滝」「竜神の滝」などがあったようなのですが、もう滝だらけで、どれがどの滝かわからないほど。
滝の横の岩場と登ると、傾斜もキツくて体力も使うし、上には木の枝が出ているし、足元は滑りやすいし…あらゆる方向に気を使わなくてはなりません。
霊華の滝を過ぎて、さらに上流に登っていくと、徐々に水路が細くなっていきます。水の上を歩いてさらに上流を目指しますが、今までの滝の激しさから比べると、だいぶ静かな川歩きです。
水量が少なくなってしばらくたつと、紙垂が見えてきて上二股に到着しました。
時刻は朝8時半で、出発して2時間半になります。ここまで滝だらけ、水だらけ、狭い道…で、ほとんど休憩場所がなかったので、ここでちょっとだけ休憩。
上二股〜斜里岳山頂。山頂までは岩場の登山
上二股から先は水のない登山に。「胸突き八丁」という急坂を登っていきます。
樹林の中の細い道で、沢と滝で疲れた足がさらに疲れます。
胸突き八丁を終えて樹林帯から出たら…霧がかかって真っ白でした。何も見えない。
これは・・・山頂でも展望は期待できないですね。
9時に馬の背に到着。やっぱり周囲は真っ白で何も見えません。
左手に山があるのが霧の中にかろうじて見える程度。「←頂上」という標識を確認して、その山を登っていきます。
山頂の直下にある「斜里岳神社」。メタリックなシルバーでできた小さな神社です。
ここで残りの山旅の無事を祈願して、最後の登りに挑みます
9時30分に斜里岳の山頂に到着しました!やっぱり真っ白…何も見えない…。
真っ白の山頂は何回か見たことがあるけど、どこも一緒の写真になりますね…。
風も吹いていて寒かったので、一通り写真を撮ったら即下山しました。
熊見峠を通って清岳荘まで下山
風が強くて山頂で休憩できず、そのまま下山し馬の背まで戻ったのですが、馬の背も風があって休憩場所にならず…結局一気に上二股まで戻ってきました。
ここでようやく、ランチタイム。緑清荘で作ってもらったおにぎり弁当を食べます…しかし、暑かったのでお米の塊が喉を通らず、おかずの唐揚げウィンナーに行動食のナッツを食べて終わりにしました。
下山は滝ルートではなく、熊見峠を通るルートで下りていきます。下りていくと言っても峠なので、ひと山登ってから下ることになります。最初は樹林帯の中を歩きますが、ハイマツの尾根道を歩いて峠へと登っていきます。今までの水や岩の景観と異なる、緑の美しい山の稜線が楽しめるコースです。
11時10分に熊見峠に到着しました。昔ここはハイマツがもっと低くて、ヒグマを見かけることがあったので「熊見峠」と名付けられたそう。今はマツが鬱蒼と茂っています。
その後は尾根道の下り坂が続きます。下山するごとに雲が晴れ、景色が見えてました。やわらかな緑の山肌の向こうに、のどかな田園風景の向こうに海が広がる。とてもキレイな風景でした。
尾根道から樹林帯に入ると急斜面が連続します。急斜面の下りで転ばないように踏ん張りながらひたすら下りていきます。登りで足が疲れているから、すごくツライ。昨日の羅臼岳の筋肉痛もありつつ、転ばないように筋力を使いながら60分ほど下り続けました。
もう下り飽きた〜と思っていると水の音が聞こえてきて、沢が近づいてきます。そのままがんばって下りていくと下二股に到着します。ここから登山口に戻るまで1時間程度です。
下二股のちょっと先に「旧清岳荘跡」というのがありました。山小屋が建っていたにはかなり狭いスペースしかないように思います。
この先は行きに通った道、沢沿いの道を戻っていきます。途中「仙人洞」という洞がありました。行きは余裕がなくて、この洞に全く気が付きませんでした。よく見ると洞の岩壁に黄緑色に光る苔が生えています。
午後1時に、清岳荘の登山口に戻ってきました。
ここでお手洗いや、バッチを買うことができます。バッチを買っているときに、ご主人とお話していて、清岳荘の歴史を教えて下さいました。
初代の清岳荘は下二股近くに本当にあったそうです。山小屋というよりも避難小屋みたいな大きさだったとのこと。その後、林道の先にあった登山口の近くに木造の小屋ができたけど焼失してしまい、今の場所に新しい清岳荘が建ったそうです。
清岳荘は素泊まり1520円で泊まれます(2021年のコロナ禍では宿泊はできません)寝具セットは持ち込みですが、貸しだしもあるそうです。
阿寒湖温泉のホテルでのんびりタイム
明日は雌阿寒岳に登るため、斜里岳から一気に阿寒湖温泉へ車で移動します。3時間弱かかります。山道を越え、町を越え、いくつかの湖の間を抜けて阿寒湖温泉についたのは17時頃。
本日は「カムイの湯 ラビスタ阿寒川」に宿泊し、で温泉とご飯を楽しみます。
和モダン+アイヌ風の落ち着いた良い宿です。お部屋から見えるのは森の緑と流れる川。それだけで一つの絵のようで、窓の外を飽きることなく眺めることができます。
夕ご飯の前にお風呂に入りましたが、この露天風呂も森を見ながらのんびり静かに入浴できるつくりで、時々目の前の森に鹿が横切ります。ずっとお風呂に入っていられるぐらいリラックスできる空間でした。
夕ご飯は和食をベースにした会席コース。森を眺めながら、のんびりとお酒とご飯を楽しみます。北海道の幸を使ったどれもお料理はどれも美味しかったです。
明日は8時に出発なので、今日はゆっくりと寝る事ができそうです。
斜里岳で疲れ足をマッサージしながら、もう1回お風呂に浸かり、明日に備えて英気を養います。