戸隠の百名山、高妻山に登りました。ふもとのキャンプ場でテントで前泊し、次の日に高妻山へアタック。オートキャンプ場で優雅なテント泊のはずが、この年の7月は暑くて、高妻山の頂へは過酷な道のりとなりました。
【高妻山】
長野県 百名山 標高:2353m(戸隠キャンプ場からの標高差は1200弱)
戸隠連峰最高峰。信仰の山として、一不動から十阿弥陀までのピークを越えた先に高妻山があります。
登山レベル:★★★★☆(中上級 ※体力が必要なため)
山バッチ:キャンプ場の売店で売っています。
【行程】
1日目:東京→[新幹線]→長野→[バス]→戸隠高原 ※テント泊
2日目:キャンプ場登山口(5:30)→滑滝(6:30)→清水(6:50)→一不動(7:05)→六弥勒(8:30)→九勢至(8:55)→十阿弥陀(9:40)→高妻山山頂(9:45/10:10)→六弥勒(11:16)→登山口(12:40) ※7時間10分
帰路:戸隠高原→[バス]→戸隠中社→[歩]→戸隠神告げ温泉→戸隠中社→[バス]→長野→[新幹線]→東京
戸隠のキャンプ場で前日はテント泊
長野からバスで戸隠キャンプ場へ向かいました。戸隠の神社の森を抜けて、戸隠山脈の麓のキャンプ場に到着し、早速テントを張ります。
1張1000円。広いキャンプ場で、テント張り放題。しかも芝生になっていてテント張っても地面が痛くない。売店もあるし、水も豊富だし、ゴミも捨てられるし…登山をする人にとっては天国のような素敵キャンプ場です。
時間もたっぷりあり、土曜日はテントを張ってご飯を作ったり食べたりダラダラしながら、のんびりとキャンプを楽しみます。
1日目はキャンプ場でのんびりして終わりましたが、あまりにも居心地が良くて、またキャンプのために来ても良いかと思うほどでした。
登山口~氷清水~ご地蔵。川沿いの道は虫だらけ。
2日目は朝4時に起きて、高妻山に登る準備を開始。5時半。すでに陽は高く昇り、今日も暑くなりそうな予感。芝生や森の木々からもわっとした湿気が立ち込める中、高妻山に向けてキャンプ場を出発します。
登山口は鬱蒼とした森。他の登山客の姿はありませんでした。少し歩き続けると、沢沿いの道に入ります。小川が流れ、湿気たっぶりな登山道にはたくさんの虫が飛んでいました。
川沿いの道を進みます。途中、川を何度も横断します。足元は水でツルツル滑る岩場、虫を叩きながら慎重に進みます。
登り始めて1時間。滑滝にでます。水で濡れた滝の横の岩に鎖がかかっています。
え、ここを登るの?!一瞬、躊躇しましたが、道はここしかないので覚悟を決めて登ります。
この後は川沿いの道に細い鎖の道が連続します。鎖を握って足場を探りならが慎重に進み、川や滝を越えていきます。水分たっぷりのこの道はどこに行っても虫だらけ。立ち止まると虫に襲われるので、ひたすら歩き続けます。
出発して1時間半ぐらいで水場の氷清水につきました。暑かったので、この冷たい水が美味しかった!
氷清水を過ぎてからも、草木が茂る急な登山道を暑さと虫と戦いながら登っていきます。
登りきったところで、ようやく一不動避難小屋に到着。登山客が休憩していました。蚊取り線香をぶら下げた家族の姿がありました。確かに蚊取り線香は虫に効きそうですね。
ここから尾根沿いに高妻山を目指します。一不動、二釈迦、三文殊、四普賢、五地蔵と石祠が続きます。全てピークにあるので、都度登ったり、下りたり。なかなかハードな尾根歩きです。
四普賢、五地蔵を越えて、高妻山への登山道と下山道への分岐、「六弥勒」に出ました。
ここまで、暑さと虫と、アップダウンの多い道に疲れ始めていましたが、高妻山への登りはここからが本番。六弥勒から2時間弱で山頂です。
六弥勒から高妻山山頂。暑かった…
8時半、六弥勒を出発。一度下り、また少し登り、「七薬師」の石祠に到着。石祠があるところが小山のピークになっているのです。なので10回ピークを踏むことになります。なかなか体力勝負の深い山です。
七薬師から八観音に向けて進みます。木立に立ち込めるもわっとした湿気と、日が高くなって照りつける日光。暑さは相変わらずです。
九勢至付近で、高妻山が全容を表します。緑の丸っとした稜線も美しい高い山。しかしその稜線に至る道のりを見るに、あの高みに登るのはどれだけ大変なことか…思いやられます。
いくつものピークを越えて、ようやく高妻山に登る最後の坂に到着しました。風はあまりありません。照りつける太陽。灼熱の登山道です。
この暑さと急な坂の連続に、あまりの辛さに何度も立ち止まって息を整えること数回。ゼィハァゼィハァしながら足を止めて絶望的な気持ちになっていると、下りてきた人に「あと少しだから頑張って」と声をかけられました。
「あと少しですかー?」と喜びの声をあげたら、「登山者のあと少しは信じるなって言うよね〜」と無情な一言。確かに…あと少しって人によっても違うし、登りと下りとでは感じる長さも違う。
半分泣きそうになりながら、また登っていると、「ここを登り切れば終わりですよ」と、また別の下山してきた登山者に声をかけられました。
今度はその言葉通り…坂を登りきったら、稜線の小道。そして左手に北アルプスの山々が見えます!辛かっただけに「わぁ!!!」と感動の声をあげちゃいました。
この瞬間、この絶景のために山登っているんだなと思う。
▲急な岩場をもう1箇所の乗り越える
山の上に十阿弥陀…最後のピーク。その向こうに高妻山の山頂が見えます。ここからゴロゴロ転がっている岩を乗り越えながら、山頂へ進みます。足が疲れているから、岩を乗り越えるのも一苦労でした。
暑くて辛かった山頂からキャンプ場まで下山
9時45分。やっと、高妻山の山頂に到着しました!
山頂に着いた時にはガスが立ち込めていて、その向こうに見えるはずのアルプスの山並みは、残念ながら望めませんでした。でも、暑さと険しい道のりを越えてたどり着いた山頂は感動ひとしお。
山頂も風がなく、太陽の日差しも強かったため、ご飯を食べる気になりませんでした。暑さと披露でご飯が食べられないなんて自分にしては珍しい状態です。体力をつけるために携帯食を少し食べてから、下山を開始しました。
ピストンなので、帰りも急な坂を下りていきます。広々とした戸隠の森を眺めながら、足元に気をつけて歩を進めます。
六弥勒に戻った時には11時すぎ。ここからまた2時間弱、下山をします。急な坂の連続なので、足への負担はかなりのものでした。ストックがあったほうが良いかもしれません。
下山して40分ぐらいで、こんな道標がありました。これを見た瞬間、まだあと1時間半?!と悲しい気持ちになりますが、実際はここから40〜50分ぐらいで、牧場につきます。
登りも下りもなかなか辛い高妻山を終えて、平和でのどかな牧場にたどり着きました。
緑の牧草。青い空。浮かぶ白い雲。
夏休みの絵日記のような風景に癒されながら、キャンプ場に戻りました。
テントまで戻る途中で「岳」という、お蕎麦屋さんでソフトクリームを購入。暑かったから冷たいアイスの嬉しいこと。キャンプなのか、牧場に遊びに来た人でお蕎麦屋さんは大賑わいでした。
今回の下界メシは戸隠のお蕎麦!
1時半にはテントを撤収し、2時過ぎのキャンプ場発のバスに乗って、戸隠中社で下ります。バス停から少し歩いて「戸隠神告げ温泉」へ。
お風呂で疲れを癒した後に、戸隠そばをいただきました。ずっと食べていなかったから、そばの美味しかったこと!コシがあって、小分けになっているそばは最高でした。
高妻山は、8時間半の行程で、アップダウンも厳しく、かなりハードな山でした。おそらく、暑さと虫(結局10箇所ぐらい刺されていた)が酷かったというのもあるので、7月じゃないほうが良いかもしれません。秋は紅葉も綺麗らしいので、秋をおすすめします。
キャンプ場は広くて設備も整っていて気持ちの良い場所だったので、今度は戸隠山と戸隠神社巡りで利用したいと思いました。