お盆休みに車中泊で上高地へ
お盆休みなのに天気が悪く、予定していた南アルプスの長旅を見送り、
天気の良さげな一瞬を狙って上高地行きのバスを予約。
『焼岳』に行ってきました。
東京からのバスはすでにいっぱいで、唯一空いていた大宮から深夜バスに乗って車中泊。
朝5:30頃、上高地バスターミナルに着。
お盆で混むだろうというのもあって、松本行きのバスの整理券を先にもらうために20分ぐらい窓口が開くのを待ちました。
無事整理券をもらって(松本直通のバスの整理券番号はほぼ最後でした)、
6:00ぐらいにバスターミナルを出発して歩きだします。
天気は曇り。
今年の夏は天気があまりよくなく、前回も前々回も記録的大雨の中で登山だったので、まだこの天気なら良い方。
梓川沿いを焼岳の方面に向かって歩いていきます。
▲梓川から見る朝靄の中の穂高連峰
▲雲の中にそびえ立つ山と川が水墨画みたい
10分ぐらい歩いて橋を渡ると、西穂に登る登山ゲートがあります。
ここで登山届けを提出して、さらに林道を焼岳登山口方面に歩いていきます。
焼岳登山口から焼岳小屋へ(落石ヒヤリ!)
さらに10分ぐらい歩いて行くと、焼岳の登山口に到着。
ここに、「3日前に新しい噴煙が上がったら注意して」と言う警告の看板と、
「クマ目撃情報 8月●日」と言う看板がありました。
うーん。何か危険な匂いがする。
一人だし、しかも天気が悪いからか、噴煙上がったらからなのか…人の姿も少ないし。
ちょっと不安になりましたが、出発直前まで夢枕漠の『神々の山嶺』読んでいたせいか不安と恐怖と戦うのも登山だ…と、ちょっと勘違い気味の矜持を持って登山を開始します。
最初は森の中をひたすら歩きます。
早朝で、森の中は暗く、一瞬雨が降ったりもしました。
▲最初の方は水も流れていて、橋がかかっている
▲緑が生い茂る道はやや平坦
▲見るからに毒がありそうなキノコがにょきにょき生えてる
森の中を歩いて30分ぐらい経つと道は急な登り坂になっていきます。
はしごもたくさんありました。
▲登り坂が始まる・・・風がなくて暑いし汗をかきながら登りました。
▲出た!はしご!
▲すぐ横は険しい切り立った崖
▲崖の間に鉄の橋がかかっていてここを渡ります
▲また鉄梯子
▲ここも梯子
▲焼岳の山頂が雲の間にちらりと見えました。
▲花が綺麗に咲いています
▲登山道が見上げると切り立った崖
と、この崖の手前にある登山道を歩いていたら、
後ろの方でパーン!と破裂音がしました。銃を撃ったような音…。
なんだ?と思った次の瞬間。
ザーッ!!
という雪崩ような音が響き渡りました。
-げっ、落石?!
後ろを振り返ると靄で煙っていて何も見えない。音だけが響きます。
立ち止まったまま、何事もないのを祈りました。
「大丈夫ですかー?」
と前方の登山者が声をかける声がしました。
後ろの登山者が「大丈夫ですー」との声。
ほっとしたのですが、初めての崩落音にびっくりして心臓ドキドキ。
足もちょっと震えてました。
後から来た方に聞いたところ、登山道に穴が空いていたとのこと。
「あと2分早かった
ら危なかったかも」
とおっしゃってましたが、
うーん、それを言ったら自分もあと2分遅かったらどうなっていたか…
「咄嗟には動けないものですね」
確かに、自分も呆然と立ち止まって、こっちに来ないで!と祈っていただけでした。
地図を見ると「落石注意」って書いてある場所でした。
本当に落石あるんだな…と、改めて注意しなくてはと思いました。
そこからちょっと歩くと、よく写真にもある長い梯子が見えてきました。
ご夫婦が梯子の前にいて、旦那さんが奥さんに「お前には無理だ」と言っていたのですが、
奥さんが「大丈夫よ〜」といいながら登って行きました。
「今更降りる方が怖い〜」と、途中ちょっと怖そうでしたが、無事に梯子の上へ。
旦那さんが後を追って登った後、私もチャレンジ。
確かに長いし、足場は曲がっていたりもするし、ちょっとドキドキしましたが、
キナバル山のヴィアフェラータの細く長い鉄梯子にカラビナかけて登る方が緊張したので、
ここはそれほど恐怖を感じることなくクリア。
▲梯子を登り終わったところ
梯子を登り終えて安心したせいか、そのすぐ先の鎖場で無茶をして肘と足を殴打しました。
気を抜いちゃいけない…
この梯子を登り終えると一気に高度が上がって見晴らしのよい低木地帯に出ます。
風も涼しく、高原ぽい雰囲気になります。
黄色や白の花々が足元を彩ります。
この低木の高原を登って山の間をちょっと進むと、「焼岳小屋」に到着。
8時ちょっと過ぎに着いたので、2時間強。
あまり休みもとっていなかったので、コースタイムより早く登って来たようです。
▲焼岳小屋。山バッチはここで購入
焼岳小屋から焼岳山頂へ
一休みして軽く軽食を食べて、ここから1時間ちょっと、最後の登りに挑みます。
▲ここにも「噴煙上がったら要注意」と言う看板
▲木々が生い茂る登山道を焼岳に向かって進みます
▲小山が見えます。ここを乗り越えると…
ごつごつした岩の、火山の焼岳が見えてきました。
雲がかかっていますが、合間にその険しい姿が…
▲振り返ると、こちらも雲の間に雄大な穂岳連邦が見えます
▲山肌に苔の絨毯。ふわふわして気持ち良い〜
小山を一度降ってから、焼岳に登り始めます。
最後の登りはかなり急で、ザレ場に足をとられて滑りやすく、
疲れもあって何回かバランスを崩しました。
この山の斜面を登っている時に、上から降りてきた登山者の方が私の熊鈴を見て、
「熊鈴が役に立ったよー」
とおっしゃいます。何だろうと思ったら、
「朝、登山口に熊がいて、熊鈴のおかげ命拾いした」
朝5時半ぐらいに登山口に着いたら熊が目の前にいて、山小屋に連絡したとのこと。
「大きかったですか?」と訪ねたら、
「セントバーナードぐらいかなぁ」
犬ならまだしも熊だったら怖い…
「中の湯の登山口あたりでも小熊がいたらしい」
とのこと…
落石もあったけど、熊もいたのか…怖い山だ…
▲先はまだ長い…
▲火山らしく大きな岩と細かいザラザラした砂利の道
▲振り返ると通ってきた山と、その向こうに穂高の山々が見えます
▲もちろん火山だから、地から噴気が上がっています。時々ゴーっと音を立てる
▲上高地の梓川が見えます。あそこから登ってきたんだ…
▲険しい山登り
焼岳小屋を出発して1時間ぐらいで、中の湯ルートとの合流点に到着。
ここまで来たらあと10分もせずに山頂です。
▲中の湯方面への道。こちらの尾根もなかなか良い感じ。
▲あの黄色いところから蒸気が上がってます。その横を迂回して山頂へ
▲山頂まで、あとちょっと。
水蒸気が上る焼岳山頂からピストンで下山
9時半ぐらいに焼岳北峰山頂に到着!
360度の絶景は望めませんでしたが、方角によっては雲間から山や下界が見えました。
▲中の湯方面の山。火山ぽい特徴のある岩が手前に
▲眼下に碧の池がありました。
▲よく見るとこちらも蒸気が上がっています。活火山だ…
▲上高地が雲の間からくっきり見えました
このまま上高地向けてピストンで下山します。
あとから来た、先ほどの落石の時後ろにいた登山者の方がヘルメットをかぶっているのを見て
私も持ってきたヘルメットをかぶって下山。
落石が起きそうな箇所がいっぱいありますし、先ほどの体験から念には念を入れた方が
よいなーと思いました。
▲最後の焼岳全景。雲が少なくなった瞬間を狙って。
焼岳小屋で再度休憩し、持ってきたお煎餅を食べつつ、
上高地で美味しいもの食べようと夢想してから、さらに下山していきます。
途中、落石やら熊やらちょっと心配になりましたが、
また「神々の山嶺」を思い出して、これこどきでビビってたらエベレストは登れない
(登りませんが…)と思いながら、下山していきます。
▲谷を見下ろす
▲長い梯子を降りて、落石があったと思われる付近。ヘルメット必須。
▲森に入りました。ここからが結構長かった
▲川のあるところまで戻ってきました。朝は暗かったけど、木漏れ陽でキラキラして綺麗。
▲登山口に戻ってきたら熊目撃情報が今日の朝に更新されてる!警察も来たそうです…怖
上高地でお風呂と下界メシスイーツ!
上高地に着いたら、すぐお風呂に入りたい!ということで。
昨年、槍ヶ岳に来た時は「小梨の湯」というキャンプ場の中の立ち寄り湯に寄ったのですが、今回は「上高地温泉ホテル」の立ち寄り湯(800円)へ。
脱衣場も広かったし、露店風呂もあるし、なかなかよかったです。
着替えてすっきりして、バスまで2時間ぐらいあるので、上高地を探索
お盆ということもあり、家族連れ、外国の人…観光客がたくさん。
でも、上高地の景色は本当に綺麗です。涼しくて避暑地として最高。
五千尺ロッジの近くのカフェで、アップルパイとりんごソフトクリームをいただきました。
どっちにしようかと迷ったけど、ええい、両方食べちゃえ。
▲アップルパイ。りんごがたっぷり。ホームメイド感覚。
▲りんごソフトクリームははちみつがかかっていて甘くて濃厚。
上高地を少しだけ堪能して、バスターミナルに戻ったら人の多さにびっくり!
さすがお盆。整理券をもらっておいてよかった…
道路は混んでいたため、松本直行のバスでしたが新島島で乗り換えて松本へ。
松本でお蕎麦を食べて19時21分のあずさの指定席で東京へ戻りました。
お盆でいきなり行った焼岳で、ハプニングも色々ありましたが無事完遂。
長野グルメも堪能した満足の山旅でした。
山データ 焼岳
百名山(長野県) 2455m
活火山で噴火警戒レベル1で、北峰は登頂可
大正4年に噴火して梓川をせき止め大正池ができたそう
上高地ルートからの往復は6〜7時間