懸垂下降やクライミングの練習を始めたので、最近は岩稜の山に行くのが楽しくなってきました。
今回は「裏妙義」と言われる、妙義山のルートを歩いてきました。有名な「丁須の頭」にも登ってきたのでレポートします。
ちなみに昨年の秋に表妙義を歩いたのでこちらもぜひ御覧ください
【妙義山】
群馬県、二百名山、奇岩が連なる山容が特徴的な、日本三大奇景の1つの山です。
いくつもの山が連なって構成され、金洞山、白雲山、金鶏山の一帯を「表妙義」、谷急山、丁須の頭、御岳の北側の一帯を「裏妙義」と呼びます。最高峰は表妙義で白雲山相馬岳の1,104m、裏妙義で谷急岳1,162mとなります。登山道は鎖場の連続でスリリング。岩場歩きが好きな人におすすめのコースです。
登山レベル:★★★★★(上級)
岩場や長い鎖場を安定的に登り・下りできる技術が必要です。「丁須の頭」では懸垂下降やロープワークの技術が必要になります。
【行程】
国民宿舎裏妙義(8:30)→丁須の頭(10:00/11:00)→※途中ランチタイム(11:50/12:30)→烏帽子岩(13:00)→三方境(13:20)→国民宿舎裏妙義(14:20)
国民宿舎から丁須の頭へ
太平洋側を早い台風が通過していたため、出発したときは雨がぱらついていて天気が心配だったのですが、妙義山の麓に着いたときには無事に青空が広がっていました。
国民宿舎裏妙義の駐車場に車で到着。ここで身支度を整えます。今回は「丁須の頭」を登るのがメインイベントのため、ヘルメット、ハーネス、懸垂下降用のATCガイドとカラビナ、PAS(パーソナルアンカーシステム:こちらは安全確保用)を持って登りました。
雨上がりだし、ヒルも出そうなので、靴にまんべんなく虫除けスプレーもします。
裏妙義の登山へは国民宿舎の横から入っていきます。4月半ばで桜の花びらが散っていて一面のピンク色の地面になっていました。
4月の妙義山は、秋に積もった落ち葉で、山の斜面が埋め尽くされていて、歩いていると地面がふわふわした感じでした。この木の葉が分解されて土に変わっていくのだなぁと思いながら歩きましたが、結構足をとられて歩きにくい。シーズン最初の山で、まだ歩く体力がついていないのでちょっとしんどかった…
山を登っていくと沢に出ます。
今日の朝まで降っていた雨で水量はややあるものの、透明なきれいな水でした。
新芽で萌える森の中を流れる川を見るのは気持ちよいものです。春の山らしい景色に癒やされます。
沢を進んでいくと妙義山らしいゴツゴツした岩の壁が現れました。
このあたりから徐々に鎖が出てきて、大きな岩を越えて、山頂へと登っていくようになります。
麓では桜が散っていましたが、まだ山は桜の季節。ピンク色が登山道を華やかに彩ります。
穏やかな春の風景とは異なり、道は険しく、岩場を鎖をつかんで登っていく箇所がたくさんあります。雨上がりで滑りやすいので慎重に、足元を選びながら岩場を登っていきました。
沢にそって岩登りをしばらく続けたあとは、最後は稜線まで一気に登っていきます。
かなり急な山肌を勢いよく登っていくと息切れしました。
急坂を登り切ると、尾根に出ました。山の反対側の景色が開けて、山々と青空が見えました。
気持ち良い天気です。
丁須の頭に登る
尾根道に出たあとは、岩山を迂回しながら横移動します。
ここまでは無風で登っていると暑かったのですが、尾根に出て少し歩いていると風が出てきました。
雲が流れ行くのが早いので、やはり遠くの台風の影響があるようです。
丁須の頭の真下まで来ると、その岩の迫力にドキドキします。あそこまで登れるのだろうか。
期待感と緊張感の中、ハーネスをつけて、下降器などを装着。よーし、登るぞ!
その先はロープを使ってよじ登る予定。
ちょっと風が強い…
あの辺りから丁須の頭を撮ると、かっこいい写真になるみたい
先に登った人にロープを垂らしてもらいます。
ロープの輪に自分のハーネスに通したカラビナをつけて、安全確保をしてもらい、この丁須の頭の垂直な岩場をよじ登ります。(じゃないと怖くて登れないよぉ…)
丁須の頭からは鎖が下がっているので、それに捕まりながら、体を持ち上げました。どこに足をかければいいのかわからず、結局鎖にぶる下がる感じで登ってしまいましたが、ちゃんと岩に足を置いてバランスを取りながら登るのが正解みたいです。(鎖だけに頼ると危ないので…)
その先も手足を使いながら、体を安定させつつ登ればすぐに岩の上に到着。
山頂は人4,5人立ったらいっぱいになってしまうぐらいの狭さ。
風が強く、吹き飛ばされだし、寒さに体が冷える…ブルブル震えながら、岩の上に座り込みます。
高度感はなかなかのものです。登って、やった〜!という感じでテンションはUP!
見晴らし、さいこうー!
30分弱、頭の上で景色を堪能した後、今度は懸垂下降で一気に下りていきます。
ハーネスにカラビナとATCガイドをつけてロープをはめ込み、体をロープに預けて、岩の上から下りていきます。
懸垂下降は、すぐに下りれて楽だし、消防士になったみたいな気分で楽しいのですが、危険もあるので慎重に下りていきます。
無事に丁須の頭から下りて、寒くなったので重ね着をして、ほっと一息。
でも、本当に登れて楽しかった!いい経験になりました。
他にもたくさん登山客がきたので、場所を空けるために、先に進みます。
シーズンのいいときだと、この丁須の頭に登るために待ち行列ができるそうです。確かにロープはったりしますし、岩の上には5人ぐらいしか乗れないので混みそうですね。
少し歩いて、先程、写真を撮っている人が立っていた岩の上までやってきました。
ここで、丁須の頭の全貌がきれいに写ります。
険しい岩に似合わずかわいい
丁須の頭を過ぎて、三方境の方に進みますが、途中かなり急で長い岩場の下りがありました。
水が滴っていて滑りやすいし、垂直に近い岩壁を下るので、ここもロープを張って、懸垂下降で下りました。
この急な岩場を下るとしばらくは木々の間の穏やかな道になります。
日当たりのよいところで「赤岩」という場所で、お昼休憩にしました。
太陽を浴びると暖かく、先程まで強風で震えていたのが嘘みたい。
それでも体の中から温めようと、お昼はカップラーメンを頂きました。
ランチタイムが嬉しいw
三方境へは鎖場の連続
ご飯を食べ終わったら下山を開始します。
三方境まではしばらくは鎖場が続く、スリリングな道を歩いていきます。
この辺りは木の生えていない岩壁の横を歩いていくので、見晴らしがよく、足元が怖いにも関わらず景色を堪能できる場所です。奥妙義や浅間山がよくみえました。
烏帽子岩の付近に来ます。岩に空いている穴が角度によってはハートに見えるっていうので色々角度を変えながら写真に撮ってみました…が、いまいちキレイなハートにならず…でした。
心がねじ曲がっているとちゃんとハートに見えないらしい?!
三方境から国民宿舎への下山
13時20分に、三方境に到着しました。ここからは普通の山道を下って行きます。
この道は、木の葉が芽吹く淡い緑色の森を下っていくので、今までの岩場の緊張感を緩ませてくれます。
三方境から1時間ほど歩くと林道に出ます。ここで奥妙義の一周は終了です。
林道から車を停めた奥妙義の駐車場までは歩いて数分。途中で奇岩の山を見上げながら歩きます。
スリリングな楽しい山でした。
妙義山、面白い山でした。
登山終了後は、表妙義の方にある「妙義ふれあいプラザ」でお風呂に入ります。
登山の後のお風呂は最高!!! 締めも気持ちよく、今回の山旅は終了。
秋は表妙義を歩きましたが、今回は裏妙義、しかも「丁須の頭」に登るというスリリングな体験をして満足いく山旅となりました。
何よりも奇岩の景色が圧巻の裏妙義、関東から日帰りで行けるのおすすめの山です!