【9月の幌尻岳 額平川ルート−後編】紅葉の幌尻岳と幌尻山荘での宿泊

幌尻岳
北海道・東北

渡渉を終えてから幌尻岳登山の本番です。急登の連続でなかなかハードでしたが、天気に恵まれて風もなく、秋色に染まる山を歩くのは気持ち良いものです。無事に幌尻岳ピークハントして、百名山のうち90座を達成しました!

【幌尻岳】
北海道、標高2052m、百名山。日高山脈最高峰。北海道の奥深い山で、額平川ルートは渡渉を十数回繰り返しながら幌尻山荘まで行き、そこからさらに1100mほど登って山頂に到着します。雨が降ると登山口までのバスが出ないこともあり、登頂までの難易度が高い山です。
渡渉ルートは沢靴、沢ソックス、ストックは必携。寒がりな人は沢スパッツもあると良いです。
登山レベル:★★★★★(上級)※渡渉もあり、体力も必要。

【幌尻山荘】
幌尻岳に登る際に利用する山荘。収容人数が45人で、利用料金は2000円。マットは無料で、寝袋・毛布は500円で借りれます。管理人さんがいるので、お酒などは購入できます。トイレが利用できない時間帯があるそうで、携帯トイレは必携。
予約サイトはこちら

【行程】※このブログは太字の行程の記録になります。
9/21(1日目):新千歳空港からとよぬか山荘 ※宿泊
9/22(2日目):とよぬか山荘(4:00)→登山口(5:00)→北海道電力取水施設(7:15)→渡渉→幌尻山荘(9:40/10:30)→命の水(11:40)→北カール(12:30)→新冠コース分岐(13:15)→幌尻岳山頂(13:40/14:10)→幌尻山荘(17:20) ※宿泊
9/23(3日目):幌尻山荘(7:00)→北海道電力取水施設→登山口(11:40)→[バス]→とよぬか山荘 ※宿泊
9/24(4日目):とよぬか山荘→新千歳空港

※実質3日間の行程ですが、増水でバスが出なかったりするので予備日はあったほうがよいと思います。

幌尻岳前半のブログはこちら >>

【山バッチ】
とよぬか山荘で売っています。学生章みたいな箱に入っているのが面白い。

YAMAPの記録
スポンサーリンク

幌尻山荘から幌尻岳を目指す

幌尻山荘で荷物をデポして、ここから幌尻岳山頂を目指して、登山を再開します。
幌尻山荘からはいきなりの急登が続きます。

幌尻岳
幌尻山荘前のこの道から幌尻岳へ登っていきます。

幌尻岳
最初からかなりの急坂です。

幌尻岳
木の根の階段を登っていく


登り始めて1時間ぐらいすると、木々の合間から、幌尻岳周辺の山の稜線が見えてきました。青空に北海道の深い大きな山。ついにここまで来たぞ!という気分になりました。

幌尻岳
山の稜線が見えてきた!

幌尻岳
葉っぱが色づいていて、太陽の光で黄金に

幌尻岳
戸蔦別岳の三角形の山頂が見える。

11時40分に命の水に到着。命の水は飲んでも安全な水だそうですが、登山道から少し下る必要があります。ここまでの急坂でへばっていた私達は、まだ水も余っているので汲みにはいきませんでした。

幌尻岳
命の水はここから急坂を下った先にあります

命の水から先はもっと急な斜面を登ることになります。
急斜面の土の道を登った後は、ハイマツの見通しのよい道を歩いて、幌尻のカールまであがっていきます。この時点でも、まだ幌尻岳の山頂は見えません。

幌尻岳
ハイマツの急登

幌尻岳
樹林帯を出たので見晴らしが良くなる。左手には戸蔦別岳

幌尻岳
右手の山側。幌尻岳の向かいあたり。

幌尻岳
振り返っても山しかない。北海道は広い。

北カールから幌尻岳山頂へ

命の水からの急登を登り切ると、左手にカール、幌尻の北カールが見えてきます。
ここに来て初めて、北カールの上に幌尻岳の山頂が見えました。
ただ、山頂まで行くには、この北カールをぐるりと半周しないといけないのです…。山頂まではまだ遠い。

幌尻岳
幌尻のカールまでやってきた。急に視界が開けて初秋の絶景が。

幌尻岳
真ん中からちょっと右のぴょこっとしたところが幌尻岳山頂

幌尻岳


山頂まであと1時間程度のところで一度休憩しました。
足元には野生のブルーベリーがたくさんなっています。これは甘酸っぱくて美味しく食べられるそうです。

幌尻岳
野生のブルーベリー

カールの下のほうはヒグマの生息地らしく、ガイドさんは以前来たときにクマを見かけたそうです。「クマいないかなー」とみんなで探しましたが、今回はクマの姿はなく…残念なような、ほっとしたような。ちなみに北海道のガイドさんですら「熊撃退スプレー」を使ったことはないとのこと。やっぱりあれば「お守り」なんだろうなぁ。

幌尻岳
カールの下の方にヒグマがウロウロするらしい。

幌尻岳
幌尻から戸蔦別岳への稜線もきれい。次回来ることがあれば、あの稜線を歩きたい。

幌尻岳
赤く色づく登山道。秋はもう始まっている。

休憩を終えて、最後の1時間、山頂に向けて歩き始めます。
なかなか来れない幌尻岳の山頂が近づくと思うとワクワクしますが、登りはまだまだ続きます。

山肌は草紅葉で黄色と赤に染まっていて、美しい景色が広がっていました。ガイドさんいわく、今年は幌尻岳の紅葉はこれがピークかもしれないということでした。10月に入れば、すぐに雪になってしまう北海道の山。短い秋ですね。

幌尻岳
9月ですが日差しが強い。朝の寒さが嘘のよう。

幌尻岳
山頂を目指してカールを登っていきます。

幌尻岳
今年の紅葉はこれがピークなんではないかとのこと。

幌尻岳
幌尻岳山頂が近づいてきた


カールの右側を登り切ると、幌尻湖が見えてきました。新冠ルートはあの湖あたりから登ってきます。新冠ルートとの分岐があり、そこを過ぎると、幌尻岳山頂まではすぐ。最後の登りとなります。

幌尻岳
幌尻湖が見える。新冠ルートはあのあたりから登ってくるそうです。

幌尻岳
新冠ルートとの分岐に到着

幌尻岳
山頂がはっきり見えました。あと少し!最後の登り!

幌尻岳
山頂のケルンに到着

13時40分。ついに幌尻岳に登頂しました!
百名山の中でも遠くて難しい山なので、最後の方になってしまいがちな幌尻岳。今回のツアーメンバもほとんどが90座後半の人が多かったです。私はこれでちょうど90座。登れてよかった!!

幌尻岳
ついに幌尻岳山頂に来た〜〜!!!

山頂からは幌尻の反対側にある七つ沼カールが見渡せます。カールのむこうにも山、山、山。
どこまで行けるのかガイドさんに聞いてみると、ある程度は行けるそうですが、ほぼ藪こぎだそうです。二百、三百名山がこの山の中にあるのかな…。

戸蔦別岳も目線の先に見えました。ルートとしては戸蔦別岳を通って幌尻山荘に下りる道もあるそうですが、今日はもう時間がないので、このままピストンで戻ります。

幌尻岳
七つ沼カール。そのむこうにも山が広がっている。どこまで行けるんだろう。

幌尻岳
戸蔦別岳の三角形の山頂が目線の先に見える。時間があれば行きたかった。

幌尻岳
山頂で休憩していると雲が増えてきました

山頂から幌尻山荘へ下山。幌尻山荘で一泊。

山頂で休憩していると、さすがに9月の北海道の山だけあって、あっという間に寒くなってしまいました。行動食を食べて、少しゆっくりしてから下山開始です。幌尻山荘まで3時間半程度。早く下りないと暗くなってしまいそうです。

時間は14時過ぎ。雲も上がってきて、視界を遮ります。冷たい風も吹いてきて、あたりはすっかり夕方の様相になりました。

幌尻岳
下山を開始。道が雲覆われてしまう。

幌尻岳
これから長い下山です。

幌尻岳
雲が山の上に立ち込める。

幌尻岳
カールに差し込む太陽の光も夕方の柔らかい日差しに。

幌尻岳
赤く紅葉した道を進んでいく。

幌尻岳
ハイマツの道を進んでいく

幌尻岳
最後に見た幌尻岳山頂は雲に覆われていました。

カールから命の水まではかなりの急斜面で、今度は下りるのに苦労しました。疲れた足の筋肉で体を支えながら、転ばないように必死に降りていきます。

数回の休憩を経て、暗くなりつつある山を下りて、なんとかヘッドランプを使わない時間に幌尻山荘に到着しました。
時刻は17時半。登山を開始してから丸12時間。
なかなかハードな一日でしたが、充実した登山でした。

幌尻山荘
やっと幌尻山荘に到着。長い一日でした。

幌尻山荘は管理人さんがいる避難小屋。規模が大きくなく、収容人数も少ないため、靴は外の下駄箱にいれて、荷物は小屋の前のブルーシートに置いておくことが慣例のようです。

しかし、今日は私達10人ツアーの他に個人客が3人しかいないため、荷物を中にいれてOKになりました。明日雨予想だったので助かりました。

幌尻山荘は2階が大部屋になっていて、ここでマットと寝袋を広げて寝ます。私はシュラフをもってきったので、提供されたマットが薄かったため毛布を借りて下に敷くことにしました。

2階の真ん中は空いていて、下で炊いたストーブの熱が上がってきます。この日は寒かったのでストーブを炊いてもらったため、寝るときはシュラフがいらないほど暑くなりました。

幌尻山荘
幌尻山荘2階。ここでマットやシュラフを広げて雑魚寝です。

幌尻山荘
下からストーブの熱が上がってくるので、意外と暖かい。

幌尻山荘
幌尻山荘1階。混んでいるときはここもぎゅうぎゅう。
水場等もあります。

今日もガイドさんが夕ご飯を用意してくれました。ツアーって、待っていればご飯が提供されるので本当にありがたい。コーヒーを飲んだ後、魯肉飯とスープで夕ご飯を頂きました。お腹いっぱいになって、本日の疲れがどっと出てきます。就寝タイムは20時。1日よく歩いたし、目標も無事達成したし、安心感であっという間に眠りにつきました。

幌尻山荘
本日の夕ご飯は無印良品の魯肉飯とスープ。
香辛料が疲れた体に効きます

雨の中で長い下山。温かいとよぬか山荘でホッとする。

今日は12時に出発するシャトルバスに乗るため、少しゆっくりのスタートになります。
6時には朝ごはんを食べ終わって身支度を整えて、7時に幌尻山荘を出発しました。

天気は予報通りの雨。ちょうど出発してから雨がポツポツと降り始めました。沢だから濡れるからいいけど…。

幌尻岳額平川ルート
ピンクテープを頼りに渡渉を繰り返し戻ります。

幌尻岳額平川ルート
雨はどんどん強くなってきた。


沢だから雨でもいいや…と思っていたけど、だんだん結構な量な雨が降ってきて、かなり過酷な下山になりました。この雨だと沢の水量も増えてしまうようで、今日は登山口となる第二ゲートまで来るシャトルバスは欠航になったそう。1日ずれていたら幌尻山荘までも来れなかったと思うと、本当に天候に左右される難しい山なんだなと思いました。
小屋の管理人さんも、誰もいない小屋にいる必要もないため下山。沢をバシャバシャ歩きながら、私達を抜かしていきました。

幌尻岳額平川ルート
水量が増え始める。

幌尻岳額平川ルート
川を慎重に渡ります。雨で余計に滑りやすい。

私達が渡渉している間は、雨も降り始めということで、それほど川の水量は増えず、無事に渡渉は完了。取水施設で登山靴に履き替えて、また2時間林道を歩いて、シャトルバスが待つ第二ゲートへ向かいます。

雨はどんどんひどくなって、正直ここまで降る予報だったか?!と思うほど。昨日のうちに幌尻岳に登っておいてよかったと、ガイドさんのナイスな判断に感謝します。

林道を歩いている間に、私のぼろぼろの登山靴はあっという間に浸水し、沢靴と大差ない状態になりましたw(あとでツアーのメンバーと、ガイドさんからあの靴はヤバい、すぐ底がとれるよ…と言われてしまうほどオンボロでした)

無事に12時前にゲートにたどり着き、シャトルバスに乗り込んで、とよぬか山荘に戻ります。
レインウエアの下まで雨で濡れてしまっていたので、ストーブをつけてくれた部屋で色々荷物を乾かしながら、お風呂に入ってさっぱり。

昼過ぎにはすべてが完了して、時間を持て余すくらい。
仕方ないので、みんなでお酒を飲みながら、つまみを食べ、山談義に花を咲かせます。

今回のメンバーは百名山があと2,3残すのみというツワモノが多くて、山を歩くペースも足取りもしっかりしている人ばかりでした。さすが百名山も最後のほうとなると、山慣れしている人が多いですね。

ここでも夕ご飯はガイドさんが用意してくれます。今日は八宝菜ごはん。無印良品シリーズです。
お腹いっぱいになって、今日は温かい布団でゆっくり眠ります〜。

幌尻岳額平川ルート
夕ごはんは八宝菜ごはん。

幌尻岳額平川ルート
温かくきれいなお布団でゆっくり眠ります〜

最終日はとよぬか山荘から新千歳空港へ

山荘の最後の朝食は、ホタテのませご飯とショウガスープ、そしてガイドさんお手製の白玉入りのおしるこです。
ガイドさんとはここでお別れとなりますが、すごく歩きやすいし、良いガイドさんでした。感謝です!

幌尻岳額平川ルート
混ぜご飯とスープで今回の山旅の最後の朝を過ごす

幌尻岳額平川ルート
白玉入のおしるこ。甘いものが嬉しい〜

朝8時にとよぬか山荘を出発して、新千歳空港に戻ります。雨はそれほど降っていませんでしたが、途中バスの窓から見た川は、茶色の水で埋め尽くされていて、かなりの雨で増水していることがわかります。…こんな川の状態では、幌尻山荘までの渡渉ができないのも分かります。

幌尻岳額平川ルート
雨で増水した川。行きに見た景色と大違い。


新千歳空港に11時ぐらいについて、ツアーは解散となりました。ツアーで知り合った女性みんなでよつ葉のソフトクリームを食べました。やっぱり、北海道のソフトクリームは美味しい!

新千歳空港よつ葉ソフトクリーム
よつ葉のラムレーズンソフトクリームサンデー

私は2時の飛行機だったので、それまで時間があったので、前回食べたいと思っていた花畑牧場のラクレットをランチにいただきました。じゃがいも、にんじん、ブロッコリー、ウィンナー、ベーコンにラクレットチーズをたっぷりかけた一品。やっぱり、北海道といえばチーズでしょう!うーん、満足、おなかいっぱい。

新千歳空港ラクレット
新千歳空港の花畑牧場 ラクレットチーズ

山旅の遠征旅行は、その土地の美味しいものを罪悪感なくご褒美で食べれるのが嬉しい。
あれだけたくさん体を動かしてるんだから、少しぐらい食べてもいいんじゃないかって思えるので、普通の旅行とは違う満足感があります。

今年は2回目の北海道。羊蹄山に続き、コロナと雨で閉鎖されていた山荘に難しいと思っいた幌尻岳を、1回のチャレンジで登ることができて、山の神様とガイドさんに感謝です。
これで90座登頂!あと10座。これからまたがんばりますw