関東から一番遠い百名山が、北海道の離島にある利尻山です。天気予報は悪い方向になりつつありましたが、半年以上前に予約をした北海道百名山、天気で諦めるわけにはいきません。まずは稚内に飛行機で飛んでフェリーに乗って利尻島へ。移動だけで一日がかりです。翌日は利尻山のアタック予定日・・・なんとかお天気がもってくれた!
【利尻・礼文全行程】※このブログは1日目、2日目の行程です
1日目:羽田空港(10:40)→[飛行機]→稚内空港(12:30)→[バス]→稚内港(16:40)→[フェリー]→利尻鴛泊港(18:20)→ペンション(宿泊)
2日目:利尻北麓野営場(5:10)→甘露水(5:25)→四合目(5:55)→五合目(6:30)→六合目第一見晴台(7:00)→八合目長官山(8:25)→九合目(9:20)→利尻山頂→利尻岳山小屋→長官山→第二見晴台→第一見晴台→甘露水→利尻北麓野営場
3日目:利尻鴛泊港→[フェリー]→礼文香深港→[バス]→知床
桃岩展望台→礼文香深港→[フェリー]→利尻鴛泊港→ペンション(宿泊)
4日目:利尻鴛泊港→[フェリー]→礼文香深港→[バス]→スコトン
スコトン岬→ゴロタ山→江戸屋→病院前→[バス]→礼文香深港 (宿泊)
5日目:礼文香深港→[フェリー]→稚内港→宗谷岬→稚内空港→[飛行機]→羽田
【利尻山】
北海道、標高1721m、百名山、花の百名山。
鴛泊コースは野営場から往復で9〜10時間と長い行程で、最後9合目〜山頂まではなかなか急斜面なのでスタミナが必要です。
登山口近くに甘露水という美味しいお水がありますが、あとは水はありませんので、飲料水は多めに持っていきます(3リットルを推奨されました)。また自然に対する配慮もありトイレは携帯トイレブースを利用します。そのため携帯トイレの持参が必要です。
利尻山には固有の花が咲いていて、「リシリヒナゲシ」「リシリゲンゲ」などを見ることができます。
登山レベル:★★★★☆ 中上級 (難しいところはありませんが、長い行程なので体力が必要)
【山バッチ】
利尻の鴛泊フェリー乗り場の売店で購入しました。
空を飛んで稚内、海を越えて利尻島へ
羽田空港から一路、稚内空港へ。稚内空港から、利尻島行きのフェリー乗り場がある稚内へは空港バスを利用しました。
空港バスはフェリー乗り場まで行くのですが、明日の登山の買い出しと昼ご飯を食べるために、稚内駅で下車。
稚内駅は、日本最北の駅ということで、駅の中の観光案内所で、「最北端到達証明書」がもらえます。
(最北端は宗谷岬なので、ちゃんと最北端を踏みたい人は宗谷岬へいってくださいw)
そして日本最北の「線路の末端」も見ることができる、なかなかおもしろい駅なのです。
駅から2分ほど歩くと商店街があり、ちょうどお祭りがあるのか、屋台がずらっと並んでいました。
ここに東北グルメのゾーンがあり、北海道にもかかわらず、東北グルメを食べること。
山女の塩焼き400円、めちゃくちゃ美味しかった〜!
この商店街の中にご当地スーパーがあり、ここでは北海道ならではの食品をたくさん売っていました。
北海道らしくカップアイスも、かなりの品揃え、ハーゲンダッツもなんのその、北海道ミルクをベースとしたご当地アイスクリームが冷凍の棚にズラッと並んでいます。迷った挙げ句、「宗谷の塩」のアイスクリームを購入。
他にも、明日の登山に備えてパンや飲料、おつまみを買って準備を整えました。
アイスクリームを食べた後、フェリーまで時間があまったので、「稚内港北防波堤ドーム」という観光名所を見に行きました。
稚内駅から5分ぐらい歩くと、ローマの時代の柱みたいなもので支えたドーム型の壁が見えてきます。こちらは長さが427mあるそうで、戦前に作られたものが老朽化し、昭和55年に再度作り直したものだそうです。
独特の形の防波堤で世界でも唯一のものらしい。
さて、時間になったので、今回の本命たる利尻島へ渡るフェリーに乗りに、稚内フェリターミナルへ行きます。
稚内〜利尻島に行くフェリーは1日3本のみ。そのうち2本は午前中に出発してしまうので、最後のフェリー16時40分発に乗ることになります。利尻島へは移動だけで1日がかりなのです。
フェリーに乗ります。利尻島へ行くフェリーは数台あるのですが、今回は「アマポーラ宗谷」という大きめの船でした。1階はお座敷、2階の椅子席です。2階の船先は特別料金を支払う乗れるスペシャルシートで、前方の大きい窓から、近づく利尻島がよく見えるそう。
稚内から利尻島の鴛泊港へ1時間40分の船旅です。
ノシャップ岬をぐるっとまわって、北海道の大海原を進んでいくと、海の向こうに利尻山が高くそびえる島影が見えてきます。
ついに会えた!!最北端の百名山、利尻山。
水平の彼方にそびえる姿の美しいこと!
18時20分、鴛泊港に到着しました。
港からも利尻山の山頂がちらっと見えます。島を象徴する山ですね。
今晩の宿をお願いしている「ペンション群林風(グリーンウィンド)」さんが港に迎えにきてくれました。
車でペンションにつくと、すぐに夕ご飯。
海の幸を中心とした夕ご飯のメニューです。
利尻島へ行ったら「ウニ」をたくさん食べれると聞いていたのですが、今年は海が荒れていて漁に出れない日が続いたということで、なんとウニはないとのこと・・・とても楽しみにしていたので残念〜。
心配していた天気ですが、明日は良さそう!
翌朝は4時40分に宿を出発して登山を開始します!
利尻山へ登山開始
朝5時前に、利尻山麓のキャンプ場に到着しました。
キャンプ場は芝生で、テントが張りやすそうな、良い場所です。
ここで身支度を整えて、朝ご飯を食べてから、利尻山の登山を開始します。
登山口から15分ぐらい歩くと甘露水につきます。
甘露水は冷たくて、ちょっと甘くて、本当においしい水なので、ここで水を補給することをおすすめします。
(とはいえ、ペンションで使っている飲料水もこの甘露水だそうです)
利尻山は往復9時間の長い行程で、標高も1500mの低い山なので、北海道といえでも晴れればかなり暑いです。
水は3リットル持っていくことが推奨されていました。私は水を飲むのが少ない方なのですが、今回は2.5リットル持っていくことにしました。
しっかり3リットル近い水を用意しました。
甘露水からちょっと歩いてすぐ3合目です。
その先に乙女橋なるものがあり、4合目、5合目までは樹林帯のなだらかな坂道をひたすら歩いていきます。
この日は気温25℃予想で、利尻島では暑い日。樹林帯を歩いていると湿度が高く、すでに汗びっしょりです。
太陽も昇ってきたので更に暑くなりそう・・・。
五合目手前から少し上りがやや急になってきます。
五合目から先は視界がひらけてきます。木々の向こうに利尻山の裾野の広がりが見えてきました。
頭上に青空、今日はいい天気になりそうです!
利尻島まで来て、晴れて、本当によかった〜。
さらに30分ほど歩いて、6合目の「第一見晴台」に到着。
見晴らしはというと、ふもとには雲が広がっていました。まだ標高が高くないので、目線のちょっと先に雲・・・で、景色はあまりよくありませんでした。
ここからは高い木もなくなってきたので、高くなりつつある太陽の光を浴びながら、上り坂を登っていくことになります。
6合目のちょっと先に携帯トイレブースがあります。(トイレは、6合目、8合目、9合目にあります)
7時25分、七合目に到着しました。「胸突き八丁」って書いてありますが、ここからさらに斜面がきつくなってきます。
蒸し暑さと、太陽の暑さが厳しいですが、風通しがよくなってきたので、樹林帯を歩いている時ほど暑さは感じませんでした。
第二見晴台に到着、ここでようやく標高1120mです。
海抜0m近くから登ってきているので、1700mの低山といえでも、なかなか標高が上がってきません。
振り返ると、やっと雲より高い位置にきているのがわかります。
雲の切れ間が広がってきて、眼下に海が見えてきました。これぞ、利尻山の景色です。
長官山からの利尻山の絶景。最後はキツ〜イ急登です
8時25分、8合目の長官山に到着。三角形の利尻山頂を一望できる絶景ポイントです。
ここでしばし、山の姿にみとれます。青空に屹立する利尻の鋭い山頂は見ごたえがありました。
ここまで来るのに3時間ちょっと。今までの道のりも長かったけど、山頂までまだまだ遠い〜。
長官山の少し先、樹林帯の中に避難小屋があります。窓からのぞいた限りでは宿泊者はいないようでした。
昔ながらの避難小屋といったところで、携帯トイレブースが併設されています。
避難小屋からは、利尻山直下まで、しばらく低木の中をトラバースしていきます。
利尻山頂を見上げながら、低木の中の道を歩くのこの道は絶景ポイント。気持ち良い登山を楽しめます。
利尻山直下につくと急な上り坂になり、登り切ると九合目です。
9時20分、九合目に到着。登山口から約4時間。なかなかの長丁場です。
でも、実はここからが一番きつい上り坂になります。
いままは、島の横断するような形で中心の利尻山まで、ゆるゆると登ってきたのですが、最後は三角形のてっぺんまで一気に標高をあげていきます。
途中すれ違ったおじさんが「山頂まで、まだまだあるよー。こんなにきつい登山道は初めてだよ〜」と言って励まして(?)くれましたが、本当ここまで長く歩いてきて、最後の最後にこの急坂はなかなかきつい・・・。
あまり人が通らないため、このルートは荒れているそうです。
利尻山頂付近の「3mスリット」と呼ばれる場所に来ました。侵食されて崩れやすい場所でしたが、YAMAPの登山道プロジェクトで黒いコルゲート管(↓の写真でタイヤみたいに見える筒状の管)を埋めて、登山者がコルゲート管につめるスコリア(火山の噴出物の岩砕)を運んでその中につめるという活動を行うことで、登山道が整備されているようです。
ありがたいことにすごく登り下りしやすい登山道になっていました。
こういう活動って、本当に大事ですね。
この急斜面を登りきれば、山頂はすぐそこです。
眼下には遠く北海道までみえるほど海が広がっています。すぐお隣にある礼文島も見えました。
そして、前方の山の上には山頂の祠が見えます!
10時15分、利尻山の山頂に到着しました!やっときた!最北端の百名山!
空と海を越えてやってきた最果ての島の、一番高い山の上。感慨もひとしおです。
そして、ここで98座目になりました!
山頂で写真を取って、はしゃぎまくったあとは、お昼ご飯をちょっと食べてエネルギーをつけます。
ここからピストンで来た道を戻るので、まだまだ長い道のりが待っています。
エネルギーを蓄えて下山に望みますよ〜。
利尻山頂からピストンで下山
山頂で30分ほど休憩してから、下山を開始します。
雲がなくなった海を眺めながら、利尻山を下りていくので、景色を楽しめます。
14時40分、北麓野営場に戻ってきました。5時10分に出発して9時間半の長い道のりでした。
とても歩きがいがあって、でも景色も楽しめる最高の登山でした。
キャンプ場の管理棟の横で、ペンションからの迎えの車を待つ間、冷たいコーヒーを飲んで一休み。
ジョージアの北海道限定缶です。
ペンションに戻ったあとは、近くの天然温泉「利尻ふれあいの湯」で汗を流しました。
登山で疲れた体に温泉は気持ちいい〜!
ちなみにここの水風呂の水が、かなり冷たいらしく、サウナ後にめちゃくちゃ整うらしいのでお試しくださいw
ペンションに戻って、念願のバフンウニ♪
宿に戻ったらお待ちかねのご飯タイムです。今日はウニ漁に出れたとのこと、夢にまで見た!バフンウニが夕ご飯で出てきました。さすが最高級、利尻のウニ。何もつけずに頂いても、甘くて濃厚、臭みもなく最高に美味しかったです。
ちなみに、このウニの値段が一冊で8万円で卸されたとのこと・・・驚きの高級ウニです。
食べれて本当に良かった!漁師さんありがとう!ペンションのご主人ありがとう!
北海道の海の幸を堪能できる夕ご飯が終わり、目的だった利尻山も無事登れて、大満足の一日が終了しました。
利尻山は行程が長く、少しハードではありますが、北海道の自然を楽しめる、素敵な山です。
利尻島も素敵な島なので、また訪れたい島だと思いました。