台風が直撃しようという7月の週末。山小屋で停滞する覚悟で南アルプスの赤石岳と悪沢岳(荒川東岳)を目指します。台風の動きを見ながら最初の予定と反対の時計回りのルートをとりました。
【赤石岳】
山梨県・長野県、標高3121m、百名山。
南アルプスの南側に位置していて、登山に1泊以上必要な遠い山です。
椹島から登って赤石小屋に小屋に泊まって登るが一般的ですが、今回は天気が悪くなる予想もあり一気に山頂まで登り、赤石避難小屋に宿泊するちょっと過酷な登山になりました。
登山レベル:★★★★☆(中上級)
南アルプス南部は山が奥深く、1泊以上必要かつ3000m級の山が多いため体力、脚力が必要です。
【全行程】※このブログは1日目の行程です。
往路:毎日あるぺん号にて東京より畑薙第一ダムまで深夜バス
1日目:畑薙第一ダム(5:30/6:50)→[東海フォレストバス]→椹島ロッジ(7:50/8:30)→赤石小屋(13:30)→赤石岳山頂(17:40)→赤石避難小屋(17:50)※泊
2日目:赤石避難小屋→赤石岳→小赤石岳→荒川小屋
3日目:荒川小屋→中岳→悪沢岳→千枚岳→千枚小屋(泊)
4日目:千枚小屋→見晴台→吊橋→椹島→[東海フォレストバス]→畑薙第一ダム→[毎日あるぺん号]→新宿
※事前予約はアルペン号の往復のみ。
※東海フォレストと、南アルプスの山小屋は予約なしでOKです。
台風直前、いきなり雨…
前日の夜に東京の竹橋から「毎日あるぺん号」の深夜バスで、朝6:00に畑薙第一ダムに到着しました。深夜バス内では冷房の水がたれてきたり、寒かったりと、いつもながら熟睡はできませんでしたが…。
バス停で降りて、東海フォレストのバスを待っていると、雨が降ってきました。
畑薙第一ダムは駐車場以外に何もなく、この小さな登山届を書くテントの下に入って雨をしのぎます。明日には台風が直撃する天気予報のためか、バスを待つ人も多くなく、テントの下に全員収まることはできましたが、周囲は真っ白、雨は強くなって路上に小さな川ができるし…なんとなく、気持ちが沈みます。
幸い、6時半に、東海フォレストのバスがいつもより早く来てくれました。夏は登山客が多いので周回しているそうです。
バスに乗る時に今日泊まる予定の小屋を告げ、「宿泊施設利用券」を3000円で購入します。小屋で泊まるときに、この券を提示すると小屋の宿泊費から3000円をひいてくれるシステムになっています。
私達はこの時点では「千枚小屋」に今日の宿を取る予定でした。
バスでガタガタの山道を揺られること1時間、椹島のロッジに到着。
椹島に着くと雨は上がっていました。おかげでテンションがUP!遠い南アルプスまで来たから頑張るぞ〜という気分に。
登山口から赤石小屋までの長くて急な樹林帯
明日は台風が来る予報なので、「千枚小屋」に行く予定をやめて、「赤石小屋」に行くことにしました。そして、もし元気があれば「赤石岳避難小屋」まで上がってしまって、明日は小屋で台風をやり過ごそうと決めて出発します。
赤石岳への登山口には、まず、長い階段があります。ここを登った後も急登です。事前に赤石岳の登山情報を調べていると、この東尾根は赤石小屋まで景色の見えない樹林帯の急登が長く続く…とのことでしたが、まさにその通りでした。
台風予報でテント泊を直前で取りやめたので荷物は軽いものの、自炊4日分の食料をもって急坂を登るのは足に堪えます。
登り始めて1時間弱、「赤石小屋まで1/5」の看板がありました。坂にも荷物の重さにも慣れてきて、太陽も垣間見えるため、この時点では避難小屋まで登ってしまおうという気持ちでいっぱい。
赤石小屋まで2/5まで来た後に、緑の草が生い茂るオアシスのような場所に出ました。ずっと同じ風景…高い木に囲まれた登山道を歩いてきたので少し新鮮です。
赤石小屋まで3/5の標識を越えましたが、登り坂はまだまだ続きます。さすがに疲れてきたので、少し行動食を食べて元気をつけました。天気は曇りの中に日が射し、台風が来ているというのに穏やかです。
赤石小屋まで4/5の標識を越えると、歩荷返しの急登に入ります。
大きな岩の横を通ったり、岩の転がる道を上ったり、少しハードな道を30分ほど登ります。
歩荷返しが終わってから30分ほど歩くと、赤石小屋に到着。
椹島の登山口からここまで4時間の行程でした。
赤石小屋から赤石岳まで、雨の中の急登
さてここで、赤石岳避難小屋まで行くか、ここで止まるか思案します。時間は13時半。避難小山までコースタイムは3時間半なので、時間的には行けなくなさそう。
赤石小屋の受付の方に聞いてみると、避難小屋の空き状況について確認して下さいました。避難小屋は定員30名ほどのため、もし明日、台風で人が停滞すると小屋のキャパを超えてしまうとのこと。
「今日はまだ誰もいない」という避難小屋からの返事に、赤石小屋の方も「台風の影響が出る前に早く行って下さい」。
体力がもあるし、天気も悪くないし、避難小屋まで一気に登ることにしました。
休憩もそこそこに、また荷物を背負って赤石小屋を出発します。
赤石岳避難小屋は赤石岳山頂のすぐ下になります。赤石岳の標高が3120mで、椹島の標高が2120m。一気に2000m登ることになります。
赤石小屋を出て30分。景色がだんだん白くなってきました。そして小雨がぱらつき始めます。さっきまで木漏れ日があったのに!
富士山が見えるであろう富士見平まで来たのですが何も見えません…。
その後、雨は降ったりやんだりを繰り返し、天候は回復する兆しはなく悪化の一途。レインウエアを着込んで登り続けました。
赤石小屋から2時間ほど歩いて砲台型休憩所近辺にやってきました。周囲が真っ白なので砲台型がわからなかったのですが、少し雨が上がって遠くの山並みが見えました。
赤石岳避難小屋は有人の避難小屋なのですが、お湯はあるが水が豊富ではないということで、明日1日停滞も考えて、ここで水を2リットル組んで持っていくことにしました。「水場」らしき場所は特にないので、川から水を汲みあげます。
水場をすぎると石が転がる急な坂道を赤石岳まで登っていきます。
雨も降ってきて風も強くなり、この坂を登るのが本当に辛かった!
この後は、小赤石岳からの道と合流し、赤石岳山頂までの稜線歩きになります。さすがに2000m登ってきたために体力も低下、雨と風に心が折れながら、やっぱり赤石小屋に泊まっていればよかったなぁと少し公開しながら、最後の赤石岳までの登りを気力を振り絞って進みます。
17時40分。真っ白で何も見えない赤石岳山頂に到着しました!
標高差2000m、行程9時間。
雨も風も強くて、スマホを取り出すのも億劫なほどでしたが、記念の一枚。
赤石岳避難小屋での一泊
赤石岳山頂が真っ白だったので、避難小屋すら見当たらない状態。道標を頼りに少しだけ下ると、やっと雲の中に赤石岳避難小屋が見えました。
小屋の管理人さんが外にいて、17時半という遅い時間に到着した私達をみて、「おぉ、よく来たなぁ」と迎えてくれました。私がレインウエアの上にレインコートを着ている(古くなってきてレインウエアの撥水性が怪しかったので…)のを見て、「レインコートじゃだめだよ」と注意してくれましたが、レインウエアをその下に着てますと言ったら「それならいいよ」と。
暖かい小屋の中に入ってビショビショのレインウエアを脱いで干して、小屋に上がり込むとほっと一息つけました。
避難小屋といえども、寝具もあり、レトルトカレーながらご飯の用意があるので、他の小屋の素泊まりと同じく6000円かかります。椹島から登ってきたと言ったら、「祝・たった1日で2000m登頂」バッチをいただきました。頑張ったご褒美を頂いて、とっても嬉しい!!
さて、荷物をおいてから、お腹も空いたので夕飯の準備を始めます。
今日のメニューはビーフシチューと持ってきたパン。
材料は
・コーンビーフ
・人参1/2
・マッシュルーム
・デミグラスソース(ハインツ)
野菜を切ってから茹でて、その中にコーンビーフとデミグラスソースをいれて煮込むお手軽ご飯。
今回は友人が牛タンを持ってきてくれたので、それも追加して豪華な牛タン入ビーフシチューになりました!
ご飯を食べていると、小屋主の女性が、山の歌のハーモニカの演奏してくれます。その音色を聞きながらご飯を食べ、持ってきたお酒をちょっと飲んでいると、すっかりいい気分になってしまいました。
ご飯の後も消灯タイムまでこたつでダラダラ飲みながら、お菓子をつまみ夜を過ごします。小屋の管理人さんも一緒にお酒を飲みました。頂いた10年ものの梅酒が美味しかったこと。自分も梅ブランデーを毎年つけているのですが、この味を目指して10年仕込もうと思いました。
雨風は相変わらず強く、外のお手洗いに行って戻ってきたら突風が吹いて、傘がおちょこになってしまいました。台風は静岡沿岸を通っているらしく、明日の天気は厳しそうです。
朝の天気を見て、行けるならば明日は荒川小屋まで行こうと決め、眠りにつきました。
1日目山旅(椹島→赤石岳)はこちら
2日目山旅(赤石避難小屋→荒川小屋)はこちら
3日目山旅 (荒川岳→千枚小屋)はこちら
4日目山旅(千枚小屋→椹島)はこちら