五色ヶ原で癒やされた次の日、早朝に出発して室堂へと進みます。5時間程度の行程ですが、獅子岳、鬼岳、龍王岳と名前も勇ましい3つの山を越えていきます。
【縦走レベル】
中上級:★★★★☆
薬師岳〜五色ヶ原までは道のりも長く、アップダウンが激しいため健脚向きコースです。
【行程】※このブログは3日めの行程です。
往路:東京から新幹線で富山。富山駅近辺で前泊し、翌朝タクシーで折立。
1日目:折立→五光岩ベンチ→太郎平小屋→薬師峠キャンプ場→薬師平→薬師岳山荘 ※小屋泊
2日目前半:薬師岳山荘→薬師岳→北薬師岳→間岳→スゴ乗越小屋
2日目後半:スゴ乗越小屋→スゴ乗越→スゴ乗越の頭→越中沢岳→鳶山→五色ヶ原山荘 ※小屋泊
3日目:五色ヶ原山荘(4:40)→獅子岳(6:40)→鬼岳(7:40)→龍王岳(8:40)→浄土岳(9:05)→室堂みくりが池温泉(10:10) ※総時間 5時間半
復路:室堂→[バス]→美女平→[ケーブルカー]→立山駅→[富山電鉄]→富山→[新幹線]→東京
朝焼けの五色ヶ原
朝4時前に起きて身支度を整えます。まだ空には星が残っていて、きれいな星空が見えました。日の出が近づくにつれて空が赤く染まり始め、五色ヶ原はきれいな朝焼けに包まれていきます。
今日も早朝出発なので、朝ごはんはお弁当にしてもらいました。
少し食べたのですが、ごはんが多いのでおにぎりにしてジップロックに詰めて持ち歩くことにしました。
今日の行程は5時間程度を想定していますが、昨日もYAMAPで8時間半の行程のところ、10時間半かかったので、ちょっと心配。小屋の方が曰く「獅子岳まで2時間でいけたら、その先も2時間でいける」ということでしたので、獅子岳まで2時間で行けるように頑張ってみることにします。
五色ヶ原山荘に別れを告げて、日の出も近い五色ヶ原の木道を歩き始めました。
昨日は霧に包まれていたこの平原ですが、すっきりと晴れ渡り、周囲に北アルプスの山々が、昇る太陽に赤く染まっていく様がよく見えました。
キャンプ場との分岐を経て、ザラ峠まではゆるやかな下りです。
景色も見晴らしもよく、五色ヶ原の絶景を堪能しながら歩いていきます。草原の向こうに、黒部五郎岳と槍の穂先が小さく見えます。槍ヶ岳は北アルプスのランドマーク。どこから見てもわかりやすい。
そのうちゴツゴツとした岩が出てきて、前方に高い山が見えてきます。
目の前に立ちはだかるのが獅子岳、その向こうにひときわ高い立山。
ザラ峠から獅子岳へ登る
5時半にザラ峠に到着しました。写真を撮りながら歩いていたので、かなりゆっくりペースでした。
ここからは1時間半近く、獅子岳に登っていくことになります。
目の前にあるのは獅子岳の高い壁。ジグザグの山道が途中で消えて、岩陰に入っていきます。何人かの登山客の姿もあり、岩場を越えていくのが見えました。
この山もなかなかの急登なようです。
ジグザグの山道をある程度登ると、先程下から見ていた岩場に入っていきます。
岩場にははしごや鎖があって、ちょっとアドベンチャー気分が楽しめます。
獅子岳の急な岩場を昇っている最中、こんな絶景が!
五色ヶ原の中心に建つ山荘に朝日が当たって、本当にキレイ。この景色も北アルプスの好きな景色の一つです。
6時40分、ザラ峠から1時間10分、岩場に差し掛かってから40分程度で獅子岳の山頂に到着しました。なんとか五色ヶ原から2時間で着いたのでほっと一安心。
ここで、五色ヶ原山荘のお弁当を頂き、エネルギー補給。ご飯をおにぎりにしてジップロックに入れて持ってきたので食べやすい。景色を眺めながら、おにぎりを頂きます。
今回縦走最後の山、鬼岳と龍王岳を越える
室堂まであと2,3時間。五色ヶ原縦走も終わりに近づいてきました。
獅子岳からは越えなければならない最後の山が見えています。きれいな山の稜線と、山肌に見える登山道、そしてそそり立つような岩の山頂。まだまだ高い。まだまだ遠い。気が抜けない。
次の山も、ここまでの行程と同じように、一度下ってから登り返す山です。
今回の縦走で何回登り下りしたやら…
鬼岳の途中には雪渓がありました。
水が豊かなためか岩場の間でも花がたくさん咲いています。部分的に白とピンクのお花畑になっていて、すごく可愛い♡
立山もかなり近くに見えてきました。
…というより、ここで雄山の上の社が見えたので、あれが立山なんだって気づきました。
鬼岳の上りも岩場で、途中はしごがあったりもしますが、それほど危ないところはありません。
30分ほど登っていると山頂に到着します。
ここでもすれ違う人の大半が軽量パックで早く歩く人ばかり。中にはTJARの選手だった人や練習している人もいるらしく、朝8時にもかかわらず、「今日は剱岳から来ました」という方に会いました。どうやら昨日も会っていたようで、私たちを抜かして先に進み、今日折り返して再度会った…ということのようです。本当に早い…。さすがです。
鬼岳の山頂からは最後の龍王岳がよく見えました。こちらも岩がそそり立つような山です。山の左側に登山道が見えて、稜線を歩く人の姿も見えたので、どうやらこの山も、あの頂きまで登る必要がありそう。
でも、これがこの度最後の山だから、楽しんで登ろう。
龍王岳に登っている途中で、遠くなった五色原が見えました。その向こうに薬師岳、昨日歩いてきたルート。
本当に遠くから来たなぁ、よく歩いたな…と思います。
登り切って山頂へ少し巻くように歩いていくと、急に登山客が増えました。どうやら、立山室堂方面から登ってきた人たちのようです。
登山道周辺で休憩しているのでなんでだろう?と思ったら、龍王岳の山頂はこの登山道から外れていて、往復で10分程度のところにあるみたい。どうしようかとちょっと迷いましたが、片道5分程度ならばそう遠くないので、山頂へ寄っていくことにしました。
龍王岳の山頂は岩が中心。滑らないように注意しながら岩の上を登っていくと、すぐに山頂到着。
山頂は狭いので一人が立つといっぱいです。私が行ったときは誰もいなかったので、山頂を独占できました。
目の前に立山雄山も勇壮、その奥に岩の殿堂剱岳の立派な姿が見えます。
景観のいい山頂でした。
浄土山から室堂へ最後の下山
龍王岳から下りて、富山大学の研究所のある場所まで少し登ります。
そこから浄土山まではほぼ平行移動です。
途中は立山、剱岳、そして五色ヶ原もまだ見えました。最高の景色の登山道です。
気持ちいい尾根歩きで浄土山まで来たら、ここからは室堂へと急な下りになります。
かなり大きな岩がゴロゴロした登山道を下りていくので、足の負担になります。今回は新しい靴を履いてきて、まだ慣れていなかったのと、靴の中で足が滑ってしまったりして、足裏と指裏が擦れて痛くなっています。
そんな状態の足に、急な下りはつらかった…でも、室堂まであと1時間弱なので、頑張って歩きます。
浄土山の岩山を下りきって、見上げてみると岩が積み重なっている垂直にも見える急坂でした。
数年前にテント泊で雷鳥沢に泊まった際、室堂山の展望台まで来て、浄土山は登らなかったことを思い出しました。その時は7月で、まだこのあたりは大きな雪渓が残っていました。
ここから室堂までのラストスパート。
みくりが池が眼下に見えてきました。三連休の最終日、室堂を歩いているたくさんの観光客の姿もあります。今までのルートが人が少なかったせいか、人で賑わう室堂を見ると文明に帰ってきた・・・という気持ちになります。
室堂山荘まで下りたら、お風呂に入るために散策路を通って、みくりが池温泉へと歩いていきます。
ミドリガ池越しに山を眺め、青いみくりが池を通過し、ようやく温泉に到着。
10時10分、結局五色ヶ原山荘から5時間半かかりました…。
連休で温泉が混んでいることを覚悟したのですが、思ったより空いていて、すんなり入れました。ここで薬師岳山荘と五色ヶ原山荘で会った、同じルートを歩くソロの女性に再会したのですが、彼女は1時間以上前にここまで着いてケーキとか食べてから温泉に来たとのこと。実に健脚です。
やっぱりこの五色ヶ原縦走の人は健脚の人が多いなぁ…。
温泉から出たら、冷たいブルーベリーソフトクリームを購入。やっぱり登山後のソフトクリームは格別です!
バス、ケーブルカー、電車に乗って富山駅へ。海鮮の下界めし!
室堂からの帰りはバスとケーブルカーと電車を乗り継いで富山駅へ。
11時20分のバスに乗ってから富山に到着したのが14時過ぎ。3時間近くの長旅です。
富山駅に着いたら、今回薬師岳山荘まで一緒にいた友人と再会し(彼らは黒部五郎岳に行っていた)富山駅の居酒屋さんで海鮮ランチを頂きました。
富山に来たらからには海鮮!ということで「白エビ天丼」と「お刺し身」のセットランチ 2400円を頂きます。白エビたっぷり!刺し身も新鮮で美味しい!
ご飯を食べて、新幹線で東京に帰ります。
さすがに三連休の最終日、北陸新幹線は満席でした。
3日間の五色ヶ原縦走は、無事に完了。
天気に恵まれて、毎日絶景を楽しめた最高の山旅でした。
このコースは思っていた以上にタフなルート。2500mクラスの山々のアップダウンで、身も心も疲れましたが、歩きがいのある良いコースでした。そして秘境の五色ヶ原も、北アルプスの楽園のような場所でした。
ファストハイカーがたくさん歩いている道で、TJARの人たちを真似して軽量リュックでトレランシューズで、なるべく早く歩いてみたいな…と思いました。いかに荷物を減らすか…それも課題です。