2日間の屋久島宮之浦岳縦走。1日目は心配になるほどの大雨でしたが、ガイドさんの案内で雨の中を宮之浦岳を縦走します。
【宮之浦岳】
標高:1936m 鹿児島県 百名山
世界遺産の屋久島にあり、九州で一番高い山
山麓には屋久杉などの固有植物、山頂には花崗岩の塊を緑の中に望むダイナミック景観と、縦走は変化に富んでいて飽きることがないです。
【新高塚小屋】
高塚小屋から少し下ったところにある60名ほど収容できる無人の避難小屋。
ここから縄文杉まではすぐ近くです。小屋内は木造の二段構造。
【縦走日程】
2014年9月20日〜9月21日(夏山)
【1日目コース】
淀川登山口(7:15)→淀川小屋(8:00)→花ノ江河(9:30)→投石岩屋→栗生山→宮之浦岳(12:50)→平石岩屋→新高塚小屋(16:00)
コースタイム:11時間
淀川登山口から淀川避難小屋
朝5時半、まだ外も真っ暗の中、縦走が始まりました。
今回は避難小屋泊で、ガイドさんが食事を用意しているということで、持ち物は以下。
・水1.5リットル(途中で水が汲めるのと、雨で寒かったので500mlでも十分足りたかも)
・ロールマット、寝袋(避難小屋には何もないです・・・)
・替えのTシャツとタイツと靴下(靴下は絶対必要!雨でぬれる!)
・ウィンドブレーカー
・帽子
・トレッキングポール(結局使わなかった・・・高低差はそんなに感じなかったからかも)
・レインウエア(結局、ほぼずっと着てました)
・行動食(避難小屋でのおつまみにもなった)
・お酒1缶(これ飲むとよく寝れる・・・)
・カメラ(防水にしました!雨がひどかったので防水でよかったです)
・朝ごはん(ホテルで朝ごはんを弁当にしてくれます)
・ティッシュ(女子はお手洗い用に絶対大目に必要)
・携帯トイレ(結局使いませんでしたが、携帯トイレのブースはきれいで使いやすいそう)
・ヘッドランプ(自分のは電池が弱くなっていたので、ハイビームなのが必要でした)
・化粧品とか日焼け止めとか、薬とか、虫よけとか・・・
※持っていくとよいなとおもったものはサンダル。
雨で靴がびしょ濡れになったので、小屋ではサンダルが欲しかった・・・。
ガイドさん付のリッチな山登りのため、ガイドさんがホテルまで車で送迎してくれます。
車に乗って一旦、昨日訪れた「屋久杉自然館」、
そこでガイドさんの車からタクシーに乗り換えて「淀川登山口」へ。
淀川登山口は標高は1365m。
九州最高峰の宮ヶ浦岳は1936m。
アップダウンがあるにせよ、高低差600mぐらい・・・なので、まあ、高低差はそれほどでもない感じです。
ただ・・・登山口は雨が強くて、雨の中の登山というのは、かなりハードのはず・・。
雨でテンションが下がり気味ですが・・・
レインウエアを上下来て、ザックカバーをつけて、いざ、雨の中の山登り開始です。(7:15スタート)
木の階段を上り始めます。
ガイドさんは30kgの荷物を背負って、長靴はいて、慣れた足取りで雨の中、ちゃっちゃと進みます。私たちはついてくのに必死。
すぐに屋久島の大木が姿を現します。
雨の中で、緑の葉を身にまとい、枝を伸ばして立っている様は屋久島の豊かな森を感じさせてくれます。森や木々を楽しみながら登山できるのは屋久島の魅力かも。
淀川登山口からはずっと登りというわけではなく、途中で平らな道になったりします。
スタートしてから40分ぐらいで、世界遺産地域に入ります。
(※世界自然遺産は手つかずの自然でないといけないらしく、屋久島の一部のみ認定されているそう)
ここから20分ぐらい歩いて、「淀川避難小屋」に到着。
8:00過ぎぐらいでだいたい1時間。コースタイム的には45分なので、少し遅め。
ここで雨宿りをしながら、ホテルでもらった朝ごはんをいだきました。
おにぎり2個に、卵焼きに、魚のシンプルなお弁当。
小屋はガイドさんたちが当番で掃除をするそうで、キレイで清潔感がありました。携帯ブースでないトイレはここが最後です。
淀川避難小屋から花之江河の湿原
小屋からは、花之江河という標高1600m付近の湿原を目指します。
深い緑の中の川を渡り、世界遺産の森を進んでいきます。
森の中にヒメじゃらのオレンジ色のラインが彩を与えている。
ヒメキャラは屋久島~箱根までの日本の南側にしか生息しないのだそう。
道は木の根だらけで、水たまりが多く、靴はあっという間にずぶぬれに。
ゴアテックスでも靴の上部から水が入ってきて浸水してしまいました。
うーん…濡れた足で歩くのは気持ち悪い…
道の途中に、山を望める展望台みたいな場所があったのですが、雨風がひどく、山の姿はうっすらとしか見えません。残念…
淀川避難小屋から歩いて1時間半ぐらいで、花之江河(はなのえこう)に到着。
日本最南端の高層湿原だそうです。
以下は雨の湿原の景観。
霞ががって神秘的ということにしておきましょう。
湿原で15分程度休みます。
雨ですし、立ち止まっていると寒くなってきました。
すぐに宮之浦岳を目指して歩き始めます。
花之江河から宮之浦岳山頂
道は木の階段などちゃんと整備されていて歩きやすいのですが、滑りそうでドキドキしながら慎重に歩きます。
道に水が川のように流れていて、もはや沢登り状態の場所もありました。
花之江河から30分ぐらい歩くと黒味岳の分岐に差し掛かります。
晴れていれば行ってみたかった。
屋久島の固有種、ヤクシマアザミ。
雨の中でも元気に咲いています。
そのまま宮ヶ浦岳を目指して進んでいくと、だんだん岩場が多くなってきます。
この雨の中まさかのロープを掴んで上り下りを繰り返しました。
午前11時。登山口から歩いて4時間。
宮ヶ浦岳まであと2.6kmの地点にやってきました。
高い木々が少なくなり、あたりは低木と岩が目立ち始めます。
このあたりから山越えが始まるので、スタミナをつけるためにランチタイム。
ガイドさんの秘密の隠れ場所の岩屋があって、その下で雨をよけながらお昼のお弁当を食べて出発します。
どんよりと曇っています。雨は途中で止んだり、小ぶりになったりもしましたが、相変わらず降っています。
▲宮之浦岳まであと1.4km…近づいてきたけど、まだまだ先。
登っていくと山の中に湿原のような池の広がる場所が。
水と岩のコラボレーションがなんとも幻想的。山の上の秘密の渓谷みたい。
以下はノスタルジーモードで撮影した写真
なんとなく、映画のワンシーンみたいな雰囲気になりました
さて山の間の湿原を抜けて、あと1km地点までやってきました。
ここには携帯トイレブースがあります。
ここから栗生岳経由で宮之浦岳に向かいます。
このあたりは、かなり急な登り坂でした。
そして栗生岳に到着。1867m。
雨で削られた巨岩が印象的な山。この岩のふもとに祠があるらしく、
古くは神様が宿ると信仰対象だったよう。
山頂にこの丸い岩がごろごろあるのって、なかなかのインパクトですね。
(熊野の方でもあったけど、日本って不思議な形の岩は神様になることがおおいのだなーと思う・・・)
このゴロゴロした岩の横を通り、登っていくと…
ようやく着きました!九州最高峰、宮之浦岳山頂、1936m!!
淀川登山口7:00ぐらいに出発して、到着は12:50。
だいたい6時間の長い旅路でした。
しかしながら、山頂は真っ白で雨も強く・・・
「あちら側が海で種子島が見えて、こちら側に山が連なってます」
というガイドさんの説明を、心の目で見ながら、山頂で写真をとりました。
今度は晴れた時に絶対来よう!と固くリベンジを誓いながら。
宮之浦岳から平石岩屋(奇跡の晴れ間)
本日の目的を達成し、今日の宿の避難小屋に向けて下山を開始。
下山を始めて少しすると、にわかに霧が晴れ始めました。
うっすらと山の稜線が見え始め・・・
平岩の展望台付近では、雨もやみ、見晴らしがよくなりました
来た道を振り返ると宮之浦岳が。
前方に目を転じれば、丸い岩がごろごろしている不思議な山が。
屋久島に連なる山々の姿も、うっすらと海まで見えてきた!
雨で濡れそぼった屋久鹿が、今がチャンスと出てきてお食事タイム
岩山を目指して歩いていきます。
宮之浦岳の山頂の真っ白が嘘のように展望が開けています。
登りきると「平屋岩屋」という場所にでます。
この岩のところにも祠があったのですが、その祠を足蹴にした巨大な角の鹿がしし神様のように立っていました。
写真にはとれなかったけど、なんか神様然として印象的。
この岩屋の岩の上に登ると、360°の大パノラマが開けます。
うーん。この景色が見れてほんとによかった!
しかも、まわりに自分たち以外の人が一人もいない、最近の山にはない感動も。
大雨の中歩いて来ただけの甲斐があった!
平石岩屋から新高塚小屋
さて、小屋向けて出発します。
ほどなくして森林地帯に再び入りました。
巨木の立派な根っこ。岩の上に鎮座する木。
展望はなかったけど、第一展望台
屋久杉も姿を現しました。
樹齢1000年以上が屋久杉なんだって。
このあたりから縄文杉までは、とても杉の多い地域になるそうです。
そして、16時に新高塚小屋に到着。
7時に淀川登山口を出発して9時間の長い長い行程が終わりました。
着いた時には、もう寝袋を敷いて寝ている人や、ごはんを用意している人もいました。
本日の泊りは20人程度というから、小屋でもゆとりをもって寝れそう・・・。
夕食は、ガイドさんがもってきた鍋(重そう・・・)で、鍋キューブを使って鍋を作ってくれました。
あったまるし、おいしい!〆はちゃんぽん麺。鹿児島地鶏を加えて郷土料理ぽい。
サバ節ときゅうりと、マヨネーズと屋久島醤油を和えたおつまみもおいしい。
もってきたお酒で乾杯して、山談義をしながら7時になると、明かりのない小屋の中も外も真っ暗。
夜の7時。
1日の疲れとあったかい鍋で満腹になった私たちは寝袋に入って就寝しました。
都会住まいだと信じられない健康的な生活ですね。
(7時まで起きていたのが私たちだけ・・・)