やっとの思いで大天荘に到着し、テントを張って一安心。大天井岳の山頂へ登って景色を楽しみました。
しかし、山頂からテント場に戻ってからは天気は悪化、翌日は深夜から風雨が強くなり⋯さて、どうしよう?!
【大天井岳】
標高2922m 長野県、二百名山。常念山脈の最高峰。
オテンショウと読み、「御天所」または「大天井」と2つの意味があり、「高い場所」を指すそうです。
中房温泉からコースタイムで7時間程度。
登山レベル:★★★☆☆(中級) 標高が高いため登りに体力が必要で、行程が長く2日間はかかるため中級。
大天井岳山頂へ
テントを立て終えて、着替えて、少しのんびりしたところで15時。
まだ日も高いし、大天井岳の頂上へ登ってみることにしました。このルートは何回か来ているけど、大天井岳の頂上はいつもスルーしていたから、今回は初めての山頂です。
大天井岳へは小屋の横から登って5分〜10分で到着します。
サコッシュ一つで、ふらっと登りに行きました。
周囲の山にだいぶ雲が増えてきました。もくもくとした白い雲⋯明日は雨予報でしたが、まさに雨雲か。
標高2922m、大天井岳の山頂につくと、槍ヶ岳は今にも雲に隠れてしまいそうでした。
でもここからの眺めは最高。槍ヶ岳、穂高、裏銀座の山々。目を転じればここまで歩いてきた表銀座の道。麓の町も見えます。
ここまで登ってくるのは大変だけど、いい山です。
山頂をのんびりと楽しんで、テント場に戻ります。
大天荘の上にも雲が広がってきました。
そして、テント場に戻った時には、雲が低く立ち込めてきて、真っ白な景色になってしまいました。
山の天気は変わりやすい⋯
テント泊ご飯
雨が降ってきても困るし、秋の陽は短いということで、16時半から夕ご飯の支度をしました。
まず、お湯を沸かしてアルファ米にいれて、20分ほどおきます。
次に、持ってきたアスパラを茹でます。アスパラは芯がしっかりしているから折れないし、葉物みたいに傷みにくいので、テント泊によく持ってくる食材です。茹でたお湯はそのまま、レトルト食品を温めるのに利用。今回は無印良品のガパオです。
しっかり温めたら、目玉焼きを作ります。
そこで30分ぐらいたったので、アルファ米がいい感じにご飯になっていて、そこにガパオと目玉焼き、アスパラガスを乗せて、
本日の夕ご飯は完成です!
隣のテントもソロの男性で、彼はチャーハンを作っていました。フライパンにアルミホイルを敷いて、サラミ、にんにくとアルファ米を炒めて、チャーハンの素で味付け。ものすごくいい匂いが漂ってきました。
私の「食べる?」視線を感じたのか、お裾分けを下さいました。
彼は、昨日もここで1泊していて、今日は大天井ヒュッテの方まで行ったとのこと。牛首展望台からの景色がとても綺麗だったと話してくれました。
聞けば明日のルートも私と同じ予定で、午前中いっぱいは雨が持ちそうだから早めに出発するとのこと。私も雨の場合のエスケープルートを考えつつ、早めの出発にすることにしました。
ソロだと周りのテントの人といろいろお話ができて、結構楽しいのです。
さて、空も暗くなってきて、そろそろ寝る準備を始めます。
まあ、テント泊はご飯を食べ終わるとやることはほとんどないので、どうしても寝るのが早くなります。
歯を磨いて、顔を洗ってからテントに潜り込みます。
今回は広いテントなので、荷物の整理も楽⋯というかむしろスペースが多すぎて、持て余しちゃうくらい。
いつもは荷物をコンパクトにまとめて寝ていたのですが、これは広げていても問題ない。
2人用のテントは、やっぱりいい〜!⋯とか思いつつ、テントの中でゴロゴロしている間に寝てしまいました。
早朝の大雨、テントの中での朝ご飯
夜中から雨が降りだし、風も強くなってきて、テントを激しく雨がうちつけて、その音で目が覚めました。
あー、降っちゃったなぁ⋯濡れたテント畳むの嫌だな〜とか思いつつ、寝たり起きたり⋯。
朝方、4時には起床して5時には出発のつもりでしたが、雨風が強すぎて、しばらくテントの中で弱まるのを待つことにしました。
これは、もうBプランかな〜。
本当は常念岳を越えて、そのまま蝶ヶ岳へ行ってもう1泊する予定でしたが⋯この雨だと、もう1日テント泊をするのは辛い。
雨だった場合は、常念小屋から一の沢に下山して、今日帰るというプランを立てていました。
⋯だとすれば時間的には余裕があるから、まあ、のんびりしよう。
と、いうことで、テントの中でお湯を沸かして、まずコーヒーをいただきます。
今までの小さいテントだと、荷物やテントを燃やしてしまいそうで、テントの中でガスを使ったことはないのですが、広いテントだと、火を使うのも楽だし安全。
雨のテント泊だと、やっぱり大きめテントのほうが快適にすごせるな⋯と思いました。
次に昨日の残りのアルファ米にお湯とお茶漬けの素をいれて、朝ご飯。
サラサラと食べやすい。アルファ米って1つで2食分ぐらいあるので、夜と朝でちょうどいい分量です。
雨の中、常念小屋へ
朝5時を過ぎても雨は一向にやみません⋯
大天荘へ行って情報を仕入れることにしました。大天荘の売店前に今日の天気がプリントされて張ってありました。
まあ⋯雨時々曇り⋯。少しは雨は弱まるらしい。
テントに戻って、どうしようかなーと悩んでいると、どこかのテントから「6時過ぎたら雨が止むらしい」と会話している声が聞こえました。
そうか⋯じゃあ6時まで待ってみよう⋯。
と、またしばらく、テントの中でごろ寝をして雨が小ぶりになるを待ちます。
6時過ぎたあたりで雨音がなくなりました。ん?本当に止んだ?
テント場もにわかに騒がしくなってきました。どうやら雨が降ってないこの瞬間にみんなテントをたたみ始めたみたい!
ということで、私も荷物をリュックにつめて、テントを畳むべく外に出ました。
すごい!本当に雨が止んでいる!しかも、風も弱くなった!
これは、テントを畳むまたとないチャンス。
見ると、昨日お話していた隣のテントの男性も、テントをたたみ始めています。
「雨、降っちゃいましたね〜」
「もう今日下山することにした」
「ですよね〜。常念小屋でタクシー呼んでもらいます」
とか話しながら、テントをバタバタと片付けます。
雨で濡れたテントは小さくまとめてビニール袋に突っ込み、他の荷物が濡れないようにして、リュックに押し込みます。
ちゃんと畳んでいる余裕はない⋯。
レインウエアを着て、ザックカバーをかぶせて、雲と霧の真っ白な中、常念岳方面へと出発します。
風がほとんどなく、9月の半ばだというのに暖かい。
雨がふってもこのコンデションなら、そんなに辛くはないです。
道は割と平坦で、多少のアップダウンや、大きな岩の上を歩いて行く場所があったものの、基本的には歩きやすい道でした。
遠くまでは見れないものの、思ったより視界が広がっていて、時折薄日がさしたりもしました。
ただ、この広い山の中、歩いている人も少なく、視界が悪いので、時々道が合っているか不安になりました。YAMAPの地図と自分の位置を確認しながら、ちゃんとコース上を歩いてるのを確認し、常念小屋を目指して、2時間弱歩きました。
大天荘を出てから1時間半。目の前にひときわ高い山が見えました。
あれが常念岳⋯山を初めたばかりのときに登った山ですが、あんなに高かったっけ?
雨の中テントを担いで、あそこを登る気にはなれない⋯
8時に常念小屋に到着しました。
到着したら折しも雨が強くなってきて、迷うことなく下山を決定しました⋯。
常念小屋でタクシーを呼んでもらいます。タクシーの予約表に記入し、100円をお支払いすると、良きタイミングに電話してくれるので一の沢登山口でタクシーに乗れるというシステム。
今年は、林道が大雨に影響で車両が入れないということで、登山口からさらに30分下山したあたりでタクシーに乗れるとのことでした。一の沢までは常念小屋から3〜4時間ということで、12時半に迎えに来てもらうことにして、下山を開始します。
常念小屋から一の沢へ
常念小屋からはしばらく蛇行する登山道をひたすら下りていくことになります。
程なくして樹林帯に入るので、展望のない道を沢沿いに下り続けます。
このルートを通って常念小屋へと登れるのですが、昨日の合戦尾根に比べたら、かなり地味。槍ヶ岳が見えたり、合戦小屋のスイカがあったりとか、モチベーションが上がる要素がありません。
そして大雨の影響から、いろんなところで崩れていて歩きにくい⋯。
それでも「第一ベンチ」「胸突き八丁」とか、地点に名前がついているので、それを励みに下りていきます。
なんだかやたら長く感じましたが、3時間ほどかけて、やっと一の沢登山口に到着しました。
そこから林道をさらに30分歩くのですが、ここで再び雨が降ってきてました。
しかも今回はパラパラとか、通り雨レベルではなく、がっつりとした雨。
傘をもってくればよかった〜と後悔しながら、林道を30分ほど歩きました。
また、この林道がめちゃくちゃ長い〜。
どこがタクシー乗り場なんだ〜と心が折れかけたところで、並ぶたくさんの人が前方に見えました。
どうやらそこがタクシー乗り場なんですが、タクシーが来ないのか随分並んでいるな⋯
取り急ぎ、列の一番後ろについて、タクシーが来るのを待ちます。すぐに数台タクシーがやってきます。
もう予約ではなくて、目的地が一緒なら乗り合いする⋯という体です。
私は「穂高駅」まで行くという、若い男性の2人組に同乗させてもらいました。
ここまでの道のり、抜きつ抜かれつしていた彼らは、山を始めたばかりとのこと。静岡から車で来て、穂高駅近くの駐車場に止めたそうです。私と同じく大天荘でテント泊をしていたそうで、「いやー昨日の雨風が心配で寝れなかった」「林道がやたら長かった〜」といいつつも「昨日の天気は最高だった」「来年は槍ヶ岳に行きたい!」と楽しそうにお話しされていました。
なんだか、山始めたばかりのことを思い出して、ちょっと微笑ましい。
「いやーいつか百名山とか登りたいっすね〜」と話すと、タクシーの運転手さんが「実は私、今年百名山を終わったんですよ、最後は南アルプスでした」とのこと。おめでとうざいます!!!
初めて会った人でも山の話で盛り上がることができるのが、山のいいところ。
ソロで行ったテント泊ですが、色んな人と話ができて楽しい。
穂高駅について彼らと別れ、私は松本へ。
松本で濡れた服を着替え、サンダルに履き替えて、さっぱりしてから、あずさに乗って帰路につきました。
3日間の予定で行ったテント泊ですが、雨で2日間になったものの、1日目は天気もよく、美味しいものも食べて、楽しいソロテント泊でした。来年はリベンジで常念と蝶ヶ岳を歩きたいと思います。