【黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳 Day1】竹宇駒ヶ岳神社から七丈小屋へ

南アルプス

今回は久しぶりに南アルプスの甲斐駒ヶ岳…ずっと行ってみたかった黒戸尾根ルートにチャレンジしてきました!甲斐駒ヶ岳は5年前に一度登っているのですが、立ち姿の美しい岩場もたくさんある大好きな山の一つです。行程は2日間。1日目は七丈小屋に泊まり、2日目は甲斐駒ヶ岳を登頂し、北沢峠に下りる無理のないプランです。

【全行程】
往路:東京→[車]→竹宇駒ケ岳神社駐車場
1日目行程:竹宇駒ケ岳神社・登山口(7:30)→横手・白須の分岐点(11:00)→刃渡の岩場(11:30)→刀利天狗(12:00 ※小休憩)→五合目小屋跡(12:45)→七丈小屋(13:30) ※宿泊

2日目:七丈小屋→八合目御来光迎場→駒ヶ岳神社奥社→甲斐駒ヶ岳山頂→六合目駒津峰→双児山→北沢峠
往路:北沢峠→[バス]→広河原→[乗合タクシー]→芦安→[車]→東京

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竹宇駒ヶ岳神社からの長い樹林帯

朝4時、東京を出発して、車で竹宇駒ヶ岳神社の駐車場にやってきました。

台風が行ったばかりで、天気は微妙。雲が一面にかかっていて、今にも雨が降りそう。そして、つい先ほどまで雨が降っていたのか、あたりはびしょびしょ。岩場や梯子でハードな道のりと聞いているルートなので、この天気は少し不安になりました。

とはいえ、朝の7時、すでに駐車場は車でいっぱい。
健脚な方々は黒戸尾根を日帰りするそうなので、もう出発されたのでしょう。
すでに行っている人がたくさんいる…ということに勇気付けられ、私たちも出発します。

▲駐車場に登山届けを出すポストがあります。

▲ゲートの先は少しなだらかな舗装された道

尾白川の散策路に入り歩いていると、竹宇駒ヶ岳神社があります。
雨に濡れた鬱蒼とした森の中にある神社は、静かな佇まい。

登山の無事を祈って、神社横の道を進んで行くと深い緑の中に吊り橋が見えてきました。
名水百選の看板と、神様の碑のある横にあるちょっと古めかしい吊り橋。
ここを渡って山に入っていきます。

▲名水百選。綺麗な尾白川の水

曇りで木々も茂った、薄暗い山の中を登り始めます。
風はなく、川と森から溢れ出す水分で湿度も高く、登山の出だしから汗びっしょりです。

道のりに大きな変化はなく、高い木々に覆われた樹林帯をひたすら2時間、途中に急な坂があったり、少し緩やかになったりを繰り返しながら山を登り続けます。

飽きちゃうほど長い長い単調な道のりでした。

黒戸尾根は古い登山道で礼拝の道。そのため道の至る所に神様を祀る碑が建てられています。今でも丁重に扱われている様子がわかります。

2時間ちょっと歩いたところで、横手神社側からの登山道とぶつかる横手・白須の分岐点に出ます。
そのあとは少し木の数も減ってきて、周囲は地を笹に覆われた道となります。

刃渡りの岩場から刀利天狗

笹の道をすぎて、八丁登りと言われる場所あたりに差し掛かります。
木の根が絡み合う登山道をひたすらに登っていきます。

八丁登りを超えて、木々の隙間から見える崖や山肌に結構登ってきたと感じたところで『刃渡り』の岩場が姿を表します。

大きな岩の壁が圧倒的な迫力を持って目の前に立ちふさがります。

この前屏風の頭の岩場を超えていきます。岩をよじのぼり、鎖に手をかけてまず最初の壁を超えます。
天気が悪かったせいか、さほど高度を感じることもなく、楽しくナイフフリッジを通過。

岩壁はしばらく続くので、岩に沿うように刃渡りをしばらく進んでいきます。
道横は多少切れ落ちていますが、慎重に歩けば危なくはありません。

▲刃渡りの足元はこんな感じ。

すぐ横は切れて落ちていますので、慎重に進みます。
刃渡りを無事に終えると、道はしばらく樹林帯に入り、そのあとは梯子をいくつか登ります。

▲険しい岩場を乗り切った後は、和やかな道でつかぬ間の休憩。

▲梯子が連続してかかっていますので、頑張って登っていきます

▲足元はこんな感じ。崖の上を歩いているがわかる

▲梯子はかなりたくさんありますので、
登り続けると息切れしてきます。

長い鎖が登場します。
足元は岩でステップがしっかりしているので、鎖に頼り過ぎずに登ることができます。

▲鎖を登り終えたところ。碑石がまるで岩を支えるように置かれていました。

この鎖の岩の上に『刀利天狗』の社があります。
12時近くに着いたので、ここで休憩して、行動食のランチを食べます。駐車場を出発して4時間半ほどたっていました。

▲大きなキノコが登山道の至る所に生えています。

15分程度の休憩をとって、出発。山の中の道を再び登り始めます。
時折の晴れ間に木立に光が入ると、森が一気に明るくなります。

黒戸山を巻いて行くため、しばらくは穏やかな道が続きます。
五合目までは一旦くだり坂。

▲上に向かって「下山道」の矢印。何かおかしな感じ。

▲雲に覆われた行く先。幻想的で綺麗。

五合目小屋跡から七丈小屋へ

坂を下りきると、「五合目小屋跡」に到着。ここでも岩の下に神様を祀るお社がありました。

その社の右側奥に、見るからに長い登りの梯子がかかっていますが、ここからの黒戸尾根の真骨頂。
梯子や鎖の急登の連続で、健脚が試されます。

▲社の横に剣が。

▲長い長い梯子を登ります。

▲岩の横を登っていきます。

▲この岩の間をすり抜けて先に進みます。

▲また、長い階段が見えてきました…登りに疲れてきた…

▲何度目かの梯子。もう数えられない…

▲少し穏やかな道もあるので、そこはほっと一息つきながら歩きます。

途中に小さな谷があり、梯子の橋がかかっています。
緑の中にある木の橋は、高度感と不安感を煽られますが、こちも慎重に歩けば足を踏み外すことはありません。

橋を渡るとその先に梯子の登りがあります。
急に大きな岩が現れて、道をより険しくします。

▲これまた急な長い梯子。ほぼ垂直です。

▲大きな岩の間に剣と碑が。岩場の至る所に祀られている。

黒戸尾根の予習をして他のサイトの写真をみたときに一番心配になったのが、この鎖場。
え、めっちゃ垂直だし、登れるの?って思ったのですが、写真で見るよりも高さはなく、3mぐらいでしょうか。なので鎖と岩の隙間に足をかけて登った後、横に移動すれば終わり。
思ったほど大変ではなかったです。


▲思ったほど高くなく、足もかけられて登りやすいです。

▲岩場を横切る鎖場。雨でしっとりしていると滑りそう。

▲まだまだ上り坂は続きます…

七丈小屋に到着。ほっと一息

登りに疲れてきて、小屋はまだかなと思い始めた時…七条小屋が木立の中から姿を現しました。
13時半。本日の宿に到着です。

歩き始めて6時間ぐらい。コースタイムよりちょっと短い時間で登ることができました。

小屋の前で冷えているコーラやポカリスエット。汗をかいていたので美味しそう。

小屋は1泊2食8200円。
麓のカフェで作られているジンジャーエールと、黒戸尾根のカッコイイ手ぬぐいを購入しました。
ジンジャエールはシロップも濃くて美味しかった!

本日の長い道のりの疲れを癒してくれます。

七丈小屋の中は、南アルプスの山小屋ぽさのある、可愛らしい清潔感のある作りでした。

一階は食事のスペースになっていて、夕食時間までは自由に使えます。
地元の日本酒などの瓶も並んでいて、お酒も色々楽しめそう。
寝る場所は2階で、大部屋に雑魚寝になります。

こういう「こじんまりした」感じは、大規模な小屋の多い北アルプスとは違って、南アルプスらしくて好き。

▲七丈小屋は2つ構成で、受付がある方が第一小屋。こちらが第二小屋。

七丈小屋の夕食は、カレーとエビフライとサラダ。カレー以外におかずもあることに感動しました。
女子的には野菜があるのがすごく嬉しい。山の中で海鮮系のエビフライがあるもの贅沢な気分になります。

▲野菜サラダ、マカロニサラダ、エビフライ、ソーセージ

▲カレーはスパイシーで濃厚。

この日は、山の医療ボランティアの方々、七丈小屋で、医療の講習会をして下さいました。
高山病のメカニズムと、低体温症のお話や回避方法、足がつった時の治し方など…。
また指先で体内の酸素濃度を計測するパルスオキシメーターと言われるもので、酸素や心拍数を測っていただいて、高山病になっていないかを確認しました。正常値だったので、自分は問題なさそう。

医療ボランティアの方は明日は甲斐駒ヶ岳の山頂に行って、具合の悪い人はいないかチェックしながら、この酸素濃度を測るそうです。いつもながら医療の仕事って素敵だなと思います。

小屋にいるお客さんは登山慣れしてらっしゃる方も多くて、七丈小屋のオーナーの話になりました。オーナーは最近変わって、世界的に有名な登山家の花谷泰宏さんという方になったそう。今日、花谷さんとすれ違った、と言うお客さんもいたのですが、残念ながら私たちは会えずじまいでした。

前の小屋番さんは、甲斐駒ヶ岳から鋸山の手前で八丁尾根に抜けるルートを作っていたそうで、明日はそのルートを通っていくと言うお客さんもいました。

一部地図にはある道らしいのですが、私の持っている地図にはなかったので、その道を通るのも楽しそうだなあと思いました。

登山客の人や医療ボランティアの人とお話をしているうちに夜も更け、消灯時間になります。

今日は曇天の中(日差しがない分涼しかったのですが)の登山だったので、明日は晴れることを祈って、今日は眠りにつきました。