夏山の練習のためにトレーニングをしようと考えていたところ、友人に誘われてまさかの黒戸尾根の日帰りピストンをすることに。雨続きの5月、北海道遠征予定も天気で中止…ほとんど山を歩いてないのに、こんなハードな道、私は歩けるのだろうか?練習のはずが一気に本番じゃないか。不安を抱えながら、早朝甲斐駒ヶ岳を目指して歩き始めます。
【甲斐駒ヶ岳】
標高2967m、山梨県、百名山。
花崗岩の白い山肌とハイマツの美しい景観の山です。神話時代に、天駆ける翼をもった白馬がこの山の山頂に立っていた・・・という伝説から「駒ヶ岳」という名前がついたそう。登山ルートは北沢峠から登るルート、今回利用した黒戸尾根と言われる長い登山ルートがあります。黒戸尾根は日本三大急登の一つで、日帰りでピストンすると12時間前後かかることから健脚コースの代表格。トレランの人達が多い道です。
登山レベル:中上級
黒戸尾根は鎖場やはしごもあるので、岩場の技術が必要です。また距離も長いので体力の必須。途中の「七丈小屋」で一泊をすれば余裕をもって登れます。
【登山行程】
前日:尾白川渓谷駐車場で前泊
当日:尾白川渓谷駐車場(4:00)→一合目(5:00)→三合目(6:50)→五合目(7:50)→七丈小屋(18:45)→八合目(9:50)→甲斐駒ヶ岳山頂(11:00)→五合目(13:30)→一合目(15:30)→尾白川渓谷駐車場(16:20) ※全行程 12時間20分
▼7年前、黒戸尾根を七丈小屋一泊で歩いた時の記録です

尾白川渓谷駐車場で前泊し、早朝から登山スタート
金曜日の夜、自分の車で尾白川渓谷駐車場へやってきました。
着いたときには雨が降り始め、しかも結構な勢いで降っていたので、明日登れなくなると困るな〜と思いながら、車中泊。
翌日は3時頃に起きましたが、すでに雨は止んでいました。
身支度を整え、ご飯を軽く食べて、4時にいよいよ登山スタートです。辺りは真っ暗、ヘッドランプをつけて「竹宇駒ケ岳神」の横から、尾白川渓谷をにかかる橋を渡り、黒戸尾根を登り始めます。
14時間ぐらいの行程の予定・・・絶対疲れるわ〜。

真っ暗の中、駐車場から1時間ぐらい歩いたところで、ようやく「一合目」の標がありました。
え、嘘でしょ、ここからがスタートなわけ?
日が昇ってきて、明るくなってきました。
同時に、樹林帯特有の湿度を伴った暑さにやられ始めました。
7月。最近まで涼しい日あったし、普段はデスクワークで暑さに体が慣れてない⋯熱中症の危険ありです。
動悸がするし、足も重たくてゆっくりしか歩けない。水をたくさん飲みながら、なんとか二合目まで到達。

時計を見ると朝6時。出発から2時間立っていました。
ここで一回休憩して、朝ご飯を食べようと思ったのですが、気持ち悪くてご飯が食べれない⋯。これはもう、山頂まで行けないかもしれない⋯と絶望的な気分に。
とりあえず水を飲み、塩タブレットや梅などを口に入れて、熱中症予防の対策をとって、三合目を目指して再出発。


樹林帯の道はまだまだ続きます。道も急斜面な場所が出てきました。
ただ標高が上がってきて空気が冷たくなり、時折木々の間から風が流れてくるようになったので、歩いていても涼しさを感じるようになりました。そのお陰でだいぶ元気が復活し、6時50分には標高1900mの三合目に到着しました。

三合目を越えると岩場やはしごが出てきます。
見晴らしの良い箇所もあり、青空の下に緑の山を見渡すことができました。
久しぶりの高山、気持ちいい!!アルプスに来た、夏山に来たという感じがします。






7時10分に四合目に到着しました。
標高が2070m。高さ故に涼しくなって、元気復活。ここで朝ごはんのおにぎりを半分だけ食べ、エネルギー補給。
無事にご飯が喉を通ってよかった⋯。
四合目から五合目へは下りになります。
帰りはここを登り返すのか⋯とか思いつつも、下りで体力温存。
下りきれば五合目となります。

五合目から七丈小屋へ、はしごと鎖場の連続
7時50分に五合目に到着。この先ははしごと鎖が連続する急登になります。
エネルギー補給のために、半分残っていたおにぎりを食べて、元気をチャージ。
塩分やクエン酸などもとって、この先の登りに挑みます。




六合目を通過し七丈小屋に向かう途中の岩場で、以前来たときは鎖だけで、ちょっと怖かった場所がありました。
どうやらそこもしっかりした梯子がかかったようです。安全に登れるように整備してくれていんだな、と思いました。



8時45分、出発から5時間弱で、ようやく七丈小屋に到着しました。
ここまでですごく長かったよぉ〜。この先はもっと急登の道が待っているので、山頂まで行けるかどうか全くわかりませんw
でも、二合目付近で感じた気持ち悪さや体の重さは今はないので、山頂まで行ってみることにします。

ここまでハイドレーションにいれていた2リットル近くの水は全部飲み干していました。もっていたペットボトルも残り少し⋯
こんなに水を飲んだのは初めてかもしれない。
水とポカリスエットを七丈小屋で購入し、ここに小屋があって本当によかったと思いました。
途中水場がないですもんね。



再び登山を開始。小屋の横を登っていくとテント場があります。
土曜日の朝9時の時点では、張ってあるテントはありませんでした。この後、テント泊の人達が登ってきてテントを張るのだと思います。テント装備でここまで登ってくるのは本当に大変そう〜。
このテント場の上が「七合目」。
この先がさらに急登になり、黒戸尾根の真骨頂とも言える道となります。


甲斐駒ヶ岳山頂へ、急登の連続で足が攣りそう⋯
七合目から八合目へはさらに道が急になります。
樹林帯を抜け、登山道は大きな岩の上を歩いたり、ハイマツの道となります。
急坂になかなかスピートが出ません。しんどい。


登っている途中でスタミナ不足を感じてきました。足があがらない。体が上がらない⋯。
考えてみれば、朝からおにぎり1つしか食べてない⋯。
なんとか八合目の「御来迎場」まで登ってから、お昼ごはんのパンをむしゃむしゃと頂きました。
食べたら少し元気が出たかも⋯。
見上げると雲の間に、遠く甲斐駒の山頂が見え隠れ。
あそこまであと1時間半ぐらいだろうか?着くのかなぁ〜。


ご飯を食べてエネルギーチャージ、気持ちは元気になったので、山頂を目指して登山を再開。
八合目から先は岩場の連続です。鎖場も何度も出てくるため、ハイステップで足をあげなきゃいけないところがたくさんあります。いつもは大好きな岩場が、足の疲労でなかなか進みません。足を上げるめんどくさい〜。




九合目近く、巨岩が登山道を塞ぎます。岩横を回り込んだり、よじ登ったりしながら進んでいきます。
エネルギー不足はなくなったものの、足の筋肉がピクピクしてきました。
やばい〜攣りそう⋯。
足の筋肉を騙し騙し、ゆっくり登ることにしました。




九合目についたのは、10時半近く。
足の筋肉は限界に近づいていました。ちょっと休憩して足をマッサージ。
見上げると岩の上に二本の剣が突き刺さっています。
おお、ここが黒戸尾根を象徴する景観の場所だったんだ。



急坂が連続し、山頂まであと少しというところで、本当に足が動かなくなってしまいました。
これ以上歩いたら、足が攣って動けなくなる⋯。
目の前の岩の急登を恨めしく思いながら、しばし足を休めます。
甲斐駒ヶ岳の山頂はすぐそこなのに、山頂まで行けないかもしれない⋯と絶望的な気分に。



今にも痙攣を起こして、動くのをやめそうな両足をなだめながら、なんとか山頂の手前までやってきました。
ここまできたらあと10分程度。念願の山頂にたどり着きそうです。


そして11時、甲斐駒ヶ岳の山頂に到着しました。
雲に覆われてはいたものの、今夏シーズン初めてのアルプスはやっぱり気持ちよく、来てよかった!と思わせてくれます。
ここまでとっても辛かったけど、山頂に来ちゃうとそんなことは全部忘れてしまう、魔法の山頂です。
よし、今シーズンも夏山縦走、がんばるぞ!


長い長い下山。黒戸尾根はやっぱり大変でした。
山頂でお昼ごはんの残りを食べてちょっと休憩したら、下山開始。
日帰り黒戸尾根はゆっくりしている暇がありませんw
そうです、山頂でようやく折り返し地点、道のりの半分。
できれば4時までに下山を完了したいところなのですが、ここまで上りは休憩込みで7時間、下山のほうが早いものの、目標時間まで5時間弱となると、そんなに山頂でのんびりしている余裕はない。
ということで、名残惜しいですが、甲斐駒ヶ岳山頂とお別れです。


黒戸尾根側は雲に覆われて視界が悪いですが、登ってきた道が見えると、かなり急な上り坂を登ってきたことがよくわかりました
うわ、こんな急な岩場を登っていたんだ。
鎖場なども上から見ると、本当に足元がまっすぐ切れ落ちている。




七丈小屋で少し休憩をとった後、五合目まで下りてきました。
時間は1時半、山頂から2時間ちょっとです。
ここまでは意外に順調。上りのときに攣りそうだった足は、下りでは完全復活して、さくさくと歩けました。
五合目から四合目までは登り返しです。
でも、こちらも思ったほど長くなく、あっという間に登り返しは終わりました。
うん、この調子なら大丈夫かも。



ところが4合目を過ぎて、また下り基調になった後が長かった。
特に3合目から先が長い。歩いても歩いても2合目の道標が出てこない。さらに2合目からダラダラと樹林帯を下っていくと、どんどん温度が上がってきて、蒸し暑さも復活。
下りといえども、侮れない辛い道です。



15時半、一合目に到着。
ほぼノンストップで歩いて、五合目から2時間かかっていました。
ああ、でもここで長かった道のりも終了⋯なんとか黒戸尾根をピストンできたと、少しホッとしました。

ところが⋯黒戸尾根が恐ろしいのは、一合目から登山口、駐車場もまでの道のりが長いっ!
一合目でホッとしてしまったせいか、足の使い方が悪くなって、最後の最後で膝痛くなってきました。
緩やかに蛇行しながら下りていく道は、行きは真っ暗で何も見えなかったので、こんなに時間がかかるとは思っていなかった。
20分ぐらい歩いて、ようやく登山口、さらに15分ほど歩いて尾白川渓谷。さらに10分ぐらい歩いてやっと駐車場に到着。
足が痛い!



16時20分、やっと駐車場に戻ってきました。目標の16時台に無事到着です。
朝の出発が4時だったので約12時間半の長い長い道のりでした。
標準タイムが14時間だったので、初めての黒戸尾根ピストンにしては上出来ではないでしょうか⋯と自己満足はできましたw

駐車場の売店で冷たい飲み物と、水に涼しげに浮かんでいたトマトを買って、貪るようにいただきました。
あー水分が美味しい!幸せ!!

その後は「尾白の湯」という立ち寄り湯へ。昨年の秋「日向山のゆるキャン」をした時に立ち寄った銭湯でもあります。
疲れただけにお風呂、最高〜。汗を洗い流すのって本当に気持ちよい!
さっぱりした後、ご飯を食べて車で自宅へ戻ります。土曜日の遅い時間だったせいか、中央道は空いていて、運転も快適でした。
今回は初めて黒戸尾根をピストンし、かつマイカーで車中泊の日帰りチャレンジでした。
アクセスも長野よりは近いので意外と行きやすく、練習登山にいいかもしれないな、と思いました。
いや、練習登山じゃなくて、本番ですけどw
次回黒戸尾根をピストンするときは、もう少し筋トレをしてから挑もうと思います。

