2泊3日のテント泊で、北海道の二百名山、カムイエクウチカウシ山へ行ってきました。
沢あり、岩あり、絶景の登山あり⋯盛りだくさんの山ですが、難関の二百名山と言われる破線ルートの登山で、行程も長く、ハードな山でした。でも、苦労の先に見える八ノ沢カールと山頂から広い日高山脈の眺めは最高です!
【アクセス】
帯広空港→車にて登山口へ
【行程】
1日目:幌尻ゲート(9:00)→七の沢出合(11:00/11:30)→八ノ沢出合(13:30)※テント泊
2日目:八ノ沢出合(4:10)→三股(6:20/6:40)→八ノ沢カール(8:20/8:45)→カムイエクウチカウシ山(10:35/10:50)→八ノ沢カール(12:00/12:25)→三股(14:45)→八ノ沢出合(16:30) ※テント泊
3日目:八ノ沢出合(6:20)→七ノ沢出合(7:50/8:20)→幌尻ゲート(10:00)
【カムイエクウチカウシ山】
北海道、二百名山、標高1,979m。通称カムエク。日高山脈では幌尻岳に次ぐ高さの山。アイヌ語で「神(熊)が転げ落ちる山」という意味の名前で、まさに転げ落ちそうな急坂の山です。沢を遡行するなど一般登山道ではないルートがあり、日帰りだと30kmを15時間以上かけて歩くことになる難易度の高い山。ヒグマも多く出没する地域のため注意が必要です。
登山レベル:★★★★★(上級)
1日目:登山口からの林道歩きと、沢を渡渉してキャンプ地へ
今回のカムイエクウチカウシ山は、ガイドさんをお願いして登山しました。
日帰りでも行けるようなのですが、かなりのロング行程なので、2泊3日のテント泊で山頂を目指します。
テントと朝夕のご飯はガイドさんが背負ってくれるので、私たちは自分の沢装備と行動食、身の回りのものだけ担げばOK。本当にありがたいです♡
帯広空港でガイドさんにピックアップして頂いて、カムイエクウチカウシ山の幌尻ゲートへ。
ここで車を止めて、後は歩いて、初日のキャンプ地「八ノ沢出合」を目指します。

幌尻ゲートから七ノ沢出合までは、しっかりした道路が通っています。
昔、日高山脈を横断する道路を作る計画で途中まで作ったそうなのですが、予算の都合で貫通を諦めたという道。
カムイエクウチカウシ山に登山するには不可欠な道路なので、未遂でもありがたい⋯。




立派な覆道や、橋を越えて2時間ちょっと歩くと七ノ沢出合に到着します。
積み重なった土嚢を越えたあたりの河原で、沢装備を装着します。
登山靴をリュックにしまって、沢靴、沢ソックス、沢スパッツ、膝当てをつけて、ストックを持って、いざ沢へ。
沢の水は驚くほど透明度が高く、暑かったので沢の水の冷たさが気持ちよい。
この日は、1ヶ月ほどまとまった雨が降っていなかったということで、水量が少なく、沢の渡渉については難易度が低めで助かりました。



沢の脇の木々にはピンクテープがついているので、それを目印に沢を渡ったり、沢から離れて高巻きしたりすることができますが、ガイドさんは歩きやすく安全なルートを選んで歩いてくれました。ピンクテープがやたらつきすぎているので、迷うこともあるようです。




途中、沢で水遊びをしながら、のんびりゆっくり歩いて、2時間ちょっと、八ノ沢出合のキャンプ地に到着しました。テントを張ったのは、ガイドさんだから知っているマル秘キャンプ地。川の中州で、いくつか砂地があって、ここなら背中が痛くならずに寝れそうな良い場所でした。
空もよく見えるので、夜空で星も堪能できそう。ナイスなキャンプ地です。
今回は「姫様」登山なので、テントはガイドさんに張っていただいて、しかも夕ご飯もご用意頂きます。
いつも重い荷物を背負ってテント泊している身にはありがたいサービス♡
ごはんはお米から炊くからとても美味しく、無印良品の魯肉飯に、ごま油を和えたトマトを添えて頂きました。
おいしい〜!山に行くといつもよりご飯をたくさん食べてしまいますね。
明日はカムイエクウチカウシ山への長いピストン行程。
12時間〜14時間ほどかかるそうなので、早めに就寝しました。



2日目:八ノ沢出合から三股へ
朝3時に起床し、ご飯を食べて、4時にカムイエクウチカウシ山へ登山を開始します。
辺りはまだ真っ暗だったので、ヘッドランプをつけて沢を渡渉します。
基本は樹林帯側のけもの道を歩いていきますが、昨日よりは渡渉回数も多く、何度も朝方の冷たい川に入りました。水量が多くなかったのが幸いして難しいところはありません。

5時頃、太陽が昇ってきて、前方の山を明るく照らし出しました。
その山が「カムイエクウチカウシ山」です。


少し、標高が上がってきて、上り坂基調になってきました。
河原には大きな丸々とした岩が転がっているので、その岩を乗り越えながら先に進んでいきます。




2日目:三股から八ノ沢カールへ
6時半頃、三股に到着しました。
今回は水量が少ないということで、ここで登山靴に履き替えてもOKとガイドさんに言われました。
私はそのまま沢靴で八ノ沢カールまで登りましたが、他のメンバーはここで靴に履き替えて、沢装備は三股にデポしました。沢靴で登るメリットとしては、暑かったので、途中で沢にがっつり入っても大丈夫♪という点。
水量次第で、登山靴で登っても問題ないと思います。
ただ、ここから八ノ沢カールへはかなりの急登になります。
基本は高巻きで、沢の横を登っていくのですが、岩場にロープがあったり、少し濡れていて滑りやすかったり、横が切れ落ちていて危なかったり、下草が生えすぎてヤブになっていたりと、なかなかアドベンチャーなコースです。急登ですが、バリエーションぽくて、ここが一番楽しかったかもしれません。

高低差が出てきたので、水は滝となって沢に流れ込んでいます。
二段の滝や高いところから沢に注ぎこむ滝など、変化に富んだ景観が楽しい。

岩場や、足元が崩れそうな細いところで、いくつかロープがかかっていました。
片手はロープを握り、もう一つの手で岩を持って、足を慎重に置きながら登ります。



二段の滝が見える、景色の良い所で軽く休憩します。
ここで沢に入って、暑くなった体を冷やします。手ぬぐいを水に浸して、首に巻くと冷たくて気持ち良い。
標高があまり高くないため、晴天だと、この辺りはとても暑いのです。
さてこの先カールまで1時間ほど、さらなる急登が続きます。
ここでガイドさんは少しペースアップ。今日はゆっくり時間をとって歩いていると、日が暮れてしまうのでちょっと早足です。




8時半に、ようやく八ノ沢カールに到着しました。
辺り一面そびえたつカール。青空に緑の山肌が眩しい、スケールの大きな美しい光景です。
ここはキャンプ地でもあり、通常は沢の水が流れているそうなのですが、この日は渇水で水なし⋯。
見越してガイドさんが下の沢で水を汲んできてくれたので、私たちは冷たいお水を頂くことができました。
ガイドさん曰く、カールまで来るのに時間がかかりすぎる場合は、ここで終了して戻ることもあるそうです。
今回は、時間通り歩けているので、山頂を目指すことができました。
私はここまで沢靴だったので、登山靴に履き替えて、濡れた靴やスパッツは岩の上にデボして、乾かしておきました。結局、帰りまた濡れちゃうので、乾かす意味はあまりないのですが⋯w


2日目:八ノ沢カールからカムイエクウチカウシ山頂へ
この先は、八ノ沢カールから稜線へと登り、尾根を歩いて山頂を目指すのですが、まだ登頂まで2時間ほどかかる予定。先は長い⋯。
カールの稜線に出るには、ピラミッドピークの下のコルへと続く登山道を、ジグザグと登っていきます。
一面花畑で、エゾアザミ、エゾツツジなど北海道独自の草花を見ることができました。
また、この年はエゾゼミが大量発生しているということで、あちこちで「ジージー」と鳴き声が響きます。





カールの上部は笹が多くて、途中笹に足を取られて転んでしまったら、そのまま笹に足を滑らせて、下まで落ちそうになりました。危ない⋯危ない。
稜線に出たら山頂まではあと少し。1時間弱の行程ですが、最後まで急登が続き、気は抜けません。
でも青空にカムエクの山並みが美しくて、テンションがあがります。
山頂へは稜線を歩いていきますが、細尾根で、時々岩場もあり、滑落に気をつけながら登っていきます。




手前の山のピークを越えて、山頂への最後の登りです。
緑の山肌に小道が続いているビクトリーロード(ちょっと登りがキツイですが⋯)。
ここにはエゾウサギギクがたくさん咲いていました。黄色の明るい花が、道を彩ります。


キャンプ地を出発して6時間半、10:35にカムイエクウチカウシ山の山頂に到着しました。
長い道のりでしたが、天気も良くて景色も最高。よい登山ができました♡
山頂からは360度の絶景。北海道の山に登るたびに、広くて深い山々に驚かされます。
遠く幌尻岳と三角形の戸蔦別岳が見えました。雲が多くて見通せませんでしたが、晴れていれば十勝岳も見えるそう。稜線を繋いでさらに先まで行けるそうですが、かなりのヤブ道だそう。
すでにここまでヤブ道で下草に足をとられまくっているので、厄介な道であることは容易に想像できます。




2日目:カムイエクウチカウシ山より下山
折角来た山頂なのでもっとのんびりしたいのですが、これから同じ道を下って、キャンプ地まで帰る必要があります。あまりのんびりはしていられません。
ちょっと行動食でご飯を食べて、下山開始です。
ピラミッドピークのきれいな三角形を前方に見ながら、またヤセ尾根を歩きます。
コルまで来たら、また八ノ沢カールへと急坂をおりていきます。






12時に八ノ沢カールに戻ってきました。
乾かしていた沢装備をピックアップして、三股へと下山を続けます。
カールでテントを張る人たちが何人か登ってきています。荷物は重たいけど、このカールでテント泊ができたらとても楽しそう。のんびりと八ノ沢カールとカムエクの景色を堪能できると思います。(ヒグマがちょっと怖いですが⋯)
下りは登り以上に気を使う箇所が多く、なかなか大変な道のりでした。
ロープがあるところは1人ずつ、しっかり足元に注意しながら下りていきます。
地面が濡れているところもあるので、慎重に。


昼過ぎたら雲が上がってきたので、日差しが緩むのではなかと思っていましたが、この日は晴天続き。
暑い中の下山が続きます。途中で沢で水浴びをしながら、涼をとりつつ歩き続けます。
体を冷やさないと熱中症になりそう⋯。


三股に戻ってきたら、ここで沢靴に履き替えて、また沢沿いの河原をひたすら歩きます。
14時を過ぎて、疲れも溜まってきているところなので、河原の岩で足をくじかないように慎重に歩きます。
ここから後2時間⋯ヘロヘロになってきて、あまり会話もなく、もくもくとテント場を目指しました。

そして16時半、ようやく八ノ沢出合の中洲にテントが見えてきました!
やった〜着いた!!無事に事故なく、歩ききってよかった!

沢で水浴びをして汗を流して、予備で持ってきた服に着替えたらさっぱりしました。
太陽も傾いて、夕暮れ時になると、辺りは涼しくなります。昼間はあれほど暑かったのに。
上着を着込んで、ガイドさんが作ってくれた大盛カレーで、空腹を満たします。
今日はたくさん歩いたから、お腹が減った!いくらでも食べれそうw

当然この日は疲れ切っていて、20時ぐらいには爆睡⋯よく動き、よく食べ、よく楽しんだ、最高の1日でした!
3日目:登山口への帰路
最終日は、キャンプ地から登山口の幌尻ゲートまで戻ります。
今日は時間に余裕があるので、6時に過ぎに出発し、沢を何回が遡行しながら七ノ沢へ。
七ノ沢の出合で、沢装備を外して、普通の登山靴に履き替えて、幌尻ゲートへ帰っていきます。
大雨が降る予報があったのですが、3日目もとてもいい天気で、結局雨は降りませんでした。ラッキー♪




10時に幌尻ゲートに戻ってきました。これでカムイエクウチカウシ山の登山は終了。
テントで2泊3日しましたが、この長い行程を日帰りでする人もいるから、すごいなーと思いました。
また、心配していたヒグマに会うこともなく、無事に山旅を完遂できたのもよかったです。
ガイドさんのには、本当に感謝です。
3日間の汗を土を洗い流すため、十勝エアポートスパSORAというところに寄りました。
オートキャンプ場や貸別荘があるエリアに建つ温浴施設。ゴージャスな内装で広くてキレイ。キャンプをしている人も利用するようで少し混雑はしていましたが、天然温泉がぬるっとした肌がつるつるになるお湯で、とても気持ちよかったです。

3日目:帯広観光(六花の森と中札内美術村)
飛行機まで時間があるので、六花の森と中札内美術村を見学しました。
六花の森は、六花亭の包み紙をデザインした「坂本直行」氏のギャラリーがあります。
広大な森の中に、移設したクロアチアの古民家を1軒1軒ギャラリーにした贅沢な作り。
坂本氏の日高の山々や、草花への深い愛情を感じる作品が数々残されていました。
特に六花亭の包み紙を壁紙にした部屋は可愛くて、とても素敵。
このデザインに、すっかり洗脳されてしまって、帰りにお土産をたっぷり買ってしまいました。





六花の森を出ると六花亭の売店があり、ここで、できたてのマルセイバターサンドを購入しました。
売店の奥には椅子とテーブルがあり、広大な森を眺めながら、買った商品をサービスのコーヒーとともに頂くことができます。
できたてのバターサンドは外のビスケットがサクサクで、中のバタークリームもミルキー。いつも買うバターサンドとは違う美味さがありました。


バターサンドを食べてしまいましたが、お昼ゴハンということで、お蕎麦屋さんへ。
「おびひろ縹」という蕎麦屋さんで、白くて美しいお蕎麦を提供してくれます。
私は「親子とじせいろ」(1400円)を頼みました。親子丼の上の部分が暖かいつけ汁になっていて、そこにせいろ蕎麦をつけて頂きます。お蕎麦はかなりボリュームがあり、卵は自然卵ということで、コクのある美味しい親子とじ。これで1400円はお安いなと思いながら、完食しました。


最後に寄ったのが、アートビレッジ中札内美術村。
ここもお庭が広くて、特に樹木がアーチになっている、絵画にあるような西洋の庭がとても素敵な場所。
時期にも寄りますが紫陽花や、ノリウツギが見頃でした。
この庭園にも、ギャラリーのたてものが点在していて、特に印象に残ったのが「小泉淳作」氏の日本画家のギャラリー。小泉氏は鎌倉の建長寺の雲竜図や、東大寺の襖絵を描いたそう。桜と睡蓮の襖絵を3年がかりで描き上げた軌跡をこのギャラリーで見ることができます。




今回は、登山だけではなく、アートも堪能した3日間の山旅となりました。
カムイエクウチカウシ山への道のりは一般登山道ではなくて、破線ルート。沢あり、岩場あり、ヤブありのロングルートで、とてもハードですが、この長い道のりを越えた先に見える八ノ沢カールとカムイエクウチカウシ山の山頂は絶景です。二百名山で目指す方も多いそうなので、機会があればぜひチャレンジしてみて下さい!
