【雪山バリエーション】宝剣岳サギダル尾根

八ヶ岳・中央アルプス

雪山のバリエーションルートに初めて行ってきました。雪の季節にしか通れない中央アルプス宝剣岳のバリエーションルートです。核心部分は1.5ピッチほどで長くないのですが、急な岩場をアイゼンで登るのはドキドキ!宝剣岳も登ることができて、とても良い経験のできた雪山でした。

【アクセス】
新宿→[高速バス]→駒ヶ根バスターミナル ※駒ヶ根前泊
駒ヶ根駅→[車]→菅の台バスセンター→[バス]→しらび平ら→[ロープウエイ]→千畳敷駅

【行程】
千畳敷駅(9:00)→サギダル尾根(10:00〜11:30)→宝剣岳(12:30)→八丁坂(13:00)→千畳敷駅(13:50)

今回の行程

【宝剣岳】
標高2931m。長野県、中央アルプス。中央アルプスで岩山登山で有名な山です。千畳敷カールの左手にそびえる山で、木曽駒ケ岳から空木岳への縦走路の途中にあります。岩稜と鎖で危険な山ではありますが、岩稜歩きに慣れた方なら程よいスリル感を楽しめます。雪山ではさらに難易度が増し、サギタル尾根はマルチ等のロープワークが必要です。ガイドさんや熟達者と安全を確保して登山することを推奨します。
雪山登山レベル:★★★(上級) 雪と岩のミックスのため滑落の危険があります。安全確保と技術力が必要。

今回の雪山装備

・ハードシェル、ハードシェルパンツ、スパッツ(モンベル)
・(上)ファイントラックドライレイヤー、メリノウール中厚手セーター
・(下)登山パンツ(中厚手)
・雪用登山靴(ROWA)、12本爪アイゼン、ピッケル
・薄手ウール手袋+オーバーグローブ
・サングラス
・ヘルメット、毛糸帽子
・ハーネス、環付カラビナ

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悪天候で白山を断念。急遽、駒ヶ根へ

4月の第一週目の土日、ガイドさんと雪の白山百四丈の滝へ行く予定でしたが、土曜日の天気が悪くて断念。
日曜日が天気回復傾向だったので、急遽「宝剣岳サギダル尾根」へ行くことになりました。
突然の予定変更に金曜日の深夜に駒ヶ根行きの高速バスや、土曜日夜に宿泊するホテルなど手配。装備も変わったので荷物を再度パッキングしたりとバタバタと準備して、ようやく駒ヶ根行きのバスに飛び乗りました。

駒ヶ根は2021年に行った雪山木曽駒ケ岳から5年ぶりの来訪。当時はコロナ禍だったので、どの店も閉まっていたのですが、今回はいくつか飲食店も増えていて、以前より賑わっていました。

以前も宿泊した駒ヶ根グリーンホテルを利用。夕ご飯も前回同様、水車という駅前の蕎麦と和食の店でご飯にしました。
そして、翌朝は7時に駅に集合し、ガイドさんの車にピックアップしてもらって、菅の台バスセンターへ行きます。
7時半前には着いたのですが、ロープウエイ行きの始発のバスが8時15分ということで、暫く待ちました。

前日、大雨が降っていたのですが、この日は晴れて、しかも4月のあたまなのに朝から暖かい日でした。
いつもの雪山装備だと暑そうだったので、メイリのウールのタイツは脱いで、冬用の登山パンツにオーバーパンツ、上はメリノウール1枚にハードシェルだけという残雪期の雪山装備に変えました。

8時15分、バスが来たので乗り込みます。約30分、バスにゆられて「しらび平」へ。
そこでロープウエイに乗り換えて、千畳敷まで一気に登っていきます。

菅の台バスターミナル
菅の台バスターミナルでバスに乗ります

中央アルプスロープウエイ
しらび平で、ロープウエイに乗り換え
宝剣岳
千畳敷駅を出たところで、今回目指す宝剣岳が見えます

いきなり核心!宝剣岳サギダル尾根

千畳敷駅に着いたら、ハーネスをつけて、ヘルメット、アイゼンを装着します。
駅を出てすぐ左側の雪の山肌を直登していきます。もちろん、かなりの急斜面です。

前日が雨だったのか、雪は水分を多く含んでいて、緩い。
急斜面を登っていくたびに、足が雪に沈み、場所によっては雪にハマってしまうことも。
雪靴とアイゼンで重たい足を雪の上に踏み出すたびに、疲労が蓄積します。
雪山の急斜面を登っていくのはしんどい…。

宝剣岳サギダル尾根
尾根へ向けて、急斜面を登っていく
宝剣岳サギダル尾根
千畳敷駅が眼下に見えます

宝剣岳サギダル尾根は、雪山のときのみに行けるようで、たくさんの人達が尾根を目指して登っていました。
登っている人が多かったためか、普通の登山客も間違えて登ってきていて、ガイドさんに言われて、慌てて下りていきました。
つられて登らないように、ちゃんと自分のルートと位置を確かめる必要がありますねw

宝剣岳サギダル尾根
たくさんの人がサギタル尾根に登っていきます

取り付きまで、より急な坂を登っていきます。雪がズブズブ過ぎて、きちんとアイゼンで踏み込まないと、雪ごと落ちていきそうになります。「ちゃんとアイゼン蹴り込んで!」とガイドさんに指示され(怒られw)ながら、なんとか取り付きに到着。
ふぅ…落ちるかと思った。しかし、アイゼンで蹴り込むと、足が攣りそうになるくらい、疲れる…。

取り付きはたくさんの人がいて、しばらく待つことになりました。
ここから先がロープを使った核心部分。上の方をみるとつるつるの岩に人がしがみついているのが見えました。苦戦しているようで、なかなか上に登っていけない。ガイドさんいわく「アイゼンの爪が引っかかる場所がないかもしれないので、膝を使ってでもなんでも登って」ということでした…まじか。

そんなこんなで、先行している人がなかなか進まず、ここでまさかの1時間待ちとなりました。いつもこのあたりは混むようで仕方ないですね。
温度は暖かく、薄日も差していたのですが、風が吹いてくると、さすがに寒い…岩陰に座ってしばし休憩しながら、順番待ちをしました。

宝剣岳サギダル尾根
サギタル尾根で渋滞。1時間ほど待ちました

宝剣岳サギダル尾根
ロープの張ってあるところ登ります。その上が核心部分。

ようやく先の登山客グループがサギダル尾根を登り終えました。
ガイドさんが先行して進みロープを張ってくれます、そのロープに安全確保をしてもらいながらサギダル尾根の登山を始める。

アイゼンで岩を登るのはなかなかスリリング。先に登っていた人たちが苦労していたツルツルの岩場は、確かにアイゼンをかけるところがなくて、膝を使いつつ体を押し上げます。ちょっとした岩の隙間を見つけたので、アイゼンをかけて、手でガッツリ岩を持ちながらよじ登りました。
これが結構楽しい〜。雪山の岩登りも、やってみるとどうして、楽しいじゃないですか。
雪山アルパイン、ちょっとハマる気持ちがわかった!

宝剣岳サギダル尾根
サギダル尾根を登る

核心の岩場の箇所はそれほど長くなく、岩の上を進み終えると、雪の急登になります。
岩や木の上に雪が被っていて、暖かくなって緩んだ雪が今にも崩れ落ちそう。
片手で岩や木を掴み、もう片方の手でピッケルを雪や木の根に刺して、かなり必死で登りました。
正直、岩を登っているときよりも、ズブズブの崩れそうな雪な急登を登るほうが落ちそうで怖かったかもしれません。

宝剣岳サギダル尾根
急斜面なので、ピッケルを斜面に刺して落ちないように必死

核心の岩場は30mロープで1.5回分、45mぐらいで、それほど長くはありません。
ただ尾根まではしばらく雪の急斜面が続き、尾根まで40分程度かかりました。
4月上旬、雪も少なかったので、土がむき出しになっている斜面を登りきれば宝剣岳に連なる尾根に出ます。

宝剣岳サギダル尾根
サギタル尾根を登りきったところ

雪の宝剣岳!スリリングな岩稜の登りと下り!

尾根に着いたのは11時半。次に尾根を宝剣岳の方向へ進みます。
実は宝剣岳は夏も来たことがなくて初めて。登山を始めたばかりのときに木曽駒ケ岳から空木岳まで縦走したのですが、宝剣岳はまだ自分たちのスキルには早いと思って登らなかったのです…。
それ以来、宝剣岳を登るチャンスがなくて、まさか雪山シーズンにここを登ると思いませんでした。

宝剣岳はしっかりした鎖がついていて、とても整備されているように見えました。
滑落が多いとは言われていますが、しっかりと三点支持をすれば、ちゃんと登れそうです。
でも、雪山だと難易度が増します。今回はガイドさんがロープで確保してくれていたのと、雪も少なかったのもあり、マルチ初心者の私でも登ることができました。よかった〜。

雪の宝剣岳
目の前に宝剣岳。次の難所です。
雪の宝剣岳
宝剣岳へ向けて尾根を歩く

岩の上をアイゼンで登ったり、雪の坂を下ったりしながら、宝剣岳へ。
岩場は好きなので、登りはあまり苦労はしなかったのですが、下りのほうが、雪と一緒に滑りそうで緊張します。

雪の宝剣岳
岩の尾根沿いを進みます。落ちないように気をつけて…

雪の宝剣岳
宝剣岳を登っていく途中。岩の間を通ったりします。

雪の宝剣岳
岩の間を慎重に進む

トロルの舌までやってくると、宝剣岳の山頂はすぐ近くです。
写真をみて分かる通り、雪がほぼなく、鎖にそって岩を登っていくとトロルの舌にやってきます。
トロルの横にある鎖にスリングをかけて安全確保し、写真撮影。宝剣岳名物の映え写真w撮れた!

雪の宝剣岳 トロルの舌
宝剣岳名物トロルの舌を下から見る
雪の宝剣岳 トロルの舌
トロルの舌の上にて

トロルの舌から左に進んでいくと宝剣岳のすぐに山頂です。
山頂の祠は雪に溜まっていましたが、山頂のツルツルした岩はしっかり顔を出しています。
宝剣山頂ついに到着♡

雪の宝剣岳
雪の壁の向こうに見える岩が宝剣岳の山頂
雪の宝剣岳
ここが宝剣岳の山頂です
雪の宝剣岳
山頂の祠は雪に埋もれていました

山頂からは、遠く空木岳、南駒ヶ岳が見え、尾根が続いています。
雪山で空木岳まで行けるそうですが、やたら長いそうで、途中の避難小屋で一泊するそうです。
いつか行ってみたいけど、とっても体力が必要そう…。

雪の宝剣岳
宝剣岳山頂から、空木岳方面を望む

雪の宝剣岳
宝剣山荘がすぐ下に見えました。

宝剣岳からの下りは、今回の山で一番難しかったかもしれません。
途中、ほぼ垂直の雪の壁を、ピッケルをラガーポジションで差しながら、アイゼンの前爪を雪の壁に蹴り込んで、雪に足場をつくりながら、クライムダウンしていきます。雪の急斜面を、こんな下り方したの初めてだったので、とても勉強になりました。

傾斜がゆるくなったら前を向いて下り、また急坂になったら、雪斜面を向いて前爪を雪に蹴り込みながらクライムダウン…という形で宝剣岳を無事に降りることができました。山小屋を越えて、八丁坂の上まできて、ようやく一息、緊張感も緩みます。

お腹が減っているのに気づいたら、もうすでに13時!
パンを1つ食べて腹ごしらえをしたら、最後八丁坂を下っていきます。

宝剣岳
宝剣岳を下りて来て、八丁坂の上に出ました

八丁坂を下って、千畳敷駅に戻る

以前、雪山の木曽駒ケ岳を登った時は、八丁坂がかなり凍っていて、登っている人がたくさん滑落していました。
その思い出があるので、慎重に下り始めましたが、今回は雪が半分溶けていて、実に足が入りやすい。
先に歩いた人が作った階段状になった足跡を踏めば、さくさくと下ることができました。
(とはいえ、チェーンスパイクで登っていた人は、下りも大変そうでした)

千畳敷カール八丁坂
八丁坂を下ります。急な下り坂です。

千畳敷カール 八丁坂
青空が広がって景色が見えました。

宝剣岳サギダル尾根
宝剣岳を千畳敷カールから見上げたところ

宝剣岳サギダル尾根
サギダル尾根の上に太陽が…午前中はあの岩場を登っていたんだな〜

13時50分、ロープウエイの駅に戻ってきました。
9時過ぎから登り始め、1時間ほど渋滞待ちをしていたので、だいたい4時間程度の行程でした。

でも岩場あり、スリリングの雪の登り下り、宝剣岳からの絶景…などなど盛りだくさんで、とても楽しめました。
日帰りで行ける、短い冬季アルパインルートとしてはとても良いルートだと思いました!