夜のうちに台風は過ぎたのですが、朝の山は霧で真っ白。でも雨もふらず風も落ち着いていたので千枚小屋に向けて出発しました。中岳を登っている最中に、雲が急に晴れてきて、待ち望んだ南アルプスの展望が開けました。
【悪沢岳(東岳)】
山梨県、標高3141m(日本で6番目の高さ)、百名山。
ちょっと怖い感じの名前でインパクトがありますが、荒川三山(前岳、中岳、東岳)の一つで最高峰。南アルプス南部、1泊以上でないと登れない遠い山です。なだらかな荒川の稜線から見上げると、悪沢岳のゴツゴツとした岩の山肌に圧倒されます。
登山レベル:★★★★☆(中上級)
南アルプス南部は山が奥深く、1泊以上必要かつ3000m級の山が多いため体力、脚力が必要です。
【全行程】※このブログは3日目の行程です
1日目:畑薙第一ダム→[東海フォレストバス]→椹島ロッジ→赤石小屋→赤石岳山頂→赤石避難小屋
2日目:赤石避難小屋(5:30)→赤石岳(5:35)→小赤石岳(6:05)→荒川小屋(7:30)
3日目:荒川小屋(7:30)→お花畑(8:30)→中岳山頂(9:30)→悪沢岳山頂(11:00)→[休憩]→丸山(12:00)→千枚岳(12:50)→千枚小屋(13:30)
4日目:千枚小屋→見晴台→吊橋→椹島→[東海フォレストバス]→畑薙第一ダム→(毎日あるぺん号)→新宿
山肌一面の花畑と、やっと見えた赤石岳
朝起きて外を見ると、昨日よりも真っ白でした。でも、雨は降っていないし、風もない。寝ている間に台風は行ってしまったようです。
これからきっと晴れるはず!そう信じて、荒川小屋を7:30に出発しました。
道の先には靄がかかっていて見通しは悪いですが、まず荒川三山の「中岳」を目指して登り始めます。
この道標から少し上がると、黄色の花が群生が靄の中に見えてきました。少しだけ見通しがよくなってきたようです。
昨日荒川小屋にいた人が「柵に囲まれたところの花がとても綺麗だった」と仰っていたのですが、どうやらこの辺りらしいです。少し歩くと確かに鉄の柵と網で囲われている箇所にあり、扉を開けて中に入ります。
足元の花に感動しながら写真をとっていると、急に霧が晴れてきました。
白かった世界に、あぶり出しの絵のように山の稜線が見えてきて、それが徐々にくっきりとした線になり、あれよあれよという間に展望が開けていきます。
ついに景色が見えるようになった!と感動していると、さらにその向こうに薄っすらと富士山が見えるではありませんか!
そして、山の斜面の方に目をやると、黄色と白の花が咲き乱れる一面のお花畑が広がっていました。感動の綺麗さです。
花の写真に夢中になっている間に、山を覆っていた雲はどんどん晴れて、なんと、昨日も一昨日も雲の中で何も見えなかった、赤石岳がついに姿を現しました。おお、なんと立派な姿!そしてやっぱり高い。さすがは3000m級の山です。
中岳への景色を眺めながら登山
景色を堪能し、写真を撮りまくって満足したら、再びまたあるき始めます。まだ中岳山頂は先にあります。
お花畑を守っていた柵を扉から出て、登り始めます。さきほどの真っ白が嘘のように、歩いていても楽しい景色を眺めながらの登山です。
9:22に中岳山頂に到着しました!荒川三山の1つ制覇です!
雲が多いものの、青空ものぞいてコンディションは最高。台風と戦いながら歩いた今回の旅でしたが、3日目は満足行く天候となりました。
中岳避難小屋から悪沢岳へ
避難小屋は修理中で泊まることはできませんが、トイレは借りることができました。台風にも関わず、工事の人が小屋で寝泊まりして働いているようです。
避難小屋から悪沢岳に向かいます。前方に立っている一際高い山です。
まだまだあんなに登らないといけないのかぁと思いながら出発です。
小さい山を2つほど越えると、悪沢岳の麓に到着。ここからそびえ立つ山を見上げ、その山肌にうっすら見える登山道を望むと、うわぁ、登れるのかな…という気持ちになります。
登りの前半は、悪沢岳の名前の通り、人を阻むような岩を越えて登っていきます。
ある程度進むと道が穏やかになります。おお、山頂もうすぐなんじゃないかと思って期待していると、意外とそこから長かった…。
それでも南アルプスの山脈と、足元に咲く花を眺めながら歩く天空の道は本当に気持ち良いもの。しかも台風だったためなのか、すれ違う人もおらず、山をほぼ独り占めの状態です。
そして、11時に悪沢岳の山頂に到着しました!岩がゴロゴロ転がっている広い山頂でした。そして…やっぱり誰もいない。
雲はあるものの、赤石岳も中岳も見えて、北岳の方に連なる山脈やもっと南へ連なる山脈も一望できて、いい景色です!
山頂で、お楽しみのランチタイムです。
昨日と同じですが、マフィンパンにコーンビーフとマヨネーズを和えたものと挟んでサンドイッチ。山の絶景を眺めながら、おいしい空気といただくランチは最高!
悪沢岳から丸山へ
ランチを食べ終えて、山頂を堪能してから、今日の残るもう一つの山「千枚岳」と目指します。
悪沢の山頂に敷き詰められた大きな岩の上を歩いていきます。少し下ると、巨大な岩山がどんっと置かれている横を通り過ぎて、さらに山を下っていきます。
岩場を越えて悪沢岳を下り終えると、緑のハイマツに覆われた丸い山「丸山」へと登ります。周りの山がゴツゴツした険しい山なのに、この山だけが丸く可愛らしい。
12時ちょっと過ぎに丸山の山頂に到着。今日一番の青空が広がりました。丸山は小さい山ですが、山頂からは赤石岳、悪沢岳、千枚岳の山々が360度の大展望で見ることできます。
丸山から千枚岳へ
丸山で展望を楽しんだ後は千枚岳へ向かいます。最初は穏やかなハイマツの道を進みます。
千枚岳はのこぎりの刃のようにギザギザした山で、その山頂に行く途中には長い梯子があったり、少し岩場を越えたりと、アドベンチャーな気分を味わえます。旅の後半になかなかしんどい登りがありますが、丸山から1時間ほど歩けば山頂に到着です。
13時前に、千枚岳の山頂に到着しました!
頭上には雲が広がっていましたが、今下りてきた、悪沢岳、丸山が見えました。いやぁ、今日は長い道のりでした。
千枚岳から千枚小屋へ
千枚岳を登り終えると、今度は千枚小屋へ下山し、これで今日の行程は最後になります。結構長い道のりだったので、昨日朝に、赤石岳避難小屋から荒川小屋まで行って本当に良かったと思いました。
千枚岳から下りると樹林帯に入り、その後は展望はなくなりますので、赤石岳や荒川岳はここで見納めです。
13時半、千枚小屋に到着しました。
千枚小屋も木造りのきれいな小屋です。中は吹き抜けの大きな一室になっていて、下の階と上の階に分かれていて、布団を引き詰めて寝る大部屋スタイルです。私達は2階をあてがわれたのですが、重い荷物をもって長い梯子をのぼっていくのは大変でした。
1階は団体さんが寝床になっていて、聞けば台風のためここですでに2泊したという話でした。今日で3泊目…。私達も最初は千枚小屋経由で行こうとしていたので、もしかしたら同じ行程になっていたかもしれません。
私は本日も自炊です。外に出ると雲行きは怪しかったのですが、なんとか調理ができそう。
いつもやっているサバ味噌缶+トマトピューレ+チーズを煮込む、ちょっと濃い味の、お酒のつまみにもなる「サバ味噌チーズ」を作ります。
その後は、赤石避難小屋に泊まっていたという人が続々と千枚小屋に到着。その方々と、飲みながらわいわい話をしました。なんと70歳のお誕生日を迎えた方もいて、ワインのボトルを開けてお祝いしました。みなさん、本当にお元気です。
>>4日目山旅(千枚小屋→椹島)に続く
1日目山旅(椹島→赤石岳)はこちら
2日目山旅(赤石避難小屋→荒川小屋)はこちら
3日目山旅 (荒川岳→千枚小屋)はこちら
4日目山旅(千枚小屋→椹島)はこちら